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第0話:一人語り

大学4年生の秋だった。僕の名前は大凡おおよそ たいら、少しだけ捻くれていてありふれた理系の大学生だった。


ちょっとした企業に内定も決まった。

取り残した単位もない。卒業に必要な論文も、先生に言われた通りにしているうちに3ヶ月で終わった。

 

 大学での生活は下心でやったボランティアと、思っていたよりも忙しい授業への対応だけで終わってしまった。高校時代までもただただ、帰宅部で、家に帰っては塾に通う毎日だった。親は大学に進学が決まった時、とても喜んでくれた。

  

ぼくも大学に行けば、なにか変わるかもしれないなんて夢を見たものだっけれど、結局蓋を開けてみればゴミ拾いだとか、土曜日に勉強を高校生に教えたりだとか、無理をしていい人を装いながら、大学の方針に従って過ごしただけで、大した愛着もなく、全てが過ぎ去ってしまった。まったくもって凡人だった・・・。



 好きだった子もいたけれど、ダメだった。ボランティアをし始めたのはそれがきっかけだったと言っても過言じゃない。むしろ、そうとしかいえない。だけど彼女は、僕なんかよりもっとずっと優しくて、才能のある代表の男性に恋をしていて、そして僕が思いを寄せているその間にも、肩を寄せ合っていたらしい。


それを知ってからというもの、余計に捻くれた僕は漠然と死にたいと思ったことも1度や2度じゃない。このまま、並みの人間で終わることが堪らなくなったのだ。


しかしそれも口だけで、いや口にすることすらなく、ふっと頭を過っては、1時間ほどすれば消えてしまう類のものだった。



平凡がいっぱい。

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