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龍魂  作者: 熟田津ケィ
―拒絶する島―
604/689

―業火―

龍との戦争で滅んだ町。空中都市リムークス。

それが見え始めたくらいまで、レイズたちは進行していた。


しかし、ある人物により、それ以上の進行は阻止されているところだ。


「よぉ」

「…………」


短い金髪を流れるように立たせている。さわやか系な男。

しかし、感じる龍力は邪悪そのものだ。


レイズのかつての属性の炎を纏い、静かに立ちはだかった。


「イクサス……だったか……?」

「ご名答」


人差し指を立て、ポーズを決めるイクサス。


「悪いが、ここでジ・エンドだぜ」

「!」


レイズたち五人の龍力が跳ね上がる。


「五対一だぞ!!」

「……それでも、オレが勝つ」

「!」


圧倒的自信。

イクサスの龍力は『完全なる龍魂』の域に到達している。

自分たちもその域にはいるつもりだが、精度という意味では劣る。

こちらは五人。束になれば、勝てるはずだ。


「行くぞ」


リゼルの号令で、五人が一気に走り出す。

馬鹿正直に真正面から攻め込まない。イクサスの反応を遅らせるため、動線をずらして攻める。


「だぁっ!!」

「おらぁ!!」


太陽と風の攻撃。しかし、イクサスは器用に避ける。

入れ替わるように光と月の攻撃が繰り出されるが、一つは弾かれ、一つは避けられてしまう。


その乱戦に違和感をもったマリナは、一つの思いを抱えていた。


(あれ……?)


しかし、攻めなければ、勝てない。

その思いを一旦封じ、攻撃を繰り出す。


「蒼雷一閃!!」


一瞬の時を稲妻が駆ける。速度全振りの技だ。

しかし、イクサスの剣と交わり、滑るように受けられてしまう。

剣と剣とが滑り合う音が響く。


「やっぱ、こんなもんか……」


彼は少しだけ口角を上げると、腰を少し落とした。

炎が激しく燃え上がり、空気を焼いていく。


「!!」


炎龍経験者であるレイズですら、ゾク、と背筋を凍られた。


「龍王炎撃砲ッ!!」


剣を振りぬくイクサス。

(彼は炎龍王を知らないはずだが)炎龍の王を模した龍頭が具現され、レイズたちに襲い掛かる。

超強力な範囲攻撃だ。その間合いに、レイズたち全員がいる。


(マズい!!)


攻め入った後の固まったタイミングを狙われた。

逃げ切れない。


「!!」


腕を十字に組み、龍力を防御全振りにする。

しかし、イクサスの攻撃は終わらない。


「紅の業火に抱かれて朽ちろ!!……クリムゾン・フレア!!」


彼が指を鳴らすと、レイズたちの頭上に炎龍の紋章と共に、火炎の球体が出現した。


「!!」


火球の落下。

レイズたちに防ぎきる術はない。


火球の落下の衝撃に巻き込まれ、白目をむきながら空中に投げ出される五人。


「ごは……!!」

「ッ~~~!!」


呼吸すら苦しい。レイズ以外の四人は、呼吸しただけで器官が焼けてしまう。

しかし、ここで終われない。レイラの応急処置の回復術が仲間を包む。


開幕一分も経っていない。

それなのに、これほどのダメージを食らうとは。


「く……そ……」

「はぁ……はぁ……」


いつまでも寝ていられない。

必死でレイズたちは身体を起こし、立ち上がる。


「……まだ、やるか」



イクサスの紅の瞳が、冷たく光る。

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