01 きっかけはパンツ
一話 きっかけはパンツ
「あぁ……私のパンツがぁ……」
洞窟内にある泉の手前で私は水中へ沈み行くパンツをただ呆然と眺める。
「せっかく洗濯できると思ったのにーー」
今は絶賛戦争中。
それによって村は壊滅、両親を失った私は戦争を避けながらなんとか安全そうなここ……洞窟までたどり着いたのだ。
しかしなんという仕打ちーー……パンツまで失ってしまうなんて。
「あーー、スースーするぅー」
洞窟内ということで少しひんやり。
私がスカートの下から入ってくる風を防ぐように足を閉じてしゃがみこんだ……その時だった。
『はいドーン!!!』
「!?!?!?!?」
突然の声に驚いた私はその場で尻餅。
大きな声、そして大きな水しぶきとともに私の目の前に現れたのはぽっちゃり体型で全身白タイツのおじさん。
一体何者!?
「え、だれ!?」
『僕はこの泉の大精霊だよ! 君が悲しそうな顔をしてきたから出てきたんだ!!!』
「泉の大精霊!?」
私は頭上にはてなマークを浮かばせながら首をかしげる。
『そうだよ! それよりもお嬢さん、その体勢のままでいいの? 僕は嬉しいけどスカートの中が丸見えだよ!』
「ーー……!!!!」
私は急いで立ち上がりスカートの上から手で押さえる。
「ーー……で、私になにか用ですか!?」
大精霊かなんだか知らないけど、こんな変態な精霊がいてたまるものか!
私は顔を赤らめながら白タイツの自称大精霊のおじさんを睨みつける。
するとーー……
『うんうん、その顔ゾクゾクするね。 それでお嬢さんーー……』
「な、なに?」
『お嬢さんが落としたのはこの薄汚れた白いパンツ? それともこっちの奇跡のパンツ?』
ーー……え?
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