第14話:嘘をつくと鼻が伸びるやつ
・・・
「すなまいね、使えない良心で。」
・・・
「嘘はだんだん大きくなるのです。あなたの鼻と同じように、隠せなくなるまで。」
・・・
ーー1時間前ーー
僕らは二人でニケツをして家に帰ると、実家からもってきたDVDのうち鼻の伸びる人形のアニメーション映画を見た。彼女はもちろん日本語も英語もわからないので、僕がパソコンの画面に合わせて脳内にテレパシーを送る。彼女は集中しているため、返事もなく、食い入るようにパソコンの画面を見ている。なんてことない光景に見えるが、キャラクターの声を聞き、脳内で一人で読むのはなれないうちは難しく、仕方なく字幕を流して、彼女に聞こえないくらいの小声で話すことにした。それでもうっかり逃してしまうこともあり、その都度彼女は巻き戻るように僕に言った。
ーうう、コミュ力?消費しすぎてる・・・。
「これは操り人形と言ってー」
ついでに言うと、僕はなんだか意味深すぎる映画を選んだ気がした。他意はなかったのだけど、しかしもしかしたらと言う思いが僕の中にあったのかもしれない。
「人形が人になるというおとぎ話です。あ、たんま・・・。トイレに行ってきます。」
ー僕は先ほど買った飲み物ーーアニマが選ばなかった分ーーを飲んで水分を補給していたので、ついトイレに行きたくなった。
(お腹でも壊したのですか?)
「あ、いやそんなことはないです。小さい方です。」
(・・・モシ?)
ー小さい方というのが伝わらなかったようだ。
「こんなこと訊くのもどうかと思いますが、アニマさんは大丈夫なのですか?昨日から一度も行っていないものと思うのですが遠慮しなくても大丈夫ですよ?。」
僕は彼女がなにに疑問をもっているのか全然わからなかったので、むしろ親切心から聞いたつもりだった。しかし、何故かアニマさんが慌て始めている。
(モシ!それを訊くのは私たちの間ではマナー違反ですよ!私たちは半年に1回しか出しません!)
ーうそ・・・だろ・・・アイドル設定かよ。そも、代謝良すぎるだろ。そしてどこに消えてるんだよ。もしかして、この人たちに”う○こ”という概念はなかったりするだろうか。
「そ、それは失礼しました。えっと、でも水を飲みすぎたりしたら、それはどこへ??」
彼女は落ちつきを取り戻して、努めて冷静になった。
(詳しいことはよくわからないのですが、多くは体表から発散しているようですよ。)
「ほ、ほうですか・・・。もはや人間じゃない気がするところですが・・・お恥ずかしながら、地球の人は頻繁に行きます。6時間に一回くらい行きます。なので、僕も失礼します・・・仕方がないことなのです。これが人間なのです・・・。」
ー僕はなんだかとてもはしたない生き物になったような気分のまま、ひっそりとトイレへと行った。
戻ってくると彼女はこころなしか引きつった顔で僕を見つめた。
ー手は綺麗に洗いましたから!3回あらいましたから!そもそも、おしっこですから!ああ、やめて、少し距離をとるのやめて!
「じゃ、じゃあ続きを・・・。」
そうして合計3時間ほどがすぎた。少し長いのは途中途中で、質問に回答せねばならなかったからだ。獣人はいるかだとか?とか。海はどんなところだとか。
(なるほど!わかりました!こっちの世界にも魔法があるのですね!?)
ーいや、そんな文言もあるにはあるが・・・。
「いやいやいや、これはそのアニメ・・・つまり、妄想です。こうだったらいいなあ、ってことで、もちろん現実では猫もこんな動きはしませんし、コオロギもしゃべりませんし、妖精もいません。人形に生命を与えることもできません。」
ーなんだろうな、こういうの向こうの世界だったら普通のことで、面白みとか冗談が伝わってなかったような気がしたな。
(じゃあ歌ったりもしないのですか?)
「あ、いやそれはある意味本当というか。。。嬉しかったり楽しかったら歌う人もいます。」
ー彼女はその時とても嬉しそうな顔をした。
(私も今度からそうしますね。)
「お、おう・・・い、いいと思います。」
ここに古典派ヒロインが爆誕した・・・?
ちなみにアニマさんは自然と歌を口走ったり、主人公と突然ハモったりできないので、歌を歌うヒロインにはなりません。悪しからず。




