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龍魂  作者: 熟田津ケィ
―霊峰と空―
588/689

―最大火力―

ミーネを中心に、冷気が放たれる。


「っ……!!」

「さむ……!」


レイズたちは攻撃対象ではないため、ノーダメージだが、強烈な冷気に身が震える。

龍力を纏っていなければ、動けなくなっていたところだ。


放たれた冷気は氷へ変化し、地面を伝う。そして、凄まじいスピードで皇獅子ゴールドライオの足元へ伸びていく。


「大零感!!」


氷が結晶のように具現化され、皇獅子ゴールドライオの四肢を凍らせる。

彼女の龍力で、あの強敵の動きを、止めた。


「~~~~~~!!」


皇獅子ゴールドライオは脱出しようと暴れているが、前脚後脚が完全に氷の結晶内に閉じ込められ、動けない。

これが、先ほど言っていた『きっかけ』か。


「みんな!!今よ!!」

「!」

「あぁ!!」


レイズたちは龍力を限界まで高め、走り出す。

ある者は剣に、ある者は紋章を描く。


そして。


「獄炎龍斬!!」

「裂空衝!」

「ホーリーランス!!」

「月剛斬!!」

「蒼雷疾駆斬!!」


六龍の大技が皇獅子ゴールドライオに叩き込まれる。


先ほどとは違い、技や術全てが敵の強靭な皮膚や筋を裂き、血液が散る。


「まだです!!ヴリリアント・ソードレイン!!」


光龍とエクスカリバーの調子が良いレイラは、更なる高位術を叩き込む。

龍力レベルもそうだが、詠唱スピードが跳ね上がっている。普通あのクラスの龍術を詠唱しようと思えば、十秒以上の時間が必要だし、立ち止まって集中して紋章を描く必要がある。

しかし、レイラはその常識に囚われていない。

走りながら紋章を書くし、詠唱時間も非常に短い。


「食らいなさい!!」


光り輝く無数の剣が雨のように降り注ぐ。

裂けた皮膚や筋の上からあのクラスの攻撃は非常に痛い。

皇獅子ゴールドライオは悲鳴を上げ、よろける。しかし、脚が固定されていて倒れることすらできない。

そこで、彼女の出番だ。


「……終わりよ」


氷が爆発したように弾け、皇獅子ゴールドライオに最後のダメージを与える。

皇獅子ゴールドライオは成す術なく、崩れ落ちる。


「やった……のか……?」

「はぁ……はぁ……殺気は感じなくなりましたが……」


肩で大きく息をしながら、注意深く敵に近づくレイズたち。


気高い皇獅子ゴールドライオ。

膨れ上がった筋肉は収縮を始めており、黄金に輝く毛も輝きを失い始めている。

少なくとも、皇獅子状態は切れた様子だ。


「……しぶといな。まだ息があるぜ」


ゴールドライオは、浅い呼吸を繰り返していた。

目は半開きだ。目線は空を向いており、近くにいる自分たちを見てすらいない。

ここまで来ると、少し可哀そうだが、強者が生き残る自然の鉄則だ。


「……行くぞ。場所を変えて、休む」


戦いは終わった。わざわざトドメを刺す理由もない。

リゼルは仲間たちを促し、ゴールドライオに背を向ける。


レイズたちは勝利を収めたが、上には上があることを思い知らされたのだった。

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