表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍魂  作者: 熟田津ケィ
―霊峰と空―
590/689

―不穏―

皇獅子ゴールドライオは老龍山の頂点捕食者に近い存在だったのだろう。

あの後出会う魔物も平均的に強いには強かったが、そいつほどではなかった。


そのため、龍力の解放と温存のバランスを取りつつ戦えている。

稀に亜種と言うか、強個体に出会うこともあるが、ゴールドライオほどのインパクトはない。


ただ、莫大なエネルギーを扱い続けられるほどレイズたちは強くない。

休憩もしっかりと取りつつであるため、進行スピードは決して速くない。


山頂に近付くにつれ、棘の数が多くなり、一本一本が細くなっていく。ただ、それでもレイズたちの背よりも高い。


口には出さないが、仲間たちは疑問を強く抱くようになる。


(ここまで来てるのに、四聖龍に会えない……どういうことだ?)


レイラに対する忠誠心が芽生えたように見えたが、彼らは同行ではなく、先行を取った。

ここまで来て逃げ出すような連中ではない。


それなのに、一向に会える気配がないのはおかしい。

先行しているならば、魔物と争った跡があってもいいはずなのに、それが見られない。

自分たちのルートが外れているから、と言われてしまえばそれまでだが、進むにつれ、ルートは絞られる。

偶然合流できてもおかしくないと思うのだが。

また、休憩を取りすぎているから、とも思うが、それにしたって戦闘の跡がないのは不可解である。

自分たちが先頭ならば、話は変わってくるが。


(そうだ。僕たちが先頭にいるなら、不思議はない……なら、四聖龍はどこに……)


あれだけ心配していたレイラですら、四聖龍のことを口にしなくなっている。

これは、彼女も薄々感付いている。


『嫌な予感』を。


(やられたのか……?まさか……)


フランバーレに?とも一瞬考えるが、彼女はシャレムたちを「逃がした」と言った。

ヘイトを向けさせない嘘だとも思うが、光を見つめなおしている彼女だ。嘘をつくような感じではない。

実際、リゼルは感じている。一瞬だったが、アレクの闇の力を。

少なくとも、その時までは進行していたはず。ならば、『何かあった』のはその後になる。


(フリアたちか……?いや、なら、僕らも遭遇しているはずだ)


敵との遭遇は考えにくい。

四聖龍だけ遭遇して、自分たちがスルー出来ている訳がない。そこまで来て間抜けな連中ではないことは分かっている。


(魔物……か……)


可能性が一番高いのは、これだ。

皇獅子ゴールドライオ級の魔物に出くわし、やられてしまった可能性は十分考えられる。


(最悪だ……安否も分からないまま、上につくなど……)


気配を探ろうにも、相変わらずの殺気と圧でカオス状態だ。

範囲外の気配を探ることは不可能に近い。アレクの禍々しい龍力のように、特徴が強ければ話は変わってくるのだが……


(……居ない以上仕方ない。僕たちだけで、進むしかない)


四聖龍は死んだ。

その可能性が高まった今、動けるのは自分たちだけだ。


リゼルは気合を入れ、前を向く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ