―地上へ―
「光だ!!」
レイズたちは、鉄の扉への進行を断念して地下道を進んでいた。
先は行き止まりかと思いきや、意外にも出口のような光が見えてきたのだ。
さらに進むと、光の下に階段が見えてきた。
「やっと出られるぜ!」
「あぁ!ここともオサラバだ」
レイズとバージルは走り出そうと足早になる。それを見て、マリナが注意する。
「落ち着いて!いきなり攻撃がくるかも」
「っと……」
「そうだな。ゆっくり行こう」
湿っぽいこの空間から解放される。その喜びを抑え、速度を落とす。
敵が出口間際で待ち構えている可能性だってある。
レイズたちは出口付近の階段に固まり、各々武器を取る。
龍魂の気配は感じられないが、力を抑えているだけかもしれない。決して油断はできない。
レイラは仲間たちに頷いて見せ、手鏡を取り出した。
仲間たちも彼女の意図を理解し、頷き返す。
「…………」
ゆっくりと出口の端から手を伸ばし、鏡の反射で外を観察するレイラ。
(雑木林……ですかね?)
多種多様の木々が生い茂る。
一応人が通れそうな道はあるが、使われているのかは謎だ。
先日島に突入し、やられた時よりは内部そうに見える。だが、まだまだ島の中心部からは遠いと思う。
地下道を延々歩かされたし、そう易々と中心部に行けるとは思っていなかったが。
今思えば、あの扉は敵がショートカットするために使っていただけの通路だったのかもしれない。
よって、侵入者である自分たちは使うことができない。封じられているのか。
(……敵は……いない?)
レイラは手首に角度を付け、周囲をぐるりと観察する。隠れられる木々が多く、鏡の反射だけでは敵の有無を完全には把握できない。ただ、見える範囲に敵はいない。
「……確認できる範囲に敵はいません。中心部から離されているみたいです」
「そうか。転移装置は中央直下だったのにな」
「散々歩いたしな……それで離されたのか」
敵との戦闘はまだ先。その事実に、少しホッとしているレイズとバージル。
遅かれ早かれ戦うことになるため同じなのだが、今は気が抜ける。
「……道が伸びています。行きますよね?」
「あぁ。僕たちは中心部に用がある」
リゼルは武器を収め、そこから手を放す。
その背後で、マリナとミーネが胸を軽く叩いている。
「あぁ~いよいよかぁ~……」
「大丈夫……勝てる……」
やれることは、全てやってきた。
あとは、臨機応変に戦っていくだけだ。
「……行くぞ」
リゼルたちは、最後の地へ足を踏み入れる。