118.安久尾建設の破滅の一夜(安久尾建設のざまぁ)
大変お待たせいたしました。
安久尾建設のざまぁ会です。
本当に長かった大冒険が一区切りつきそうです。
そして、加奈子の誕生日に一気にお話が投稿出来て嬉しいです。最後まで読んでいただける幸いです。
「日本国憲法第7条により、衆議院を解散する。」
「「「万歳!!」」」
「「「万歳!!」」」
「「「万歳!!」」」
時間は少し遡り、夏休み明けの9月、こんなニュースがあった。
秋の臨時国会冒頭、衆議院議長が発したこの言葉。
この言葉により、衆議院は解散、事実上の選挙戦へ。
その中には、大きく両手を広げる、外務副大臣こと、安久尾次郎、与党の幹事長こと、反町太郎の姿があった。
心なしか余裕の表情。
それもそのはず。彼ら二人の選挙区は地盤も安定しているし、最近では野党も第一党になる力を持った、有力野党の政党は2人の選挙区に候補者を擁立しない。
今回も当選できる・・・・・・。
そう思った二人がそこに居たのだった。
地元に帰り、余裕の表情で選挙運動する、安久尾と反町。
勿論、二人とも力を持った議員だから、地元の選挙活動は最小限にして、他の候補者の応援へ全国へ向かったのだった。
そして、僕、橋本輝が、ピアノコンクールの関東大会のその日。まさにその裏側で、解散総選挙が行われていたのだった。
だから、安久尾五郎の嫌がらせも最小限で済んだ。
確かに、アイツは、選挙の時は静かにしていた。まあそうだろう。
そして、ピアノコンクールが終わり、早々に僕が疲れて寝ているころ。
まさに開票速報がテレビ局各社で放送されていたし、実際に開票作業が行われていたのだった。
各社メディアは、開票開始の午後8時。一斉に、安久尾次郎と、反町太郎の当選確実を伝えた。
「よっしゃー!!」
「やったー!!」
と、党本部に居た二人がメディアに移り、速攻で後ろのパネルに移動し、自分の所に、最初の当確の薔薇をつけたのだった。
今回も与党が政権維持、そんな出口調査の結果に、大喜びする、安久尾と反町。
だが、そこが彼ら二人のピークだった。
そこから、二人の笑顔が一瞬で消えた。
「幹事長。大変です。」
秘書の一人に呼び出される反町。
「どうした?」
「それが・・・・・。」
時刻は開票が始まって、一時間近く経過。
反町の秘書から伝えられた話は彼の顔色を一瞬にして苛立たせた。
一緒に聞いていた、安久尾もそうだった。
それは、ある県の議席がまだ一つも決まっていないのだった。
別にそれは問題ないのだが、問題はその県の立場だった。
メディアも速報で報じ、解説に着ている記者、政治学者も首をかしげていた。
メディアのアナウンサーはこう伝えた。
「こちらの県は5つ小選挙区があるのですが、まだ一つも議席が決まっていません。」
アナウンサーが伝えると。
「ちょっとおかしいですね。」
解説員の一人がこう切り出す。
「はい?理由をおたずねしても。」
「この県は首相を5人輩出している、保守王国です。5つの選挙区ともその世襲候補が立候補していて、一つでも決まっていないとおかしいのですが・・・・・。出口調査をもう一度見せてもらっても・・・・・。」
解説員がこう切り出し、メディアのスタジオは凍り付く。
確かにこの県は保守王国、今回も5つとも世襲が当選するとみて、あまり取材をしていなかった。
ある意味で、安久尾と反町の選挙区よりも長い時代から続く保守王国だった。
その県は、僕、橋本輝が済んでいる、雲雀川市がある県だった。
雲雀川市はこの県では2区。都市部に位置していて、有力野党の候補者も立候補してくれる。
加奈子の父、宏司の活躍、さらには、花園学園の理事長の慎一、原田や吉岡も住んでいる。
そう、彼らが、僕の話を、市議会議員の人や、バレエ教室の保護者、花園学園の人達に話していたのだ。
【今頃、加奈子ちゃんのお父さんから、すべてを知っただろう。驚いたか?少年?】
それを予想するかのように、原田のlineが来ていた。
僕ははいと返信する。
【いい意味でも、悪い意味でも、バレエをやっている人は、お嬢様という人たちが結構多い。雅ちゃんのお父さんだって、藤代部品という会社の社長だ。みんなお前の実力は知っているし、今回はい意味でそれが働いたようだな。】
原田からそんなlineを受け取る僕。最後にはニヤニヤ笑った可愛いスタンプが施されていた。
そうして2区。雲雀川市選出の議員は、与党の世襲候補が落選し、野党系の人が当選となった。その与党の世襲候補は比例復活当選もできなかったらしい。
1区、4区はというと、こちらも野党系の候補が小選挙区で当選、与党のそれぞれの世襲は比例復活出来たが、大きなニュースになった。
【花園学園は県内のいろんな地区から通っている人が多いからね。学費も私立だし。結構地元の名士のお嬢様もいるんだよ。へへへっ、サプライズ大成功!!】
葉月からのlineだった。
そして、問題は3区、5区。ここは安久尾、反町の選挙区と同じく、有力野党はそろって候補者を立てない選挙が続いていた。
だが比較的人口の多い3区。そこには瀬戸運送の本社があって、史奈もここの地域から通っている。
瀬戸運送が中心となって、有力な若手の県議会議員を擁立し、保守分裂に成功したのだった。
そして、軍配は、無所属だったが、若手の県議会議員が当選。
【18歳からに引き下げられたのよ。投票権。だから私も期日前投票をしたわ。間に合ってよかった。】
史奈からのlineにはこう記されていた。
そして、5区。
ここは田舎。保守分裂選挙もならず、一人勝ちという選挙区で。
メディアの解説員も。
「ここの選挙区は当確が出でも・・・・・。」
それは円グラフを見ても明らかだった。
出口調査の7割前後が、与党の世襲を支持している。
だが、次の瞬間思いもよらぬ言葉が待っていた。
「はい。確かにそうなのですが、回答を得られた有権者が前回の半分以下となっており、投票率もここの選挙区が全国で断トツで最下位となる見込みです。」
その発言に凍り付く、選挙の関係者たち。
そして、与党の世襲候補が勝ったが。
投票率は全国最低、無効票もかなり跳ね上がった。
この5区にあるのが、義信の祖父母が経営するホテルニューISOBEだった。
【爺ちゃん、婆ちゃんが根回ししてくれた!!】
そんな義信のlineだった。
【保守王国崩壊】それはマスコミを躍らせた。
「なぜだ?なぜだ?」
「どうしてこうなった?」
マスコミや与党のメンバーは一斉にその保守王国の選挙分析を始めた。
そして。橋本輝という名前にたどり着き。
そこから、出るわ、出るわ、次から次へと安久尾次郎と反町太郎の大悪事。
さらには息子、安久尾五郎の悪事もマスコミを通じて公にバレた。
一気に開票速報は、安久尾と反町の不祥事速報に早変わりし。
「安久尾先生、反町先生。」
秘書に呼ばれる、二人。
その顔は完全に真っ青だった。
「下に、警視庁の方と、東京地検特捜部の方がお見えですが・・・・・・。」
「「オワタ、オワタ、完全オワタ~。」」
安久尾と反町はもう逃げ場はないと確信したのか、出て行った。
「逃げるんですか?」
「おい、逃げるな!!」
マスコミからの批判の言葉を浴びながら。
【与党過半数維持だが暗雲の船出、安久尾氏、反町氏、本日緊急逮捕へ】
新聞の見出しの文字がこう踊っていた。
僕はその話を宏司から聞き、新聞を見せてくれたのだった。
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3.只今、構成中。近日アップします。