06 パンパンとの相性!【挿絵有】
六話 パンパンとの相性!
『ピギャアアアア!!!』
村からそこまで離れていない場所にある茂み。
タワシの形をした魔物が可愛く鳴きながら私を威嚇する。
「よし! 報酬アイテム目指して頑張るぞっ!!」
私はなけなしのお金で購入した短剣を強く握りしめて目の前に現れたタワシ型魔物に向けて勢いよく短剣を振りかざす。
しかし……
「えーーい!!」
スカッ
相手が小型なこともあり、魔物は私の渾身の一撃を軽々と避ける。
「えーーい!!」
スカッ
「えええーーい!!!」
スカッ
『ピギャギャギャギャーー!!!』
タワシ型魔物が攻撃を当てれない私をあざ笑う。
「んもおおおおおーー!!!」
なんか分からないけど腹が立つ。
なんとしてでもこの魔物だけは倒そうと私は必死に短剣を振るうのだが、さっきからまるでかすりもしない。
そうこうしているうちに魔物も私になら勝てると考えたのか、とうとう魔物の反撃ターン。
ピギャーと声をあげながら私の足にカプリと食らいつく。
「いったーい!!!」
血が出るまでにはなっていないものの、それでも痛いものは痛い。
「んっーー……!!」
私は魔物を掴み、なんとか噛み付き攻撃から引き剥がすことに成功する。
しかしこのままではこれから何度噛まれてもおかしくない。 なんとかいい作戦を考えなければ……!
ーー……そうだっ!!
私は昨日の猪型魔獣に襲われた時のことを思い出す。
「これなら……!!」
ということで私はタワシ型魔物に背を向けその場を逃亡。
後ろから勝ち誇ったような魔物の声が聞こえてきたけど我慢我慢!!
◆◇◆◇
私は村近くに生えていた小さめの木によじ登る。
この木には食用の小さな実が成っていたのを昨日確認済みだ。
宿に泊まれなくなったらこの木の実をパンパンして食い繋ごうって思ってたからね。
私は木の実を1つ採取し、それをパンツの中に入れて何度かパンパン。
ちょっと皮膚がかぶれてるところに当たって痛いけど、薬草ほどではない。
「よーし、今度は私の反撃なんだからねー!」
私は3つに増やした小さな木の実を片手に再びタワシ型魔物のいた茂みへと向かった。
◆◇◆◇
「そぉーっと……そぉーーっと……」
足音を立てないように気を配りながら先ほどの場所へ。
大きな木の近くに木の実を置いて私は姿を隠す。
するとすぐにタワシ型魔物が出現。
早速木の実を見つけ、ぴょんぴょんと体を弾ませながら木の実の方へ。
そのまま周囲を警戒することなく上機嫌で木の実に噛り付く。
「ーー……今だ!!!」
私は勢いよく隠れていた木から飛び出して短剣を魔物へ。
食事中だった魔物は食べることに夢中。 だから簡単にーー……
ズバッ
『ピギャアアアア……!!』
短剣は見事タワシ型魔物を捉え、私は無事初の魔物討伐を成功させたのであった!!
「やったああああ!!!」
タワシ型魔物の姿がスゥッと消えていく。
この後報酬が出てくるのかな!
私はワクワクしながら消えていく魔物を凝視した。
しかしーー……
「ーー……え」
結果何もなし。
なんだかんだで何かしら報酬が出るだろうと期待していた私は理解が追いつかず、しばらくの間ぼーっとその場で立ち尽くす。
するとーー……
カプッ
「ーー……え?」
何やら右足ふくらはぎに痛みが走ったのでそこに視線を向ける。
すると先ほどとは別のタワシ型の魔物が1体。
ーー……だけじゃない!!
私の周りにたくさんのタワシ型魔物が群がっている。
「え、え、え!? なんで!?」
『ピギャアアアア!!』
『ピギャギャアアーー!!』
みんなピョンピョン跳ねながら同じ箇所を見つめている。
その視線を追っていくとそれは私の左手。
ーー……そうか、この木の実につられてたくさん呼び寄せちゃったんだ!!
『ピギャアアアアア!!!』
『ピッギャアア!!!』
木の実欲しさにタワシ型魔物たちが私の足にかじりつく。
「痛い! 痛いから!!」
『ピギャアア!!』
『ピギャギャギャアア!!』
「ああもう、分かった! 分かったから!!!」
私は残り2つの木の実をパンツに入れて痛みを我慢しパンパンパン☆
木の実を増やしては投げ……また増やしては投げを繰り返し、全てのタワシ型魔物たちが満足するまでパンパンを繰り返したのだった。
そして全てのタワシ型魔物が満足して茂みの奥へと帰っていく。
「た……助かった」
なんだかんだで疲れた私は腰を下ろし、パンパンした箇所をパンツの上から優しく撫でる。
その時だった。
トントン
何かが背中に当たる。
振り返ると1体のタワシ型の魔物。
「ーー……!!!」
まだ魔物が残っていたなんて……! でも相手は1体。 1体だけなら隙を作って逃げ切れるかも!!!
私は瞬時に立ち上がり体をタワシ型魔物の方へと向ける。
すると……
『ピギャアア』
「ーー……え?」
タワシ型魔物が後ろを振り返ったので私もそこへ視線を向けると、茂みの奥から再び大量の魔物たち。
「ちょっと待ってよ、もう私パンパンする元気は……」
一歩引いて身構えるも何やら様子がおかしい。
さっきみたいにガツガツ寄ってこない。
私が首を傾げていると魔物たちがゆっくりと私の前に。
『ピギャアア』
『ピッギャアアア』
何か伝えたげに何度か鳴くと、魔物たちがその場から一斉に離れていく。
「ーー……ええ?」
目の前には謎の木箱。 さっきの魔物たちが持ってきたのだろう。
「くれるってこと??」
私は恐る恐る木箱の蓋をあける。
「ーー……何これ」
中には畳まれた謎の衣装。
赤いリボンのついた白いふわふわの帽子、それと赤と白が基調のまるでショートケーキのような色合いの上着に赤い短めのスカート。
これは木の実のお礼ということでいいのだろうか。
結構見た目が可愛かったこともあり、私は物陰に隠れてお着替え完了。
するとどうだろう……薬草パンパンで痒みと痛みのあった箇所がみるみる和らいでいく。
パンツを少しめくって確認してみると、先ほどまで結構赤かったところも綺麗さっぱり元通り。
「え、すごい!」
これがスキルの影響か何かかと思った私はステータス画面を開いて確認してみることにした。
●クロエ
【レベル】1
【装備】スウィートドレス・奇跡のパンツ
【数値】攻:1 防:5 魔攻:0 魔防:2
【スキル】奇跡・自動回復
「ーー……あれ、この服、名前あるんだ。 それにスキルもなんか増えてる」
私はなんだろうと思いスキル【自動回復】を指でなぞる。
すると突然別の画面が。
●【自動回復】 時間経過とともに負傷箇所が急速回復。 程度が軽いほど治りが早い。
「ーー……マジ?」
結果このスキルはめちゃめちゃ私のパンツパンパンと相性がかなり良く、薬草をどれだけパンパンしても痒くなることがなくなった私は再び一晩中薬草をパンパンし続け大量の薬草を量産したのであった。
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