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第4話:女神とか死神とか

{パアアン}



発砲音が響いた。助手席にいた警官が撃ったのだろう。後部座席にいた一人の警官は力なく彼女に抱きついている。それも数秒後、左右に揺れるとドアに寄りかかるように倒れた。”助手席”のドアが開く。

場は静まり返っていた。助手席から出て来た警官は、後部座席を外から開けると、ぐったりとした”彼女”を引き摺り出した。近くの警官が駆け寄る。


ーもしかして、もしかして・・・・


僕は気が気じゃなかった。すぐに、足に力をいれて、パトカーの側まで自転車を近づける。警官はすぐにこちらに気づいて、3人のうち一人が僕を止めに入った。


「つっ!!!」


普段臆病な僕ならこんなことは絶対にしないであろうに、僕は感情に正直に舌打ちをした。警官が明らかに不快そうにこちらを見る。



「一般の方は離れてください!」


「彼女は?彼女は?」


僕は警官を中心とするようにして少しでもパトカーに近づこうとした。

そしてかろうじて、彼女が見える位置に来ると、必死に目を凝らした。それに気づいて、警官がさらにもう一人近づいて来る。”彼女”は道路に横たえられていた。


「ッ!少年は離れていなさい!」


少年という歳じゃ・・・いやそうじゃなくて、その子はその子は・・・



「こ、殺したんですか???」



「・・・・」



警官は何も言わず、ただ僕の肩に手を伸ばしてこれ以上近付かないようにしようとした。

その時だった。



{ドサッ}

続いて、{ドサッ}

そしてもう一つ、{ドサッ}。



最後の音につづいて目の前の警官が倒れた。

顔を上げれば目の前には、”彼女”がおり、手には血濡れた漆黒のダガーが握られていた。柄が刀身とひとつなぎのダガー。最初に会った時には真っ白だったローブもどす黒い返り血でびっしりと汚れ、彼女の左胸の辺りにはおそらく銃で空いたであろう穴が空いていた。



(モシ?あなたは確か・・・・。)


やっぱり脳内に響くように音がした。


ーあ、あかんこれ、女神じゃない死神や。



(ああ、わざわざ会いに来てくたのですね。無理しなくてよいのですよ。やはり私が救済して差し上げます。)




ー彼女は死神だった。いや、もはやそうとしか考えられない。


(モシ?モシ?)


ー冷静に考えてめっちゃ怖い。足も震えて来た。あれ?あ。。。。失禁してる。。。。


「ひ、ひい・・・」



(聞こえているしょう?私も貴方の言った言葉の意味は伝わってます。)


僕はもうただただ怖かった・・・


「しに、たく、ないです・・・。」



メガネが落ちるのを気にせず僕は首をふんふんと横に振った。

野次馬も息を飲んでこちらを見ている。まだ、何が起こったか理解できていないのだ。

彼女の肩が動くのが見えた。



ーああ・・・死ぬ・・・。下心の馬鹿野郎・・・。




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