―地下道―
暗い洞窟。本当に真っ暗だ。
この暗闇の中どうしたものかと考えたが、レイズたちの動きに連動し、壁の松明が順々に灯っていった。
「うッ!」
「びっくりした……」
助かったが、緊張しっぱなしの彼らにとって、些細なことでも驚いてしまう。
ただ、明かりは松明で確保されており、困ることはなさそうだ。
「ここは……」
地下道よりも広いスペースである。ざっと見て、六畳ほど。
そして、岩壁は少量の水が流れており、湿気が多い。水は松明を反射し、紅に色を変える。
レイズたちが転移した先は、そんな空間だった。
「ここが……」
「浮遊島なの……?」
「てっきり、地上なのかと……」
勝手な思い込みで浮遊島の地上に出ると思っていたため、いまいち実感が湧かない。
レイズたちが立っている足元には、転移装置らしきものがある。
大きな円盤状のプレート。
プレートの端には、モニター付きの操作盤のようなものもある。その装置から、微かに駆動音も聞こえてくる。
「これがメイン……この先が、転移先か」
モニターには、老龍山の山頂の風景が映っている。
確かに、自分たちが先ほどまでいた場所に見える。
「底だから、地下か」
地上から照射するには、構造的に難しかったのか。
とにかく、これで浮遊島に乗り込むことができた。
(焼けるような殺気も感じない……圧こそあるが、気にするほどでもない)
自分たちを取り巻く環境は、老龍山よりは落ち着いている。
魔物の気配もなければ、異常な圧も感じない。
龍力者の圧こそ感じるが、過酷な環境を生きる魔物のそれとは大きく違う。
「この先に、レイがいるはずだ」
「あぁ」
「やっと……ですね」
レイを倒して、国を立て直す。
自分たちの使命は、これ以外、ない。
レイズは進行先へ目を凝らす。
「……見たところ、一本道だ。慎重にな」
明かりの感じから、道が枝分かれしているようには見えない。
レイズたちは、慎重に進んでいく。