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10.生徒会でお出かけ


 百貨店前の交差点に僕はたどり着いた。

 とりあえず、自転車を駅の駐輪場に預けて。


 ここで待ち合わせれば大丈夫かなと。


 今朝は何を着て行けばいいか迷った。

 私服だよなあ。


 私服・・・・・・。


 とりあえず、襟付きのシャツと、ジーンズで良いだろう。

 女性の人と出かけるので、いつもより、気を使っている自分がそこにいた。



 「ヤッホー。輝君。お待たせ!!」

 元気よく登場したのは、葉月だった。

 葉月の私服は、紺色のワンピースと白いカーディガンだった。


 「ふふふ。制服の時とあまり変わらないね。少し安心しちゃった。」

 葉月は少し安心した顔で、言った。


 「まあ、こういうタイプの服ぐらいしかもっていないし。こういう服装は好きなので。」

 僕は少し緊張しながらも、葉月の私服に少し見とれる。

 さすがは理事長の娘だ。本当によく似合っている。


 「お~。輝。葉月!!」

 加奈子の声がする。

 振り返ると加奈子の声がする。


 白いカットソーに、黒の細身の長ズボン。動きやすい、シンプルな服装ではあるが。

 彼女の細身の体をより清楚に際立たせている印象があった。


 髪型は今日はきっちり後ろでまとめられている。


 なるほど、普段私服の時は、こういう髪型をしているから、広げたときに、縛った跡がついている印象なんだなと思う。



 「服装も髪型も素敵ですね。」

 僕は加奈子に言った。


 「ありがとう。」

 加奈子はお礼を言う。


 「ほら。学校に居るときもそういう髪型にすればいいのに。後ろで、まとめていると本当にスタイルいいよ。」

 葉月は笑いながら加奈子に言う。


 「ははは。まあ、努力はしているんだけど。やっぱり朝早いと少しね。それに縛るといろいろ癖で気にしちゃうから余計にね。」

 加奈子は笑う。


 なるほど、確かに朝早いと、ゆっくり仕度もできないよな。

 と僕も思う。

 


 「みんなお待たせ。」

 一番最後にやってきたのは瀬戸会長だった。

 瀬戸会長だけ唯一、普段の制服のままだった。


 「お疲れ様です。部活だったんですね。」

 葉月が言う。


 「そうね。大会が近いから、午前中は練習。」

 瀬戸会長が笑いながら言う。


 「さて、お出かけしましょうか。橋本君は引っ越してきたのよね。そしたら、この町を私たちで、案内するわ。」

 そういって、瀬戸会長と葉月、加奈子は頷いた。


 確かに、この町は初めてだった。

 基本は伯父の家にずっと引きこもって畑仕事をしていたし。散歩しても雲雀川より向こう、つまり、こちら側の町の中心部には遊びに行かなかった。


 「まずは、この百貨店に入りましょう。売っているものは少し高いけれど。中にはテナントのお店がたくさんあって、そっちは安いはずだから。基本的にこの百貨店とそっちの家電量販店に行けばなんでもそろう感じかな。」


 ということで、生徒会メンバーに連れられて、百貨店の中に入った。

 どこにでもある百貨店。

 一階は化粧品。二階、三階は婦人服。四階は紳士服。五階は文具や雑貨。そして食品売り場は地下と本当にどこにでもある百貨店だった。


 生徒会メンバーはどんどんエスカレータを上に上がっていく。

 「どう?この百貨店は。」

 葉月が聞いてくる。


 「どこにでもあるような、普通の百貨店という感じがします。後は若い人向けなのでしょうか。照明が明るかったり。ですかね。」

 僕は葉月の質問に答える。

 それ以外に答えようがなかった。


 「そうだね。でもここから驚くかもね~。」

 葉月は笑っている。

 「まあでも。ここから驚いてもらいましょう。次のエスカレータは輝君が先頭にどうぞ~。」

 瀬戸会長に促される。

 葉月もニヤニヤしながら頷く。加奈子もうん。と頷いている。


 百貨店の5階から6階へ向かうエスカレータに先頭で乗る。

 するとどうだろう6階で見た光景・・・・・。


 そこは映画館だった。


 「映画館。ですか?」

 僕は生徒会メンバーに言う。


 「ピンポーン。ここの6階から上は、映画館とか本屋さんとか、いろんなお店が入っています。」

 葉月はニヤニヤしながら言った。


 「面積は駅地下なので、郊外にある、大型ショッピングモールよりは少し小さいけど、それでも十分広いから、色々楽しめるよ~」

 加奈子はこの施設のことをいろいろ分析しながら、教えてくれた。


 「ふふふ。それでは驚いてくれたので。最上階。10階のフードコートへ行きましょう。みんな、お昼ご飯はまだだったりする?」


 「すみません、会長。食べてきてしまいました。」

 葉月が言う。

 「すみません。僕も、午後からだったので。」

 葉月に連れられて、僕も言った。


 「私はまだです。」

 加奈子は言った。


 「そう。そしたら、加奈子ちゃんは私と一緒にご飯食べましょう。二人は、そうね~。席を取ったら、葉月ちゃん、いろいろ案内してあげて。」

 「はーい。」

 瀬戸会長の言葉に葉月が返事をする。


 フードコートに到着するとビックリ。やはり、いろいろなお店が立ち並ぶ。

 そして、多くの人でにぎわっていた。


 『混雑のため、只今の時間のご利用時間は一時間以内とさせていただいております。』

 という立て看板がいたるところに目につく。


 見通しのいい窓際の席が空いていたので、そこに座る。

 かなり明るい。


 「じゃ、葉月ちゃん。案内よろしくね。」

 瀬戸会長にそう言われながら葉月は照れたように笑い。


 「よしっ。じゃあ、輝君。こっちだよ~。」

 葉月に連れられてやってきたのは、スイーツのお店だった。

 『クレープ』と書かれている。


 「有名なクレープの専門店だよ~。」

 葉月はそう言いながら、そのクレープの専門店の列に並ぶ。


 いろいろなメニューがあり・・・。写真で見ると本当にどれもおいしそうだったので僕も葉月の後ろに並ぶことにする。


 「え?クレープで良いの?もっと、いろいろあるのに。なんかごめん、私の大好きなお店に先に案内しちゃったから。どれが食べたい?って、聞いておけばよかったね・・・・。」

 葉月は戸惑っていた。どうやらこの後僕のために、いろいろ、フードコートのお店を案内してくれる予定だった。


 「いえいえ。写真見て、おいしそうだったので。特にこの、季節限定の、ラズベリーソースのやつなんか。」

 僕は素直に感想を言った。


 「おっ。お目が高いね!!限定メニューもこの店、美味しいんだよ~。」

 葉月はそう言いながら、列に並び、やがて葉月の注文の出番が来ると、自分の文のクレープを注文する。

 次は僕の番だ。こういうお店は初めてなので、先ほどの葉月の注文を真似をし、ラズベリーソースのクレープを注文した。


 注文通りに出てきたクレープはとてもおいしそうだった。


 「じゃ。戻ろうか。」

 葉月の言葉に促され、僕は瀬戸会長と加奈子のテーブルに戻った。


 「へえ。橋本君もクレープにしたのね。あそこは美味しいもんね。」

 席に戻ると、瀬戸会長は笑いながら言った。

 「はい。実際にすごくおいしそうです。」

 僕は頷く。


 実際に食べてみるととてもおいしかった。

 春限定という、ラズベリーソースが、おいしさの決め手だろう。

 そして、いろいろなベリーのつく果物がトッピングされていた。

 ストロベリーと呼ばれる、イチゴに、ブルーベリー。そして、ソース以外にもラズベリーがトッピングされている。

 「すごくおいしいです。」

 僕は感想を言うと。


 「本当?よかった。」

 葉月は得意げになって笑っており、安心した表情を見せた。


 瀬戸会長と加奈子が注文した料理もおいしそうだ。

 会長はがっつりお肉の料理。

 加奈子は健康的な野菜や魚の定食が並ぶ。


 「運動した後だからこれくらい食べないとね~。勿論、お寿司とか、お魚とかも好きだけど。ボリューム満点のハンバーグかな。」

 瀬戸会長はそう言いながら、鉄板に乗った。ハンバーグを食べている。


 「私は、いろいろと気を遣うかなぁ。」

 そういいながら、加奈子は本当に健康的を食べながら笑っている。


 「本当に健康的よね。加奈子ちゃん。」

 瀬戸会長も褒める。


 「そうね。私も見習おうっと。」

 葉月がそれに続く。


 「輝君は何が好き?普段は何食べるの?」

 葉月が聞くと。


 「どちらかと言えば、加奈子先輩が食べている料理が好きですね。和食と言いますか。今いる伯父の家がすごく大きな農家なんで、野菜がたくさん並ぶといいますか。」


 「「「ああ~。」」」

 この言葉に一同は頷く。


 「そう。農家だったら、それは健康的な野菜が並ぶよね~。」

 瀬戸会長は、頷きながら、笑っている。


 「はい。前住んでいた家に、伯父が定期的に野菜を届けてくれていたので。小さいころから・・・・・。」

 皆、そりゃそうなるよな。という顔をしていた。


 「さてと。食べた後は体を動かしましょ。」


 ということで、フードコートと同じフロア。百貨店施設の最上階にある、ゲームセンターに入った。

 最上階は、半分がフードコートで、半分がゲームセンターという感じだ。

 そして、ゲームセンターの音が漏れないように、自動ドアで仕切られていた。


 クレーンゲームや、その他ここに設置されているゲームを一通りやった。

 最後はみんなでプリクラを取り、その写真を生徒会メンバーと落書きをして、スマホに保存した。


 「ふうっ。やっぱりここは何でもあるね。」

 瀬戸会長はそういうと。遊んだ、遊んだというような大満足した表情で笑っていた。


 「会長~。そろそろ本題に入らないとですよ~。」

 加奈子が会長に向かって言う。


 「ああ。そうね。輝君。どう?加奈子ちゃんの良さ少しでも見つかった?」

 瀬戸会長が僕に向かって言う。


 「はい。いろいろと。健康的な食事をされていることとか・・・・。」

 「他には?」

 瀬戸会長が言う。


 僕は少し考えて。

「・・・・・。かなりスタイルがいいとか・・・・・・。」


 「そうね。もっと何かが欲しいなあ。・・・・・。ということで、私も満足したし、ゆっくり話す場所が欲しいなあ。どこかないかしら。」

 瀬戸会長が聞いてきたので。

 葉月がひらめいたかのように言った。


 「そしたら、私の家なんかどうですか?ここから近いですし。輝君に会いたいという人も居ますし。」


 葉月が提案してくる。

 葉月の家、つまり、理事長の家。


 「えっと、理事長の家ですよね?」

 僕は葉月に言った。


 「そうだね。でもパパは今日は居ないから。みんなも、私の家でゆっくりできるよ。といっても、パパも輝君に会いたがってたけれどね。まあでも、私の家に来れば去年の演説会のビデオとか残っていると思うから、参考にできるかも。」

 葉月はそう笑顔で言った。


 「それ、いいわね。去年の演説会というと、私のスピーチなので、結構恥ずかしいけど。まあ、いいわ。行きましょう。葉月ちゃんの家に。」

 瀬戸会長が頷いた。

 加奈子も黙ってうなずく。



 僕たちは、百貨店を出て、葉月の家。つまり理事長の家に向かうことにした。


最後まで、ご覧いただきありがとうございます。

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