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龍魂  作者: 熟田津ケィ
―拒絶する島―
598/689

―行って―

ミーネの同郷である彼女。名前は、シェキナー。

茶髪ロングの巻き髪で、毛先を水色に染めている。先日見た時より、少し髪が伸びているか。

ゆるふわ感溢れる髪型だが、その顔は凶悪的だ。


「久しぶりだね。シェキナー……」

「えぇ。久しぶり」


二人は睨み合い、憎しみを込めた挨拶を交わす。

その直後だ。渦の外から、レイズたちが声をかけてきた。


「ミーネ!無事か!?」

「敵は!?そこにいるんですか!?」


水流の音は激しく鳴り響いているが、仲間の声はよく聞こえる。

龍魂により感覚が研ぎ澄まされているのが大きいが。


「……無事よ。目の前にシェキナーがいるわ」

「何だって!?他は!?」

「…………」


最小限の動きで渦内を確認する。水流内にいるのは二人だけだ。


「……一人だけみたい」

「よし!!なら、これをぶち破ってそっちに行くぞ!!」


そこで、初めてシェキナーが外側に向かって声を張った。


「止めときな!」

「……あたしも、そう思う」


睨み合ったまま、二人は言う。


「……力は拮抗してる。下手に外力を加えれば、タダじゃ済まないわ」


シェキナーは天高く渦巻く水を見上げながら言った。

その考えはミーネも全く同じである。


「……そう言う事」


この間にも、龍力によるせめぎ合いは続いていた。


途轍もなく大きな水流を凍らしていくミーネの氷龍だが、渦を凍結し、破壊するまでには至らない。

それどころか、凍らせた渦が徐々に解けている部分も見受けられる。これは、二人の龍力が拮抗しているためだ。


「…………」


ミーネは天高く伸びる渦を見上げる。


自分の近くの水流は氷へと変化しているが、激しい流れにより、それが定着することはなかった。

削られ、砕かれ、流れ。削られ、砕かれ、流れを繰り返している。

そんな状態で下手な外力を加えようものなら、展開されている水流がエネルギー源を失い、一気に頭上に落ちてくる。そうなったら、全員溺死しかねない。


「……はぁ……仕方ない、わね」


ミーネは一つ、大きなため息をついた。

自分は、どうやらここまでらしい。


大きく息を吸い、叫ぶ。


「……行って!!皆!!」

「!!」


レイズたちは、渦の外でお互いの顔を見合わせる。


「おい……!?」

「ちょ、ほんとに!?」


ミーネをここで見捨てるのか?そんなことできない。しかし、ここで渦を睨んでいても、埒が明かないのは事実だ。

レイズたちは、決断を迫られている。

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