09 討伐報酬!!
九話 討伐報酬!!
山賊の襲撃から数日。
私はお金を大切に持ちながら武器屋へと立ち寄る。
山賊たちをやっつけて他の宿泊客の身の安全を守ったとことを宿屋の主人がこれまた歓喜。 なんと私の宿泊費を全額免除にしてくれることになりお金に余裕ができたのだ!
もちろん食費は別途必要にはなるけれど、無償で住める場所が確保できただけかなりありがたい。
あとは自分のレベルを上げて強い魔物を倒してその報酬を売る……それを繰り返して充分なお金が貯まり次第どこかで夢のマイホームを購入して平凡な生活を送るんだ!
夢いっぱいの私は気合い十分で武器屋に並べられている武器を見て回る。
しかし……
「はぁ……やっぱりそうだよね」
かっこよくて強そうな武器のほとんどがかなりの高額。
私なんかが手を出せるような代物ではない。
でも私は諦めないよ!
お金がないなら増やせばいいんだから!!
ーー……ということで私がやってきたのは村から少し離れた茂み付近。
私はここでスキル【魔物召喚】を発動。
目の前に赤い魔法陣が出現し、そこに10体ほどのタワシ型魔物・タワッシーを呼び出す。
『ピギャ!!』
『ピギャアア!!』
タワッシーたちが私の足に擦りついてくるので私はあらかじめパンパンして増やしておいた木の実をプレゼント。
その後タワッシーたちにお願いをする。
「あのね、私お金必要なんだ。 だから報酬手に入れるために魔物討伐手伝ってくれないかな」
『ピギャアア!!』
『ピッギャアアア!!』
どうやら力になってくれる様子。
「ありがとう。 じゃあ行こっか!」
『『ピギャアアアーー!!』』
こうして私はタワッシーたちと一緒に茂みの奥へと足を踏み入れていったのだった。
◆◇◆◇
「ーー……これはすごいかも」
思わず心の声が口から漏れる。
それもそのはず……茂みに入ってからいろんな魔物と遭遇しているのだが、もはや数の暴力。
タワッシーたちが一斉に齧り付き、それでも倒しきれない相手の場合は山賊戦と同様に巨大な壁を形成。 その後閉じ込めてじわじわと体力を削っていく。
今だってそう。 相手は序盤で私を突き飛ばした猪型の魔獣。
個々の噛み付き攻撃では対抗できないと考えたタワッシーたちは巨大な壁を作って猪型魔獣を囲い、上下左右からの攻撃を仕掛けている。
今でどのくらいいるんだろう……さっきから追加で【魔物召喚】使ってるから50体以上はいるよね多分。
『ピギャアア!!』
『ピッギャアアーー!!』
猪型魔獣を囲う壁の中からは威勢のいいタワッシーたちの声。
最初のうちは抵抗しつつも咆哮していた猪型魔獣だったがそろそろ体力の限界なのだろう……さっきっから聞こえてくる声も次第に弱くなってきている気がする。
そうこうしているうちに見事猪型魔獣を撃破。
私の目の前にタワッシーたちのレベルが上がったというステータス画面が表示される。
●タワッシー
【レベル】18
【数値】攻:54 防:40 魔攻:0 魔防:55
【スキル】集団能力強化・合体
「ーー……なんかレベル上がるの早くない?」
私の記憶が正しければ、冒険者で結構活躍できていたお父さんのレベルが確か25くらい。
国の有名な騎士団長さんとかでもレベル35~40くらいだって言ってた気がする。
なのにタワッシーたち1日でこれだよ?
もしかして経験値も各自習得しつつそれをも合算してるってことなのかな。
誰かがタワッシーのことを魔物の中での強さは最底辺……そして初心者のレベル上げにしか使われないだけの魔物って言ってたけど、もう私の契約しているタワッシーたちはそんなちっぽけな存在ではなさそうだ。
普通に強そうな魔物に飛びかかって、実際に勝っちゃってるし。
「まぁそのおかげで素材もたっぷり手に入ってるわけだけど」
私は背負っていた白いリュックの中を確認する。
ちなみに私の背負っているこのリュックも実は討伐報酬。
【白ネコのリュック】って名前で上部に耳のようなものがついていて結構可愛い。
そしてこれまたスキルがついていて、その名もなんと【整理整頓】! 見た目よりも多めに物を入れることができ、鮮度まで保つことができる優れものらしい。
リュックの中にはビー玉ほどの大きさの光る玉や小さな牙のようなもの、他にも糸のようなもの……たくさん入っている。
私は先ほど勝利して手に入れた猪型魔獣の討伐報酬である分厚い毛皮をリュックに収納。
結構パンパンになったので私たちは村へと帰還した。
◆◇◆◇
「えぇ!? そんなにするんですか!?」
雑貨屋で討伐報酬を売りに出した私はその査定額に驚く。
なんと宿泊1ヶ月分!!
特に猪型魔獣の討伐報酬の毛皮と何の魔物だったかは覚えてないが光る玉のようなものが飛び抜けて高額らしい。
「どうされますか? 全てこの金額で売られますか?」
雑貨屋の店員が私に尋ねる。
答えはもちろんこうだ。
「じゃあこの光る玉はちょっと考えさせてください! あとは全部買取りお願いします!!」
その日の夜。
私は宿屋に戻って部屋に入るとリュックから光る玉を取り出す。
まさかこれだけでほぼ半月分の宿代になるなんて……。
「こんなのパンパンするしかないでしょ!!」
ベッドに腰掛けた私は迷わずスカートを捲ってそれをパンツの中へ。
パンパンパンパンパン☆
これを明日売ってそのお金でいい感じの武器を買う。
その武器を持ってタワッシーたちと戦えば私のレベルもぐぐーんと上がるに違いない。
「ふふ……ふふふふ……」
なんだかんだ疲れていた私はリュックを大切に抱きしめながらそのまま就寝。
あっという間に眠りについてしまったのだった。
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