第????:2話
いやぁモンハン楽しいなぁ。それはそうとして、フリウォの続編、やっぱり来ないのかなぁ……。
俺の名前は、龍ヶ峰 刃。燦然学園に通う高等部二年の十六歳だ。
燦然学園は、幼·小·中·高の四つが合わさった、編入有りの一貫高のようなもので、高等部は高校生に当たる。因みに俺は高等部からの編入生として入学したクチだ。
って、そんなことは如何でも良くて。
今日は、西暦二○六八年、十一月二十四日。
ダーウィンの進化論が世に出た日として、暦の上では「進化の日」とも設定されている日付だ。
そしてーー俺が発売当初、具体的には三年前から嵌まっているVRMMOゲーム『How』ーー『Hellow other world』における初の大幅なアップデートが行われる日でもある。
『How』は、異世界『イグニス』で第二の人生を送ろう、というキャッチフレーズを謳う、広大なフィールドを自由に駆け巡るフィールド探索型のRPGだ。
この『How』では、年一回行われる『王者決定戦』『破殻の試練』イベント、年三回の『精霊祭』イベントと、掲示板管理や規約違反の取り締まり等を除き、運営が干渉してくることは全くと言って良い程ない。
故にこのゲーム、運営が設定するストーリーというものがない。強いて言うならばゲーム内の歴史がそれだ。
そんな、完全にプレイヤー任せで放置されている、正直これだけだと人気の出そうにない仕様の『How』ではあるが、それを補って余りある他の要素が呼び水となって十二億人以上の人々が『How』を購入した、という結果になった。現在では三○億人を超している。
今の世界人口は七六億人前後。世界中の約三分の一の人々が『How』をプレイしている、と言うことである。
言葉の壁が問題になりそうだが、自動翻訳がリアルタイムで行われている為全く苦情が出ていない。むしろ、何をどうすればここまで完璧な意訳が出来るのかと掲示板の検証組が大喜びで騒いでいる程だ。
『神ゲー過ぎて草』といった感想が、ネットでは定番になっている。
こんな感じで、現状ですら超絶神ゲーと評されているところに、運営からの『大幅なアップデートのお知らせ』だ。しかも『進化の日』に、という重ね掛け。
『How』について語り合う掲示板では、アップデートの告知があった日から速攻で騒ぎになっていた。祭りじゃ祭りじゃぁっ!! なんて言ってるスレの住人達が、何時にも増して面白くなっていて、腹筋が崩壊しかけた。
閑話休題。
運営の告知では、今日の十二時から十五時五十分までがアップデートの所用時間と書かれていた。
先程俺が黙らせた目覚まし時計を見ると、針は七時十分を示している。アップデートの終了時刻までは、約九時間近い。『How』をプレイして暇を潰すにしても、アップデートが始まる十二時からはオンラインプレイが出来なくなるため結局四時間余る。
「······如何するかね」
背を反らして軽く伸びをしつつ、くぁ、と欠伸をする。
もう既に着替えも終わっているし······。
箪笥の服の入っていない棚を引き開けて、『How』に、というよりVRゲーム全般にログインするために必要なVRデバイスを取り出す。
デバイスを片手で回したり浮かせてキャッチしたりと遊ばせながら少し考えても、良い答えは出ず。
一先ず、『How』をプレイした後で考えよう、と俺は決めたのだった。
超shazだぜ!