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107.原田とマユの案内~文化祭2~


 原田とともに、僕たちの出し物を行っている教室を出て、僕の案内が始まった。

 まずは、加奈子たちの教室に行くことになった。


 原田は、加奈子のバレエの先生なので、この反応は当然のことである。

 というより、加奈子よりも、僕の方の教室に先に来たのかが、疑問だ。


 「そりゃあ、メイド喫茶と聞いて、真っ先に行くよ。それに、1年生の教室の方が近かったし。」

 と原田にこのことを尋ねたら、こんな回答が来た。

 確かに、正面の校門、玄関から入れば、1年生の教室の方が近い。


 「それに、少年、お前だって、ウチの教室の一員だ。そういう意味では、加奈子ちゃんと同じ生徒だろう。」

 原田の言葉に頷く。感謝しかない。


 そうして、原田を連れて、加奈子たちの教室、2年C組へ。

 2年C組も、2年A組からC組までの合同でのクラスの出し物となっており、ゲームコーナーになっていた。


 そして、昨日同様。福引大会と同じく、バニーガールの格好で、出迎えてくれる葉月。

 「あーっ、輝君いらっしゃい。」

 葉月はニコニコ笑う。

 「原田先生、こんにちは。」

 葉月は原田の存在に気付いたのか、頭を下げる。


 ちなみに葉月も、小さいころに原田のバレエスタジオに通っていた。


 「おーっ、葉月ちゃんじゃないか。似合ってるね。バニーガール。」

 原田は元気よく挨拶をする。


 「へへへっ、加奈子も、この衣装、着てますよ!!あっ、そうそう、この衣装、輝君のクラスのメイド服をデザインした子に作ってもらったんです。」

 葉月はニコニコ笑う。

 そして、原田は葉月の言葉を一言一句、聞き逃さなかった。


 「なんと、メイド服だけでなく、このバニーガールの衣装も作ったのか。あの双子ちゃん、だっけか?・・・・。」

 原田は先ほどのメイド喫茶で、双子の妹の未来しか会っていない。


 「はい。そうなんですよ~。凄いですよね~。赤城さん、兄妹にお会いしたんですね。」

 葉月はニコニコと笑い、くるっと回って、原田にバニーガールの衣装の凄さを改めてアピールしていた。


 「おおっ、そうだな。双子の妹の方しか会ってないのだが。クオリティは確かにヤバいな。」

 原田は葉月に親指を立てる。


 「そうですね~。まあまあ、先生も輝君も立ち話もあれですし、加奈子に会ってってください♪、お二人様ご案内で~す。」

 僕と原田は葉月の案内のもと、2年C組、ゲームコーナーに案内される。


 テーブルに座らされると、同じく、昨日と同じ、バニーガールの衣装に身を包んだ加奈子が出てきた。

 「いらっしゃい、輝。そして、先生、こんにちは。」

 「よっ、加奈子ちゃん。元気でやってるね。」


 そしてもう1人。

 「ひ、輝君。よ、ようこそ。」

 なんと、バニーガールの衣装に身を包んだ風歌の登場。

 緊張した野うさぎの目をしている風歌。

 風歌も、大きな胸の谷間が衣装から覗かせていた。


 「そしたら、私と、先生と、輝と、風歌の4人で勝負しましょう!!」

 加奈子はそう言って、トランプを配っていく。


 配られたトランプを各々受け取っていく。


 「大富豪です。ルールは分りますか?」

 加奈子が聞く。

 思わず首を振る僕。


 「珍しいな、少年。大富豪を知らないのか?」

 「はい。すみません。」

 僕は原田の言葉に謝る。


 一通り、ルールを説明していく、加奈子。

 八切、革命、というワードが出て。


 「ああ。ごめん。大貧民ね。僕も、父さんも、伯父さんも、このゲーム、大貧民と呼んでた。」


 「「「ああ~。」」」

 加奈子たちは声を揃えて納得する。


 「それじゃ、説明はこのくらいで、大丈夫そうだね。」

 加奈子の言葉に僕は頷く。


 「結構、呼び方の、ちがい、別れるよね。」

 風歌は頷く。


 「なんだ。知ってて、良かった。」

 原田は笑う。


 ということで、気を取り直して、僕たちはゲームを始めることにした。


 そして・・・・・。


 「すーっ、はーっ。」

 深呼吸して、トランプの手札を広げていく、原田。

 カッコいい、ギャンブラーのようだが・・・・・。


 実はこのゲーム。もう4回戦目であり、ここまで3回連続で、原田は大貧民になっていた。


 そして。

 「あ、あがり。」

 風歌がガッツポーズをして。


 「なんでだよ~。」

 原田は、とても悔しがり、見事4連敗でゲームが終了した。


 僕と、加奈子は、相手の出した手札を確認して、ゲームを進めていたので、一気に攻めることができた。

 それを考えず、一気に攻めようとした原田は全て、出せる手札が無くなり、見事全敗したというオチだった。


 「ヨシッ。次行くぞ、少年!!あれで勝負だ!!」

 原田は黒板の方を指さす。

 ダーツが置かれていた。


 原田はお酒でも入っているのだろうか。まるで酔っぱらったかのように、ヴォルテージが一気に上がる。


 「いらっしゃいませ!!」

 ダーツの案内をしているのは心音だった。

 心音は、トレードマークのポニーテールをいつもよりもカッコよく結び、某歌劇団の男役に居そうな、僕と同じベストを着た服装で、出迎えてくれた。


 「あっ、橋本君に、加奈子のバレエの先生ですね。いらっしゃいませ!!」

 「よう、夏の時以来だな!!ああ、少年のコンクールに来てたっけか。」

 原田は心音に声をかける。


 「はい。あの時はありがとうございました。私も風歌も楽しかったです。」

 「いいってことよ。」

 原田はそう言いながら、ダーツのアピールをする。やっても大丈夫かと。


 「どうぞ、矢を3本ここから取ってください。」

 心音の言葉にダーツの矢を3本取る原田。


 にやりと笑い、腕をまくる。

 「見てろよ、少年!!」

 原田は一気に狙いを済ませ、一気に3本矢を放っていく。


 「おおっ!!」

 心音の目が見開く。

 僕もとても驚いた。

 矢は1本ど真ん中に命中。

 そして、他の2本も真ん中を少し外した場所に、でも、限りなく真ん中に近い場所に命中していた。


 「おめでとうございます!!本日最高点が出ました!!」

 心音が、持っていた鐘をカランカランと鳴らす。


 「ヨッシャ―!!」

 原田はガッツポーズをする。

 加奈子も風歌も、そして、案内のため廊下に出ていた葉月も、その様子に思わず原田の元に駆け寄り祝福をしていた。


 景品を自信満々に受け取る原田。

 これは流石に恐れ入った。


 「名誉挽回だ、少年!!」

 原田は一気に機嫌を取り戻し、加奈子たちに見送られながら、2年C組の教室を出て行った。


 そうして、僕の次のシフトの時間が回ってきて。

 「おお、楽しかったぞ、少年!!明日も行くし、お前の出し物も、期待しているからな!!」

 そういって、原田は大きく手を振って去っていった。


 再び1時間ほど、お昼時という、かき入れ時の時間を、メイド喫茶の仕事をこなして。

 シフトの終了時間間際に、今度はマユがやって来た。


 「ひかるん、お疲れ~。部活終わって、急いできちゃった♪」

 マユはニコニコ笑いながら、雲雀川経済大学附属の制服を着てやって来た。


 マユこと熊谷真由子はメイド喫茶に入って、メインの品物焼きそばと飲み物を注文していく。


 「すっごく、お腹減っちゃった。」

 そういって、マユは運ばれて来た焼きそばとドリンクを食べる。


 マユはそれを食べ終わった後、僕のシフトの時間が終了したことを確認して。

 「さあ、思いっきりひかるんと文化祭で遊ぼう!!」

 そうして、僕を教室から連れ出す。


 マユと一緒に行ったのは、義信たちのクラス。D組から、G組までの出し物をやっている教室だった。

 義信のクラスの出し物はお化け屋敷だった。


 お化け屋敷の入り口、シーツを被っている、大柄な影。明らかに義信だ。


 「ようこそお越しいただきました。部長!!」

 白のシーツの影は頭を下げた。

 「おいおい。折角のお化けが台無しだろう。」

 確かにそうだ。

 「まあ、入り口案内で、接客も兼ねていますので。そちらの方は?」

 義信はシーツ越しにマユを見た。


 「ああ、幼馴染のマユ。」

 そうだ。義信は実際にマユと会うのは初めてだ。

 「このシーツを被っているのは、一緒に生徒会の仕事をしている、磯部義信君。」

 マユに義信を自己紹介する。


 「初めまして、雲雀川経済大学付属高校で陸上部やってます。熊谷真由子です。」

 マユは自己紹介した。


 「部長、幼馴染なんて居たんすね。良いっすね~。」

 義信はニコニコしながら、マユに頭を下げた。


 「それじゃあ、幼馴染と一緒に楽しんでくだせぇ!!2名様、ご案内で~す。」

 義信はそう言って、僕とマユを真っ暗な教室に通した。


 本当に、ここは教室なのだろうか?

 真っ暗で何も見えなかった。


 「ひ、ひかるん。真っ暗だよ」

 マユは少し震えながら、でも、何だろうか、心に余裕を持ちながら僕に寄りかかってくる。


 「あ、ああ。そうだよね。」

 おそらくマユより僕の方が緊張しているだろう。

 いい意味で、小さいころからずっと、マユは僕よりも肝っ玉系だ。だから、運動部でも活躍で着ているのだろう。

 そう、マユよりも僕の方がお化けは苦手だった。


 「なんだろう、夏を思い出す。ひかるんとペアだったら、どんなに良かったかなぁ~って。」

 確かにそうだ。夏、茂木の別荘で、皆で肝試ししたよな・・・・・。

 この数か月のイベントが印象にありすぎて、その肝試しが、遠い思い出になった自分がいる。


 そんな風に思い出していると。

 「ひ、ひいっ。」

 僕は驚く。

 頭の上に布のようなものが通ったり。


 扉を開ければ、ゾンビに扮した生徒たちが。

 「うりゃぁぁぁぁ~。」

 と声をあげて、襲い掛かる。 


 「うわぁぁぁ!!」

 「ひゃぁぁ!!」

 思わず声をあげる僕と結花。


 一気にかけるように、お化け屋敷を出ようとするが。

 ミイラに出くわしたり、吸血鬼に扮した生徒に出くわしたりと、まさにハイクオリティなお化け屋敷だった。


 やっとの思いで、お化け屋敷を出る僕とマユ。


 「す、すごかったねぇ~。ひかるん。」

 マユははあはあと荒い呼吸になっている。

 「はあ、はあ、ごめん、僕、すっごくなんか、ヤバそう。」

 僕は驚いたためか、思いっきり、咳をしてしまう。


 「ははは、大丈夫?ひかるん。」

 「ああ、何とかね。ありがとう。」

 マユが優しく声をかける。


 「お帰りなさい、楽しんでいただけたようで何よりです。」

 シーツを被った義信に再び出迎えられる。


 「いやぁ~、ハイクオリティだったよ。」

 僕は呼吸を整え、義信に親指を立てる。


 「うん。凄かった。」

 マユもここまでの表情になるのは本当に久しぶり。

 事実、夏、茂木の別荘の時の肝試しは、かなり余裕の表情だった記憶がある。


 「そう言っていただけて、何よりです。」

 義信は笑っていた。


 ここまでのクオリティの高さの要因は作りこんだのは勿論だが、一番大きいのは生徒の質だろう。

 先日の体育祭で、義信のクラス、1年E組が上級生のクラスを押さえて総合優勝したということでもあるように、現役の運動部や、今は文化部でも、中学時代、運動部経験者が、かなりの割合を占める。

 そのこともあってか、義信含め、E組のクラスメイトの平均身長がかなり高い。事実、僕よりも背の高い女子生徒もいるほどだ。

 さらに、その2番手、3番手に、D組、F組、G組がこの平均身長の値を追っているし、運動部の割合も、それに準じている。


 よって、恵まれた身長を活かして、お化け役が襲い掛かったり脅かしたりするシーンがより大きく見えるのだった。


 残りの時間は、運動部で食いしん坊なマユのために、屋台を回った。

 どれも美味しく食べるマユはニコニコ笑っていた。


 「じゃ、ひかるん、明日も部活の終わりに急いで、ここに行くから、待っててね♪」

 マユの言葉に僕は頷き、マユと別れる。


 引き続き、残りの時間をメイド喫茶のシフトと、生徒会メンバーとして、隅々まで見回りをするという文化祭1日目の時間が過ぎて行ったのだった。




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●現在執筆中の別作品もよろしければご覧ください。

 1.忍者翔太朗物語~優秀な双子の兄だけを溺愛する両親のもとで奴隷のような生活をして育った忍者のお話~URLはこちら↓

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 2.元女子魔道学院に異世界転生した男子の僕が入学するとどうなるのか?⇒なかなか更新できず、すみません。

 https://ncode.syosetu.com/n7938ht/


3.只今、構成中。近日アップします。

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