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106.メイド喫茶~文化祭1~


 前日祭の福引大会にて、ホテルニューISOBEのチケットを手に入れた僕。

 大切に持ち帰り、自宅の引き出しに保管して、翌日。


 いよいよ、文化祭が始まる。

 超がつくくらいの早朝。伯父と一緒に、農家でとれた、レタス、キュウリ、そして、いくつかの果物を伯父のトラックに乗せて、僕は自転車ではなく、伯父と一緒に家を出た。


 学園の校門にたどり着くと、すでに早織が出迎えてくれ。

 「朝早くからありがとう、橋本君。」

 そういって、伯父のトラックから積み荷を降ろす。


 「おう、お嬢さん、ご注文の品だぜ!!」

 伯父の進はそう言いながら、レタス、キュウリ、野菜、そして、いくつかの果物を早織に渡した。


 このトラックから下ろしてきたものは、メイド喫茶の出し物で使う、メニューの材料。

コンクールの事情、そして、僕と結花はメイドの衣装の担当になっていたため、早織のサポート手が回らない分、今日は朝早く着いて、早織をサポートすることに。


 早織に案内され、家庭科室の一角で、準備する。

 すでに何人かの、A組、B組、C組の家庭科部員が集まっていた。


 本当に、早織たち、クラスの家庭科部の皆さんには頭が上がらない。

 メニューは全て任せっきりだった。


 「えっと、そしたら、これを洗ってもらえる?」

 早織は伯父の畑でとれた野菜、果物を指さす。


 「うん、わかった。」

 僕は早織の言葉に頷く。

 レタス、キュウリ、ニンジンなどの野菜を洗っていく。

 そして、文化祭は秋の季節、伯父の畑の果物には、葡萄ができ始めていた。

 オレンジ、葡萄と、果物を洗っていく。


 さすがに、パイナップルは気候の関係もあって、伯父の畑では育てていないため、スーパーで購入したものになっていた。


 早織と一緒に居た家庭科部員たちは、僕の洗った野菜を手際よく切っていき、メニューを作り置きしていった。

 冷やしパイン、伯父の畑でとれたフルーツデザート、さらにはチーズケーキ、ワッフル。

 デザートだけでも多いのに、レタス、キュウリ、そしてハムとチーズを乗せた、サンドウィッチ、さらに候補に挙がっていた焼きそばもある。

 試作品をいただき、食べる。


 「うん、すごく美味しい!!」

 僕は早織にニコニコと笑いながら言った。

 オーブンくらいであれば教室のコンセントを使えるというので、このとろとろとした、サンドウィッチを思いついたのだという。

 早織はやったと心の中でガッツポーズをして。


 「あ、ありがとう!!頑張って良かった。」

 と早織。


 「とりあえず、調理のシフトは、私たちと何人かに簡単に教えるだけで、間に合いそうだから、輝君は生徒会ということもあり、フロアと、私たちの連絡をお願い、私たち、フロアはまでは見れなそう。」

 早織の言葉に僕は頷く。


 そうして、家庭科室から慎重に作り置きした料理を運ぶ僕たち。

 家庭科室から、会場の教室まで、何度も往復した。


 「おはよう、ハッシー、そして、家庭科部の皆!!」

 結花が元気よく挨拶をする。


 結花も同じように、早織たち率いる家庭科部の皆に、メニューを任せっきりにしたことを謝る。

 首を横に振る、早織と家庭科部員たち。


 そうして、結花とともに現れたのは赤城兄妹。

 大きなスーツケースを持ってきており、メイド服が人数分入っていた。


 改めて、赤城兄妹の作ったメイド服のクオリティの高さに驚く、僕たち。

 そして、僕と結花は試作品を見せてもらったため、想像は出来ていたのだが、その出来栄えを初めて見た、家庭科部員たちはさらに驚いた。


 「すごーい。」

 「私は、あそこまでできない。」

 と家庭科部員たちは目を丸くしている。


 「きれい。家庭科でも、私は料理だけで、こういうのは出来なかったんだ・・・・・。」

 早織はメイドの衣装にときめいている。

 確かに家庭科の授業では、料理以外でもこういう、衣食住の衣のこともやるよなぁ・・・。


 早速ではあるが、メイド服を早織と家庭科部のメンバーに着てもらうことになった。

 それにも興奮する家庭科部員たち。

 予算と時間の関係上、裏方の調理担当者まで、メイド服が作れなかったため、この試着が彼女たち調理担当にとって、メイド服を唯一着られる機会となったのだった。


 メイド服が着られて、嬉しそうな、家庭科部のメンバーたちと対照的に。

 「ちょっと、恥ずかしいかも・・・・・。」

 早織は顔を赤くしながら言ったが。


 「ほらほら、ハッシーが待ってるよ!!」

 と結花に背中を一押しされ、着替えの場所まで移動し、メイド服に着替えた早織がもどってきた。


 顔を赤くしている早織。

 「ど、どうかな?」

 早織はドキドキしている。


 おそらく事前に調理担当はメイド服は着ないということになっていたためだろう。

 赤城兄妹と同じように恥ずかしがりやな早織は、それを聞いて少し安心していたのだろうか。

 ところが、それがいざ着るということになると、やっぱり少し恥ずかしい。そんな感じだ。


 「とても似合ってる。」

 僕はニコニコ笑う。


 「えっと、お、お帰りなさいませ、御主人様!!」

 早織は大きな声で言って、ぎこちなくスカートをたくし上げて豪快に会釈をしたのだった。



 その動作に笑う、僕たち。


 そんな感じで、一喜一憂しながら、クラスのメイド喫茶の担当メンバーが続々と登校し、いろいろな準備を終え、諸注意の連絡をする。


 「事前に言っていたと思いますが、メイド服は数に限りがあって、フロア担当の人数分しか用意しかしていないので、シフトの時間に着回しする感じでお願いします。サイズは誰が来ても大丈夫になっているので。」

 結花がメンバーに伝える。それを見守り、補足を随時入れていく僕。


 「助かった。ハッシー、ありがとう。」

 諸連絡を終えると結花は僕にニコニコと笑って、感謝していた。


 こうして、文化祭の開始時刻になり。続々と来場者が、この花園学園の門をくぐっていく。


 それに比例して、お客の入りもどんどん増えていく、僕たち、1年A組、B組、C組のクラス合同企画の出し物、メイド喫茶。

 いや、お客の入りはとても上々だ。


 込み具合を見ても、隣の教室の出し物と比較すると、かなり混んでいる。


 「あっ、橋本君は昨日着た福引大会の衣装を着用してね。生徒会の仕事もそれで出来るから。」

 赤城姉妹の双子の妹、未来の言葉に従って、僕は昨日同様、シャツにベストを着て、対応していた。


 そう、メイドはあくまで女子。ここは元女子校で、男子は、各クラスに1人。

 僕の衣装は、僕専用のものになっていて、ベストも僕に合わせて作ってくれたようであり、サイズがピッタリだった。


 そんな感じで、忙しく、メイド喫茶の業務をしていると・・・・。


 「よっ、少年。元気そうだな。」

 聞きなれた声がする。

 見るとそこには原田が立っていた。

 原田の姿を見て、少し驚く僕。


 「文化祭なんだろ?外部の人がこうして来るんだ。私だって来てみたいさ。それとも、私が来て不服か?少年?」

 原田はにやにやと笑う。


 「い、いえ。まさか来てくれるなんて、驚いただけです。ご来場、ありがとうございます。」

 僕は原田に頭を下げる。


 「そうか。それなら、まあいいか。入らせてもらうぞ!!」

 そういって、原田はメイド喫茶に入っていき、飲み物と、フルーツのデザートを注文していく。


 そこへ、結花がやってきて。シフトの交代の時間。

 僕は休憩時間になり、諸々の引継ぎをして、原田の元へ。


 「その子がやって来たんだから、休憩時間だな少年、悪いな。君とももっと話したかったんだけど。邪魔するとなぁ。」

 原田は結花の方を見て声をかける。


 「こ、こんにちは、ご無沙汰しています。ありがとうございます。」

 結花は原田を見て頭を下げるが。


 「かしこまらなくていいさ、元気そうで良かったよ。私と、アンタは似てるんだ。またゆっくりな。」

 原田はニコニコ笑う。


 「しっかし、コレ、よくできてるなぁ。ホラ、メイドさんの衣装だ!!」

 原田はクラスのメンバーを着ている、メイド服を指さす。


 「やったー!!ありがとうございます。同級生の子の手作りです!!」

 結花は嬉しそうに微笑む。

 さらに驚いたのは原田だった。


 「なんと、まさか、ここまでやるとは。」

 原田は驚きを隠せない様子だった。


 「ああ、丁度作った子がいます。赤城さーん!!」

 結花は赤城兄妹の妹、未来の姿を見る。

 未来は結花の手招きに応じて、僕たちの元へ。

 「はーい。」


 メイド服を着ているからなのだろうか、コスプレをするときにはキャラクターになり切れるため、未来は元気よく、原田の元に来ることができた。


 「こちらが、メイド服を作った、赤城さん!!」

 結花は自信満々に言った。


 「こんにちは。赤城未来です。双子の兄と一緒にこちらのメイド服を作りました。」

 未来はハキハキした声になる。


 「おお、そうか、ヨロシクな。私は、2人の知り合いの原田です!!メイド服があまりにクオリティが高くて声を掛けました。他にも服作ってるの?」

 原田はニコニコ笑う。


 「はい。」

 未来はそれに返事をして頷く。


 「そうか、それはすごいな!!そしたら、2人に連絡しておくから、君さえよければ、是非今度見せてくれよ。もしかしたら、絶対また二人を通して、連絡するかもしれないが、その時はヨロシクな。」

 原田はニコニコと笑いながら、未来と会話をした。

 未来も。

 「よろしくお願いします。」

 と頷いていた。


 「さてと。少年!!お前の休憩時間のようだな。少し案内してくれないか?」

 原田はそう言ってにやにやと笑う。


 「それじゃ、ありがとう!!次の少年のシフトの時間までには戻ってくるから~♪」

 原田はそう言って、ニコニコ笑いながら席を立ち、お会計を済ませる。


 結花と未来に見送られながら、僕と原田はメイド喫茶の教室をあとにする。

 僕の最初の休憩時間は、原田を案内しながら、文化祭の会場を隅々まで回るのだった。



最後まで、ご覧いただきありがとうございます。

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本当に、皆さんのリアクションが励みになっています。ありがとうございます。


昨日8月6日は輝君の誕生日でしたね。

頑張ろうと、日付が変わる前に更新しようと思ったのですが・・・・。

すみません、日付が変わってしまいました。

日曜は何かと忙しいので。

そして、連載開始から1年です。

お休みの時期もありましたが、沢山の人に読んでいただき、ありがとうございます。

これからもよろしくお願いいたします。


●現在執筆中の別作品もよろしければご覧ください。

 1.忍者翔太朗物語~優秀な双子の兄だけを溺愛する両親のもとで奴隷のような生活をして育った忍者のお話~URLはこちら↓

 https://ncode.syosetu.com/n1995hi/


 2.元女子魔道学院に異世界転生した男子の僕が入学するとどうなるのか?⇒なかなか更新できず、すみません。

 https://ncode.syosetu.com/n7938ht/


3.只今、構成中。近日アップします。

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