04 パンツをパンパン☆【表紙有】
四話 パンツをパンパン☆
「ーー……あぁ、お腹いっぱい」
こんな満腹感、いつぶりだろうか……私は膨らんだお腹をさすりながらその場で寝転ぶ。
このパンツがあれば入れたものを叩くたびに何でも増やすことが出来る……と言うことはもう食料に困ることはないかもしれない。
久方ぶりの希望が私の心を照らし始めれる。
そんな時だった。
ーー……ガサガサ
近くの茂みが大きく揺れる。
視線を向けた先ーー……そこには。
『ブルァアアアア!!!!』
「!!!!」
そこにいたのは猪型の魔獣。
猪とは少し違うーー……体はそれよりも一回り大きく、全身が真っ黒の毛で覆われている魔獣だ。
猪型魔獣はブルルと息を荒げながら私を睨みつける。
そして……
『ブーールァアアアアアアアア!!!』
「いーーやあああああああ!!!」
ドン!!
逃げる私の後ろから猪型魔獣が力強くタックル。
私の体が高く宙を舞う。
その後地面に落下。 痛いーー……一瞬息が出来なかったほどにめちゃくちゃ痛い。
猪型魔獣は痛みで動けない私にゆっくりと近づいてくる。
ーー……私、食べられちゃうのかな。 せっかく未来に希望を抱いたばっかりだったのに。
逃げたくても足が動かない。
私は死を決意し、力強く目を瞑った。
ーー……のだが。
あれ? ーー……食べられない。
ゆっくり目を開けて魔獣の方を見ると運のいいことに私の持っていたクッキーが辺りに散乱。 魔獣は一心不乱にそれをムシャムシャと食している。
やっぱり魔獣も甘いものには目がないのかな。
しかし魔獣はそれを食べつつゆっくりと私に近づいてくる。 このままだと私が食べられるのも時間の問題かもしれない。
「ーー……そうだ!!」
私は予備でパンツの中に入れておいたクッキーを思い出す。
これをめちゃくちゃ増やして魔獣にあげて満腹にさせたら私、助かるんじゃない!?
そう考えた私は即行動。
クッキーのはいったパンツのもっこり部分を連続パンパン!
量が多くなったら魔獣に投げて、また1からパンツをパンパンパン!!
魔獣もそれに夢中で食いついている。
この魔獣もお腹を空かせていたのだろう……良い食べっぷりだ。
もはやこれは魔獣の食欲と私のパンツパンパンの気合の戦い。
「絶対……負けるもんかああああ!!!」
パンパンパンパンパン!!!
結果その戦いは約1時間続き、満腹になった魔獣はゲップをしながら茂みの奥へ。 私は生き延びることに成功したのだった。
◆◇◆◇
しばらくしてようやく動けるようになった私はゆっくりと体を起こして考える。
結局は私はレベル1。 野宿しようにもさっきのように魔獣に襲われたら命がいくつあっても足りないだろう。
ここはたくさん売れるものを増やしてお金を稼いで、早くどこか安全な……集落や村・国の宿に泊まらなければ!!
ということで私は体の痛みに耐えながら周辺を探索。
幸いお父さんが昔冒険者をしていたということから、薬草の知識は遊びの中で叩き込まれている。
ーー……ありがとうお父さん。
私はようやく見つけた薬草を採取。
それを持ってマギルという国の近くにある村へ移動。
また魔獣が現れてもすぐに逃げれるように建物の隅に座り込む。
「よし、やるぞ!」
私はそれから一晩中薬草をパンツに入れてはパンパンを繰り返し、翌朝大量に増殖させたそれを持って村の薬屋へ。
なんとかご飯付きで2泊は泊まれるくらいのお金を手にすることに成功したのだった!!
お読みいただきありがとうございます! クロエちゃん表紙描きました!!
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