109.離の夜、その4~バニーとメイドと魔女っ娘と。・・・~
文化祭2日目の次の日は、文化祭の後片付けの日。
盛り上がった文化祭も、装飾を撤去し、元の状態に戻していくと、2日間夢のような時間だったと改めて実感する。
そして、その後は週末に文化祭が行われたため、代休を取って、再び授業が始まる。
代休後の最初の授業は怒涛のテスト返却から予定していた。
「あ~あ。こうしてみると、あっという間だったね♪」
葉月は感慨深そうに、生徒会の最後の見回り作業を行っている。
「本当ね。でも、生徒会長として、無事に終わってホッとしてる。」
加奈子も葉月のことばに頷く。
「みんなは、まだいいわ。私は、最後の文化祭が終わちゃったのよぉ~。」
半分涙目になる史奈。
彼女は高校3年生、最終学年。高校生活最後の文化祭だった。
「そうだね。寂しいよね。」
僕は史奈の瞳を見つめる。
「そうよぉ。輝君、やさしい~。」
史奈は涙目になりながらも、どこか笑っている。
だが、僕以外の生徒会メンバーからの反応は何もない。
「あ~っ、その表情、卒業してOGになっても、文化祭に遊びに行きます。って顔してる。」
ようやくにやにやと笑う葉月。
「バレてた?葉月ちゃん。」
涙を拭き、急に笑顔になる史奈。
「はい。バレバレです。」
葉月は言う。そして、他のメンバーも頷く。これには、僕も頷く。
「あら、そう。というわけで、来年も遊びに行くわね~。」
にこにこと笑う史奈。
僕もやっぱりそうだよね、と思っていたが、ここは伏せておく。
そうして、跡形もなく文化祭の装飾が無くなり、今から授業が行えるという状態になった花園学園。
「皆さん!!お疲れさまでした!!」
加奈子がにこにこと笑って、ねぎらいの言葉をかける。
「「「お疲れさまでした!!」」」
僕たちは笑って返事をする。
「本当に良い文化祭だったと思います。明日、明後日と代休になります。しっかり休んで、生徒会の仕事はまだまだ続きますので、代休が終わったら、元気な顔を見せてください。」
加奈子が笑って、挨拶をした。
「みんなお疲れ様。本当に良かったよ~。私からも連絡は特にないので、これからも頑張りましょう!!」
葉月がニコニコ笑っている。
最後に他に連絡がないか確認して、僕たちの初めての文化祭、そして、文化祭の生徒会の仕事も終わったのだった。
そして。
「お疲れさまでした!!」
と言って、まっすぐ自分の家に帰ったのは義信だけだった。
他のメンバーは、【家に帰って荷物を置いたら、輝君の家に集合!!】
という連絡が各々のスマホに来ていたのだった。
そして。
僕の家に続々と集まってくる、生徒会メンバーたち。
時刻も日暮れに近いのか、他の学校に通う、マユも呼んでいる。
さらにはコーラス部の風歌も僕の家、つまり、伯父の家に来ていたのだった。
早織と結花は改めて伯父、伯母にお礼を言う。メイド喫茶のメニューの材料を用意してくれたお礼だった。
そうして、僕たちは、僕の寝泊まりとして使っている、離屋へ・・・・・。
『例の約束』をした、全員が集まっている。
「全員が揃っているということなので、先ずは、それぞれの名前が書かれている箱の確認をしよっかぁ。」
という葉月の提案。
そして、名前の書かれた箱を取り出し、箱の中身を数えていく。
お互いの顔を見合わせ、真剣な表情で・・・・・。
箱の中身は小さな袋、例の、あの袋だ・・・・。
一番少ない人、要は一番減り方の激しい人が、勝者だった。
このイベントは定期的にやっていて。
今回の勝者は、なんと風歌だった。
「すごい、風歌ちゃん、一番最近に仲間になったのに・・・・・。」
マユは驚きを隠せない。
「まあ、あの激しさを含めれば納得よね。」
史奈がため息をついている。
「にへへへっ、輝君と、頑張った。」
風歌はニコニコ笑う。
「それじゃあ。文化祭お疲れ様パーティーを兼ねて。」
「「「今日も・・・・・。」」」
全員が、僕に抱きしめる。
そして、皆一人一人、唇を合わせてに来る。
「輝君、ちょっと待ってて、目を閉じてくれる~。順番に・・・・。」
葉月の声に、僕は目を閉じる。
葉月たちは、目を閉じている隙にお互いの顔を見て。
「順番に準備するけど、抜け駆けなしだよ。」
葉月はそう言って、皆に言い聞かせる。
僕の両手に誰かいる感覚。
それが、変わりばんこにくっついては離手を繰り返して。
「輝君、お待たせ、目を開けていいよ♪」
葉月の声に目を開けると・・・・・。
いきなり突然、僕の胸の鼓動が高鳴る。
かわいいメイドと、バニーガールと、魔女っ娘が勢ぞろい。
早織、風歌がメイド。
「こ、今回はメイドさん。輝君、いーっぱいお世話しちゃう。」
風歌が笑っている。
「ここなら緊張しなくてすごくいい。」
早織がニコニコ笑う。2人とも、一番緊張しないで、メイド服を着ている。
「「お帰りなさいませ、ご主人様。」」
結花と、葉月、加奈子がバニーガールの衣装を着ている。
加奈子は細身だし、結花は性格からだろうか、こちらの衣装の方がとても魅力的だった。
「へへへっ、赤城さんたちに衣装、今日まで貸してもらったんだぁ。」
葉月は得意げになって、笑っている。
加奈子も、結花も得意気に頷いている。
「みんなは良いわね。」
昨日の花園学園グランプリと同様に、魔女っ娘の衣装を着ている史奈。
「あっ、でもこの衣装、昨日から進化して、ポンチョの下は、何も着てません。」
と、史奈はポンチョの下をめくる。
「あーっ、先に抜け駆けずるい!!」
というブーイングが史奈に浴びせられるが。
「良いじゃない。減るもんじゃないんだし。」
そういって史奈はウィンクする。
「みんな、文化祭の衣装でずるいよ~。」
そういうマユは、陸上部のユニフォームを着ている。胸元と、下半身だけを覆っている、セパレートタイプのもので、かつ、部活終わりだからだろうか、マユの汗のにおいがさらにドキドキさせていた。
「それじゃあ、輝君。準備は良い?」
葉月の言葉に、喉を鳴らして、コクっと、頷く僕。
皆の衣装が可愛いからだろうか。
そこからは一気に速かった。
「ふふふっ、輝君、いつも以上にパンパン。」
史奈という史奈の声。
これが本当の文化祭の打ち上げであった・・・・・。
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3.只今、構成中。近日アップします。