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108.花園学園グランプリ~文化祭3~


 文化祭2日目。

 文化祭は2日間にわたって行われることになっており、今日も僕は伯父の家から野菜を積んで、伯父のトラックで、学校に向かったのだった。


 昨日は勿論、原田やマユだけでなく、伯父も文化祭に来ており、楽しんでいるようだった。


 「お前が楽しんでくれているようで何よりだぜ、輝!!」

 伯父はそう笑って、トラックを運転させた。

 1年前の輝が来た時と、今の輝の表情は雲泥の差だ。

 伯父の進は輝を見て、頷く。そして、花園学園に向けて、トラックのハンドルを切る。


 そうして、学園に到着し、早織に迎えられ、今日の分の材料の準備を行う。

 僕と結花のシフトは、午前中に固まっている。

 午後からは文化祭のメインイベント花園学園グランプリの準備と、風歌、赤城兄妹と一緒に出場することになっている。


 昨日の準備でノウハウを掴んだのか、僕は手際よく、早織と家庭科部のメンバーをサポートすることができた。


 「ありがとう、輝君。まさか、1日でここまで慣れてくるなんて。」

 早織はニコニコ笑っている。


 「こちらこそだよ。」

 僕はそう言って、ニコニコと笑う。


 諸々の準備を終えて、文化祭2日目が開幕。


 メイド喫茶はお客の入りも上々だ。

 昨日の噂を聞きつけ、好評だったのか、かなりの客が出入りする。


 「お帰りなさいませ、ご主人様!!」

 「おいしくな~れ。」

 そんな声が、教室の方々から飛び交う。


 忙しく午前中のメイド喫茶のシフトを終え、僕と結花と早織は、お昼時という本当に忙しい時間に申し訳なさそうに、係りのシフトを交代した。


 体育館に向かう僕たち。


 「メイド喫茶、とても良かったよ。結花や早織、そして、赤城さんたちのおかげだね。」

 僕はニコニコ笑いながら声をかける。


 「あ、ありがとう、でも、輝君や北條さんが居なければ、ダメだったかも。」

 「そうだよ、ハッシー、ハッシーも結構頑張ってたよ!!」

 結花と早織にポンポンと背中を叩かれ、僕たちは体育館に到着した。


 葉月、加奈子、史奈、そして、義信とも合流する。

 史奈はバレーボール部の手伝いもあり、外の模擬店で、ずっとかき氷を販売しており、制服を着ていたが、それ以外のメンバーは室内のかなり手の込んだ出し物だったので、各々の衣装を着ていた。


 「あらあら、私以外、皆かわいい衣装、着てるわね~。」

 史奈は少し不満そうだったが。


 「まあまあ。会長もお疲れさまです。この時期とはいえ、外は暑かったから。」

 加奈子は会長をなだめる。


 「そうね。汗だくだくね。おかげさまで、かき氷も予想以上に売れたわ。」

 史奈はニコニコ笑う。


 「まあまあ、会長、そんなこと言わずに、会長の分、言われた通り、持ってきました!!」

 義信は、そう言って、史奈に衣装を手渡す。


 「あらあら、ありがとう、気が利くわね。義信君♪まあ、皆素敵な衣装で来るから、私がお願いしたんだけど・・・・。」

 史奈はそう言って、黒いポンチョを頭からかぶり、魔女の帽子をかぶった。

 E組の出し物、お化け屋敷で使用した、魔女の衣装だ。


 「魔法掛けちゃうわよ~」

 史奈はにやにやと笑いながら、手渡されたステッキを振り回す。


 魔女の服や他のお化けの服もあったのだが、E組メンバーは平均して、身長が高いため、身長の低い史奈は、比較的フリーで着ることができる、魔女のポンチョと、帽子をチョイスして、義信に持って来させていたのだった。


 葉月、加奈子はバニーガール、結花と早織はメイド、僕はベストに蝶ネクタイ。義信はシーツを被り、史奈は魔女。

 全員何らかの衣装を着て、持ち回りで花園学園グランプリの司会をすることになった。

 ちなみにメイド服は予算の関係で、着回しで着ることになっていたが、この時だけは、事前に調整済みで、結花と早織は予備のものを着ている。それは、他のメンバーも同じだった。


 会場の音響をチェックする。

 音響の機材は軽音部の先生や、音楽の藤田先生が見てくれた。


 ステージの飾りつけを簡単に済ませ、最初のグループの出場者が来ているか確認を取る。


 出場者も、諸々のシフトの時間があるので、集合時間もグループごとに決められていた。


 そして、メインイベントなため、出場する生徒を応援するメンバーもいるのか、体育館にはかなりの人が集まり。定刻を迎える。


 僕と加奈子が、ステージの中央に出て。

 「皆さん!!こんにちは!!」

 加奈子がマイクを会場に向ける。


 「「「「こんにちはーっ!!」」」」


 盛り上がる会場に、加奈子が笑って、僕に合図をする。


 「はい。皆さん元気がいいですね。それでは、文化祭のメインイベント、花園学園グランプリを開催します!!」

 僕は元気よく開会宣言をする。 


 「第1部の司会をします。生徒会長で2年C組の井野加奈子と。」

 「1年B組の橋本輝です。」


 「「よろしくお願いします!!」」

 会場は大きな拍手で迎えてくれる。


 先ずは、諸注意と、投票の説明を行う。


 「それでは、最初のチームのパフォーマンスに行きましょう!!」

 加奈子のアナウンスで、最初のチームが勢いよく登場。

 チアダンス部の有志で結成されたメンバーたちで、動きの激しいキレのあるダンスを披露していた。


 1部の司会進行は僕と加奈子。

 元気よく司会進行していく。


 ダンスに続き、お笑い、仮装でのパフォーマンス、バンドのライブなど、いろいろあって。

 花園学園グランプリ、第1部が終了する。


 休憩を挟んで、第2部に移行する。

 ここからは僕は裏方に徹する。そして、第2部の途中で、出場者の待機場所に向かった。


 そこにはすでに、双子の兄の隼人、双子の妹の未来、そして、風歌が到着していた。


 「改めて、よろしくお願いします。」

 僕は頭を下げる。


 「は、はい、よろしくお願いします。」

 未来は緊張しながらも頭を下げる。

 少しでも緊張をほぐすため、未来に着替えてくるように指示する僕たち。


 するとどうだろうか。

 プリ〇ュアに変身した未来は、ニコニコと笑う。

 そう、その笑顔は、上品であり、奥ゆかしい大和撫子。まさに、この、プリ〇ュアの女の子そのものだった。


 「本日は、輝さん、風歌さんにご無理を聞いていただき、ありがとうございます。」

 改めて、未来から丁寧にお辞儀をされ、僕たちも頑張ろうという気持ちになる。


 そうこうしているうちに、第2部が終了する。

 残りは、僕たちが出場する、第3部。

 深呼吸する。僕たち。舞台袖からステージを見る。


 「みなさーん、こんにちは!!」

 葉月は元気よくステージに向かって挨拶をする。

 「ここからの第3部の司会をします。生徒会役員の2年C組花園葉月と。」

 「元気にお届けします。1年E組の磯部義信が担当します。」


 会場は盛り上がる。


 「それでは、第3部最初の出場者のご紹介で~す。」

 そうして、第3部が始まった。

 第3部最初の出場者は、有志のダンスチーム。今勢いのあるアイドルユニットのダンスを踊った。


 そして。

 「ありがとうございました!!続いては。」

 葉月の呼びかけに義信が答える。


 「はい。前日祭で、見事福引、2等と、特賞を当てた、花園学園史上最強のピアニスト2人、1年B組橋本輝君と、2年C組緑風歌さんのピアノとシンセサイザーの演奏だぁぁ。」

 義信の勢いある声に、拍手が沸き起こる。


 「はい。今回は、この二人に加え、何と、素晴らしいメンバーが来ています。YouTubeでアニソンを投稿している、この高校の某生徒2人、通称、【赤鬼メイド】です。拍手!!」


 葉月の司会に、会場は一気に盛り上がる。

 赤城兄妹こと、【赤鬼メイド】の登場だ。


 「皆さん、こんにちは。これから、このキャラクターのキャラソンを、橋本君と緑さんと一緒に披露します!!この曲の歌詞、このキャラクターのように、皆さんも、諦めないで、夢を叶えてください!!」

 未来は本当に、丁寧にあいさつをする。


 一気に会場は盛り上がる。


 「それでは、よろしくお願いします!!」

 葉月の司会の合図で、僕たちは深呼吸する。


 お互いに頷く、僕たち4人。


 僕と風歌が、テンポのカウントを確認して、ピアノとシンセサイザーを奏でていく。

 雄大な前奏。

 夢を叶えていくように、前へ進むように。


 僕と風歌はピアノとシンセサイザーの伴奏をした。

 未来の声も、そのプリ〇ュアの声そっくりだ。

 透き通るように、歌詞が伝わってくる。


 改めて、オープニングや、エンディングより、このキャラソンの方が人気な理由が、伴奏を奏でていてわかる。

 雄大なフレーズ、透き通ったメロディーに一気に乗っていく僕たち。


 会場も同じようで、聞き入っている。


 僕たちも、頑張って、夢を叶えるんだ!!

 そんな思いを込めて、曲はクライマックスへ。


 美しく、雄大なメロディーとハーモニーだった。

 確かに、フルバンド構成とはいかないが、本当にそれを超える何かがあった。


 「「ぴゅー!!」」

 「よかったよ~」

 そんな声で、会場は拍手で包まれている。


 「ありがとうございました。是非皆さんも、これを機に、【赤鬼メイド】のYouTubeチャンネル登録をよろしくお願いします!!橋本君、緑さん、そして、赤鬼メイドの皆さんにもう一度大きな拍手を!!」

 義信が豪快に、両手を振ってアピールした。


 退場していく僕たちに、大きく親指を立てて、前歯を大きく見せる義信の姿があった。


 「すごい、すごい感動した。」

 興奮状態の結花。

 「うん。120点満点あげちゃう!!」

 にこにこと笑う史奈が、舞台袖で迎えてくれた。



 出演者控室へ向かう僕たち。

 「よっ、少年、今までで一番良かったぞ!!」

 「ひかるん、すごい、ピアノ健在!!」

 原田とマユが勢いよくこちらに近づき声をかけてくれた。


 「ありがとうございます。」

 とお礼を言い、控室へ着替えをしに行く、未来を案内して、その間に原田とマユと少し話をした。


 ものすごく、笑顔で聞いてくれていて、とても嬉しかった。


 「すみません、忙しい中、2日間も来てくれて。マユも部活で忙しいのに、ありがとう!」

 僕はお礼を言ったが、首を横に振る2人の姿。


 「なーに、学校がどんな感じか知りたかっただけさ。少年と、加奈子ちゃんのおかげで、やっと、来ることができた。」

 「私も。そうかなぁ。ひかるんが居ないと、ここに来なかったもん!!」

 原田とマユは笑っていた。

 2人とも、夏の合宿と、旅行で、面識がある2人。

 2人のコミュニケーション力を考えれば、こうして一緒に居ることも不自然ではなかった。


 「それじゃあな、少年。私はバレエ教室のレッスンだ。」

 「私も帰るね。ありがとう。」

 2人は、僕に大きく手を振り、その姿を見送る僕。


 大きな2人の背中を見て、僕も頑張ろうと思う。



 花園学園グランプリは、その後も大きく盛り上がり。すべてのプログラムが終了する。

 それは、この文化祭の終了を意味する。


 メインイベントの行事、大きな支障もなく、乗り切ったことに、生徒会メンバーとして、安堵する。

 残りは後夜祭。


 後夜祭も、皆で歓談して、楽しむ。

 そして、後夜祭のメインイベントが始まる。


 「お待たせしました。これから、花園学園グランプリの結果発表を行います!!」

 生徒会長の加奈子の一言で一気に盛り上がる会場。


 出場者にとってはドキドキだ。

 ちなみに、僕は出場者なので、投票の集計作業には参加できなかったため、他の生徒会メンバーに任せていたため、結果は知らない。

 加奈子が、第5位入賞者から発表してく、プラスアルファで特別賞がある場合はそれも発表する。


 第4位、3位と発表して。


 「それでは、第2位準優勝、そして、特別賞として、ベスト音楽賞が出ています。」

 加奈子の司会に、おおっとなる会場。


 「第2位は【赤鬼メイド】の二人と、橋本君、緑さんのチームです。」

 加奈子から名前を呼ばれ、設置された、ステージの壇上へ上がる僕たち。


 といっても、やはり、恥ずかしがり屋なのか、隼人と未来は、なかなか壇上に上がらず、最後は正体を知っている結花の一押しで壇上に上がり。さらに顔を真っ赤にする赤城兄妹。


 景品の図書券をもらうが。

 「皆さんありがとうございます。とてもうれしいです。景品も、またもらってしまって、すみません。というわけで、景品は一緒にやろうと言ってくれた、【赤鬼メイド】の二人にあげようと思います。」

 僕はそう言って、挨拶をする。

 風歌も同じように頷く。


 「さあ、それでは、【赤鬼メイド】の二人にも感想を聞きたいと思います。」

 加奈子がマイクを渡す。


 「こ、こ、こ、こんにちは、こ、こんばんは、プリ〇ュアの正体です。あ、ありがとう、ございました。」

 「あ、あか、おに、の、お面の中の人です。う、嬉しいです。」

 未来と隼人はものすごく緊張していたが。

 会場からはものすごい拍手が沸き起こっていた。


 その後、第1位となったチームが発表される。

 やはり、ビジュアル重視で、圧巻のダンスをしたチームが選ばれた。


 そうして、後夜祭も盛り上がりの中、無事に終わり。

 僕たち、生徒会はハイタッチをして、文化祭が無事終わったことを感謝するのだった。




最後まで、ご覧いただきありがとうございます。

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●現在執筆中の別作品もよろしければご覧ください。

 1.忍者翔太朗物語~優秀な双子の兄だけを溺愛する両親のもとで奴隷のような生活をして育った忍者のお話~URLはこちら↓

 https://ncode.syosetu.com/n1995hi/


 2.元女子魔道学院に異世界転生した男子の僕が入学するとどうなるのか?⇒なかなか更新できず、すみません。

 https://ncode.syosetu.com/n7938ht/


3.只今、構成中。近日アップします。

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