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彼女は幸せになれないー巻き込まれ転移男の異世界奇譚ー  作者: 赦す内燃機関
第2章:ニラは焼かないでは食べられない
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第6話:拾うもの


「ステータスオープン!」


________________________________________

名前: -********-( -********-)

種族:キメラ (ディアブル+ホーマ+カート)

性格:従順

魔力保有量: 820/3070

体重:6.81kg

状態: 認識阻害 気絶 麻痺

魔法:精神魔法 召喚魔法 治癒魔法 空間魔法(喪失)

能力: ー

加護:「生命の冒涜」

アドバイス:「余りに従順すぎることは悪徳である。」

________________________________________


とにかく僕は手持ち無沙汰で、アニマを再び”覗き見”した。ちなみに勢いで”ステータスオープン”といってみたものの、なにか違うので多分もう言わないと思う。そも言わなくてもいける。昨日の値をきちんと覚えていないが、とにかく気絶も麻痺もまだ治ってないようだ。ついでだから、魔法について見て見ることにした。


________________________________________

<精神魔法 :対象の精神に作用する魔法。 >

<召還魔法:任意のオブジェクトを召還可能。召還するのに消費する魔力は魔力量・複雑さ・距離による。>

<治癒魔法:体組織の回復を行う。死滅した細胞を戻すことはできず、細胞を修復を促すのに近い。>

<空間魔法:時間・空間に作用する魔法。時間と空間を制御することができるが、魔力消費が多い。>

________________________________________



ーだいたい現代知識、というかゲームや物語の知識と変わらない・・・か。あ、でもこの喪失ってなんだ?


________________________________________

<(喪失):魔力操作を司る器官・感覚の喪失によって魔法が使えなくなった状態。再び習得するまで同じ魔法を扱うことはできない。ただし補助系の魔法は有効期間まで効果は消えない。一定時間が経つと、未修得の魔法と喪失とは区別できなくなる。>

________________________________________


ーあーこれ、あれだね。角とか尻尾を無くしたから・・・。そうだ、アニマも大変な思いをしているんだよな。平然としているけど内心では不安や恐怖がいっぱい有ったに違いない。もしもないのだとしたら・・・彼女が不憫すぎる。それにしても綺麗な寝顔だ。いや正確には気絶顔か。そういえば、前にもみたことがあ・・・ふハアアああ。う、眠い。。。


考えてみればまともに寝ずに歩きっぱなしだ。ここは木陰で、日差しも弱く心地よい。周りには特段生き物の気配もない、少しくらい寝ても。大丈夫。。。だろうか。。。



・・・・・・・・



ー2時間後ー





・・・・・・・{ブ・・・ン}・・・・・



・・・・{ブーン}



{ブーン}




「ん?」

「チュビ?」


上を見上げるとトンボのような虫がいた。しかしよく見ると背中は苔色のふさふさした体毛が生えており、まっすぐ伸びた尻尾はトカゲのように鱗に覆われている。羽根はトンボのそれであり目も複眼であるが、顎のような摂食器官は無くナマズのように長い髭が左右に生えていた。


「うわぁ・・・虫か・・・。」



ーリアルに苦手なデカさだ。


トンボもどきは直角に降りるように近づいてきて、頭から30cmほどのところでホバリングした。全長は手の平より少し大きいくらいだろうか。鼻に止まったらちょうど目と口が隠れてしまうだろう。地球のギンヤンマと比べてもふた回り以上大きい。なお、この間ずっと髭が伸びてうねうねしている。


「チュビ?チュビ?」


「・・・いや、その鳴き声どこから出してるんだよ。逆に怖いよ。」


トンボもどきは首を傾げた。


「あ、そうだ!これも訳せたりしないかな?」


トンボもどきは顔を左右に傾けてもう一度鳴いた。


「 敵 ? 味方 ?」


ーおおーこりゃすごい!俺のスキルすごい!これだけでこっちの世界でも食いっぱぐれない気がしてきた。ああ、そうだあいさつしないとな。


「どうも初めまして、僕はタイラ、君の名は?」


僕はゆっくりアニマから手を離すと、見上げる姿勢のままで右手を相手にむけた。昆虫と会話する日が来るとは。あれ、現状かなりチート能力じゃない?


「敵 ない?」


トンボもどきは髭を伸ばして手に触れてくる。これがなかなかくすぐったいが、我慢我慢。髭で敵意がないのかわかるのか知らないが、トンボもどきはそのままクルクルと旋回しながら手のひらに着地した。僕は手をゆっくりと膝の上、アニマの上、自分の胸の高さまでおろして、トンボもどきをまじまじと見た。


ーこのトンボもどきにもなにか能力があるのかな?ってか毒ないよな?


____________________________________________________________________________


名前: ーなしー( - -)

種族:?

性格:孤独

魔力保有量: 45/45 (1/500,000,000)

体重:100g (1/500,000,000)

状態:ー

魔法:属性魔法 (風) 治癒魔法

能力:「レギオン」

加護:ー

アドバイス:「山も海も空も一人ぼっち」

______________________________________________________________________________



ーアドバイスの意味がよくわからない・・・。それはともかくそうかこんな虫でも魔法が使えるのか。こりゃ注意しないとな。


このステータスからわかることは少なくとも2つあった。1つは”知らない概念は分からない”ということ、そしてもう1つは小さい生物でも魔力を持っており魔法が使えるということ。


ーしかし、このレギオンというのはなんだ?


______________________________________________________________________________


<レギオン:複数の個体で意識を共有する。>

______________________________________________________________________________



ーほえーつまり、このトンボもどきの意識は他のトンボもどきと共有しているのか!だとしたら、一匹を敵に回すとその数倍が僕の敵に回るということか!アッブネーやっぱり仲良くしておこう。


「温かい ! 温かい !」


手のひらにのったトンボもどきは髭を指に絡ませてぺたぺたと触りながら、羽をパタパタとしている。これは多分喜んでいるのだろう。相変わらず”チュビ”という音がどこから出てるのかわからない。反対の手の人差指を近づけるとひげを巻きつけて確かめるように頭を傾けた。


「なんて呼ぼうかな?安直に”チュビ”でも悪くないけど。。。」


何かを話しかけられているとわかったのか、トンボもどきは大きな目で僕の目を見つめている。


「味方 ? 味方 ? 」


ヒゲがうねうねと波のように揺れている。


「わかった!チュビヒゲだ!可愛いし、言い得て妙だ。よし決めた!君はチュビヒゲだ!」


「味方 ! 味方 ! 嬉しい ! 嬉しい !」


ーあら、かわいい。最初は気持ち悪いような気もしたけど、こうして紛いなりにも意識が疎通すると愛着湧くなあ。とはいえ、チュイヒゲが僕の言葉を理解しているとは思えないし、たぶんすぐ飛んでいっちゃうんだろうな。あ、その前に背中とか撫でてみるか。


僕はチュビヒゲを刺激しないようにゆっくりと左手の人差し指を動かし、背中へと手を伸ばした。


「チュビ ?」


チュビヒゲが髭を渦巻き上に丸く束ねて足に力を入れるように少しかがんだ。僕は最新の注意を払って当たるか当たらないかの繊細さで背中を本当にゆっくり撫でた。うっかり潰そうものならこの先何にも触らない気がする。集中、集中だ。


ーナデナデ。あ、この苔みたいな毛、ちょー気持ちいい!


「仲間 ! 仲間 ! 」


ーお、さっきより好感度あがったっぽい!視界の端にハートマークの好感度メーター見える、気がする。え、これもしかしてエロゲの世界だった?


チュビヒゲは足を突っ張るようにして背中をこちらに突きつけながら羽をパタパタさせている。


ーやっぱり可愛いな。


そのタイミングで、ふとチュビヒゲは膝の上のアニマに気づいたようだった。手のひらから顔を除き出して、アニマの頰を見つめている。そのまま空中に浮くと、アニマの顔の前でホバリングしながら髭で頰をつついた。


「 敵 ? 味方 ? 」


よく聞けば、チョビヒゲの鳴き声にも不安そうな音と、楽しそうな音、警戒した音があるのが区別できるような気がする。今はどちらかというと、不安そうな声だ。


「アニマって名前だよ。僕の友達のね。」



無論言葉はわかるまい。僕は伝わればいいなと思いながら、空になった右手の甲でそっとアニマの頰に触れた。チュビヒゲはそれを追う様ににゆっくり着地すると、ヒゲをピタピタとしながら、頭の方に歩いて行った。これだけ見ると、普通の女性なら恐怖におののくだろう。ーーすまん、アニマさんーー。チュビヒゲはつのの先端にヒゲで触れると「チュビチュビ」と鳴いた。


「 気絶 ? 麻痺 ?」


ーお、状態異常がわかるのか?


「チュビヒゲすごいな!やっぱり魔力もそれなりにあるわけだし、知能もあるということか!」


ーそれに何かこのヒゲに秘密がありそうだな。


「 仲間 ?」


チョビヒゲがこちらに首を回し、少し傾いた顔で見つけてくる。


「そう、仲間だよ。」


チュビヒゲは数秒首を左右に傾けてから両方のツノに触手を伸ばして、低いトーンで鳴いた。


「治癒 麻痺 !」


その瞬間、ヒゲの先端からツノに淡い光が流れた様に見えた。


ーまさかチュビヒゲ!おまえ、治癒魔法を?


僕は急いでアニマのステータスを覗いた


____________________________________________________________________________


名前: -********-( -********-)

種族:キメラ (ディアブル+ホーマ+カート)

性格:従順

魔力保有量: 822/3070

体重:6.81kg

状態: 認識阻害 気絶 

魔法:精神魔法 召喚魔法 治癒魔法 空間魔法(喪失)

能力: ー

加護:「生命の冒涜」

アドバイス:「余りに従順すぎることは悪徳である。」

______________________________________________________________________________



ー麻痺が治っている!でかした、チュビヒゲ!!!



「チュビヒゲ!お前ってやつは!!ありがとう!!!」


チュビヒゲの背中をそっとさすり、ついでにヒゲに人差し指で触れた。すぐさまチュビヒゲは髭を巻きつけた。心なしか疲れて見える。やはり魔力消費のせいだろうか?



_________________________


名前: ーなしー( - -)

種族:?

性格:孤独

魔力保有量: 5/45 (1/500,000,000)

体重:100g (1/500,000,000)

状態:ー

魔法:属性魔法 (風) 治癒魔法

能力:レギオン

加護:ー

アドバイス:「海も空も一人ぼっち」

______________________________________________________________________________



ーやっぱり減っている!しかも40か。なかなか治癒魔法は魔力を使うんだなあ。


「大丈夫かチュビヒゲ??」


チュビヒゲは飛ぶのも億劫そうに羽を動かさずじっとしている。僕はゆっくりとチュビヒゲを左の手のひらに移し労うことにした。こうした、僕たち一向に新たに仲間が増えた。2人と1羽?である。なお、いつ飛んでいってしまうかは検討もつかない。




そうです。トンボです。Doragonfly !

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