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104.体育祭


 葉月の誕生会、つまり、生徒会の気合入れから一夜明けた。

 今日から、準備に取り掛かる。

 1日準備の日を挟んだ後に、体育祭、その後、もう一度準備の日を挟んで、文化祭となる。


 当然、生徒たちは、その準備に大忙し。

 そして、もちろんのことだが、僕たち生徒会は、その準備を取り仕切る組織なので、超大忙しだった。


 「部長、大丈夫っすか?」

 義信の声に僕は頷く。

 僕は、彼の中で、最近、課長から部長に昇進したらしい。


 「やっぱ疲れてるっすね。大丈夫っすよ。休んでください。」

 花園学園、今年から共学になった元女子校。

 1年生の各クラスに一人、男子がいる・・・・・。


 故に、力仕事は、僕と義信の仕事だった。


 とはいっても・・・・・・。

 僕の特技はピアノ。小さい頃は、マユと一緒に陸上教室に通っていたものの、運動部とかの出身ではないため、力仕事は出来ることがやっぱり限られてくるようだった。


 その点、ラグビー部出身の義信。力自慢だった。


 「ハハハッ、やっぱりハッシー、力はなさすぎ~♪」

 一緒に手伝う結花。にこにこと笑う。


 「ごめん、ごめん、僕も、男子なのに・・・・・。」

 結花のリアクションに手を挙げる僕。


 「な~んてね。ハッシーにはハッシーの特技があるし、アタシもそれで助けてもらったからお互い様!!」

 結花は笑顔を見せる。

 流石は、心音と一緒にヤンキーをやっていた経験のある結花。

 恥ずかしい話ではあるが、力は僕よりも結花の方がありそうだ。


 「あっ、今のは、心音パイセンからの受け売り。アタシも昔は、力のない男なんて、相手にしていなかったし・・・・。」

 結花は顔を赤らめて言う。


 「うん。ありがとう。」

 僕はそう言いながら、再び、準備作業を続けた。

 確か、心音の方が先に突然ヤンキーから足を洗ったと言っていた。

 そんな時に結花も同じことを思ったのだろう・・・・。



 そうして、準備作業を進めて、最大のイベントの一つ。体育祭を迎えた。


 「お疲れ様、それじゃ、最初のイベント、楽しんでね!!」

 一通りの準備を終えて、葉月と加奈子の出迎えを受ける。

 そうして、諸連絡を終えて、僕たちは再びクラスの元へ。


 体育祭はクラス対抗。

 グランドと体育館で色々な競技が行われる。

 ちなみに1年の男子は力加減を同じにしたいため、バスケットボールとリレーに出場することになっていた。

 当然、僕の、出場種目もバスケットボールとリレーだった。


 まずは、バスケットボール。

 結花と、早織も出場するというので心強い。

 とはいっても。


 僕は球技はとても苦手だったため。

 やっぱり、運動部の女子たちにはとても太刀打ちできなかった。

 「ハハハッ、やっぱりハッシー。運動、苦手だね・・・・・。そしたら・・・・。」

 結花は笑いながら、パスを促し、一気にゴール下まで、ドリブルをする。

 そして。


 結花のシュートは見事ゴールを決めた。


 「ナイス!!、そして、ごめん。」

 と結花とハイタッチをする僕。


 「大丈夫、大丈夫。流石にアタシも3ポイントシュートは出来ないけど、確実に行こう!!」

 結花はそう言いながら、確実に攻めていった。

 しかしながら、相手チームにバスケットボール部員が居たのだろう。


 「負けちゃったね。でも、ナイスファイト!!」

 結花はニコニコ笑っていた。

 「うん。ごめん、そして、ありがとうね。フォローしてくれて。」

 僕は結花に向けて頭を下げたが。

 結花は首を横に振っていた。


 「気にしなくていいよ、私なんか何もできなかったし・・・・。」

 早織はハアハア言いながら、僕たちをフォローしていた。


 「うんうん、運動部の多いチームに見事食らいついたな、よくやったぞ。」

 担任の佐藤先生も、そう言って、迎えてくれた。



 バスケットボールの試合は、僕たちはその後見学することになるのだが。

 E組が圧倒的に強かった。

 運動部もそこそこ居たし、なんといっても、義信の身長。あれは女子たちにとっては反則だった。


 「1年のバスケットボールはE組の優勝だね。」

 僕は結花に笑いながら、生徒会用の記録をつける。


 「ハハハ、義信の身長、あれはやっぱり反則だね。」

 結花も笑いながら、そう言っていた。



 そうして、他にも球技の試合がいくつかあり、その度に応援と、生徒会役員として、記録をつけていった。

 そして、最後の種目。


 「最後の種目はクラス対抗リレーです。一発逆転の大チャンス!!グランドに集合してください!!」


 高校の生徒全員が、グラウンドに集まる。


 クラス対抗リレー。まずは1年生の部。

 「アンカーは今年から共学になったということで、各クラスの唯一の男子です。ということなので、アンカーのみ、走る距離はトラック一周400メートル、その他の走者は半周ずつの200メートルずつとします。」

 司会のアナウンスのもとリレーが始まる。


 よーい。ドン!!

 1走者目からリレーが始まる。

 なるほど。400メートルなら・・・・・。

 僕はマユと一緒だった小さいころを思い出す。


 記憶を呼び戻している時でも、リレーは2走者目、3走者目とバトンが続いて行く。


 僕のクラス、1年B組は、現在4番手。

 アンカーの僕の一つ前の走者、結花がスタートする。

 結花はクラスの人気者でもあって、運動神経もそこそこあったから、こうして、リレーの選手に選ばれている。


 順位は変わらず4番手。

 1番手のクラスはE組、アンカー義信がスタート。

 2番手、3番手のアンカーもスタートしていく、唯一の男子だからだろうか、良いところを見せようと必死だ。


 そして、4番手、結花からバトンを受け取る。

 「頑張って、ハッシー。」

 僕は頷いて、走り出す。


 精一杯やるだけ。何だろうか、心のどこかで余裕がある。

 1人目を抜いていく。


 「おお、B組の橋本君が1人抜いた。ピアノの最優秀伴奏者賞以外でも、特技があったようです!!」

 会場から、おおっ。という声。


 そんな声も聞こえず、集中する僕。

 マユだったらもっと早いよな。たとえ、長距離の選手でも・・・・・・。

 僕はそう思いながら、走っていく。


 2人目も一気に抜いて、2位に立つ。


 3人目も抜いていきたい、つまり、トップを走る義信に勝ちたい

 だけど。


 彼はラグビー部出身者。つまり、動ける○○だった。

 運動部の割合が多いE組。これまでの貯金を使い、独走状態でゴール。

 そして、2位が僕たちのクラスだった。


 「すごいっす、部長!!まさか、まさか、こんなに迫ってくるなんて。」

 義信が駆け寄ってくる。


 「まあ、小学生までは一応、こういう競技やってたことあるから。」

 「おおっ。凄いっすね!!」

 義信がにこにこと笑う。


 「ハッシー、ナイスファイト!!」

 結花が笑っている。

 「ごめん、やっぱり、E組独走は阻止できなかった・・・・。」

 「ハハハッ、別にいいよ~。運動部の割合が多いんだもん、大丈夫、大丈夫!!」

 結花がポンポンと叩く。


 「すごいですね、橋本さん。」

 ハアハアと息をしながら近づいてくるのは、A組男子、赤城兄妹の双子の兄、隼人だった。


 「まあ、何とかね。」

 僕は隼人にもこたえる。


 「まあ、2人は、別の特技があるから、むしろ、そっちの方が高く評価してるし、大丈夫。大丈夫。」

 結花がニコニコ笑う。


 2年生、3年生のクラス対抗リレーが終了して、体育祭の全種目が終了。

 「皆様、お疲れさまでした!!これより、得点を合計しますので、しばらくお待ちください。得点を合計している間に、エキシビションとして、部活対抗リレーを行います。出場できる部活はどうぞお集まりください。」


 と、司会の放送部のアナウンス。


 そうしたところに、葉月が駆け寄ってくる。

 「すごいじゃん、輝君。」

 葉月はニコニコ笑う。


 「そうね。流石はマユちゃんと一緒に陸上教室に通ってた、と言ったところかしら・・・・・。」

 史奈がニコニコと笑った。


 「と、言うわけで、輝君と義信君が大健闘したので、生徒会もリレーに参加してみたいと思いま~す!!」

 葉月が親指を立てて行った。


 「良いよね、加奈子!!」

 葉月は加奈子を見る。


 「えっ。まあ、良いけど・・・・・。」

 加奈子は葉月に向かって頷く。


 なんと、生徒会も部活対抗リレーに参加することになった。

 やる気満々の義信と結花。

 僕も渋々ゆっくりと頷いた。


 そして、リレーの代表者は7名。

 生徒会メンバーは、葉月、加奈子、史奈、結花、早織、義信、そして僕。

 ちょうど7名だ。


 風歌と心音はコーラス部だし、マユは違う学校だ。


 早織も、渋々の表情だったが、結花がなだめて。

 「大丈夫、ハッシーと義信が何とかしてくれるよ!!」

 と結花の言葉に早織の表情が変わる。


 「うん、そうだよね。頑張って♪私も頑張るから。」

 と、少し安心した早織がそこに居た。


 そうして、リレーのスタートラインに並ぶ。


 よーい。ドン!!

 スタートの号砲が鳴った。


 第一走者の早織。案の定後方からのスタートでバトンは第二走者の葉月へ。

 しかし、トップとの差は広げられていく。


 第三走者は加奈子。ここから一気にギアをあげたい。

 加奈子も、原田の合宿の走り練習で鍛えられているはず。


 頑張れ、加奈子!!


 「さあ、生徒会の新旧会長同士のバトンリレーだ!!」

 アナウンスが入り、第四走者の史奈。


 ここからは女子でも運動部経験者が続く。

 差は縮まるか・・・・・。


 しかし史奈も、球技が得意で、こういった競技は慣れていないのか、トップとの差が埋まらず。


 そして、第五走者の結花へ。

 結花は1チーム抜き去ることが出来た。


 さあ、ここから差を縮めたい。

 第六走者の僕。結花からバトンを受け取り、一気に走り出す。

 だが、先ほどのクラス対抗では400メートル分あったが、ここでは半分ほどの距離。

 僕も1チーム抜いて、1つ順位を上げることがやっとだった。


 アンカーは義信。

 流石の義信も、2チーム抜くことは出来たが、オール運動部で構成された女子チームには勝てなかった。義信にバトンが渡るまでの差が大きすぎた。


 「ああっ、ごめんね、なんか言い出しっぺの私が足を引っ張っちゃったみたいで。」

 葉月は笑いながら頭を下げる。


 「そんな、気にしないで。なんだかんだで、僕、すごく楽しかった。」

 何だろうか。確かに、1位にはなれなかったが、生徒会メンバーは、クラス以上に一緒にいる時間が長い。

 絆を深められた気がする。


 「そうね。クラス以上にみんなを応援したくなっちゃったわ~。」

 史奈がニコニコ笑う。

 義信も、結花も、そして、早織と加奈子も頷いていた。


 「それではエキシビションはこの辺にして、体育祭の合計得点の結果が出ましたので発表します!!」


 そして、司会の放送部員から、1年E組の優勝がコールされた。

 なんと、E組は1年生は勿論、上級生のクラスも差し置いて優勝してしまったのだ。


 確かに、運動部員の多さと、一際、体の大きい義信のパワーは反則だったに違いない。


 にこにこと笑う義信達は、こっちも誇らしかった。


 こうして、体育祭が終わり、再び体育祭の片づけと、文化祭の準備を行うことになった。

 「また、明日の夕方には文化祭の前日祭があります。準備、片づけを一生懸命して、また明日お会いしましょう!!」

 そんな司会の挨拶で、花園学園メインイベントの前半戦、体育祭が終了したのだった。

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●現在執筆中の別作品もよろしければご覧ください。

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 2.元女子魔道学院に異世界転生した男子の僕が入学するとどうなるのか?⇒なかなか更新できず、すみません。

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3.只今、構成中。近日アップします。

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