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龍魂  作者: 熟田津ケィ
―霊峰と空―
564/689

―対等―

「輝龍剣ッ!!」

「双龍連光剣!!」


レイラの剣とフランバーレの剣が激しくぶつかり合う。

フランバーレの、剣を龍に見立てた攻撃が痛い。例によって龍力配分が右に多いため、左の剣をさばけても右をさばくことはできない。まだまだ力不足な部分がある。


「はぁ……はぁ……」

「ふぅ……」


レイラは額に大粒の汗を浮かべ、かつ、肩で大きく息をしている。しかし、フランバーレは汗こそ浮かんでいるが、そこまで息が上がっていない。

剣を二本振り回しているのに、余裕の表情である。

これが、体力の差か。


(まだまだ余裕そうですね……こっちはかなりハイペースだというのに……)


レイラも強くなったとはいえ、ここまで高レベルな戦いは多くない。

良くも悪くも『慣れ』がない。

よって、少しの龍力コントロールでも余計に体力を消耗するし、多めに力んでしまう。

一つ一つは小さな力でも、幾度となく技の応酬を繰り広げると、その力の消耗は大きくなる。


(……焦らないでよ?勝てない相手じゃない)

(分かっています)


光龍の声で冷静さは失われていないが、なにぶん消耗が大きい。


体力、龍力、精神力。


戦いが始まって数分だというのに、大きく削られてしまった。

フランバーレ戦でこれだ。この先の敵でも同じか、それ以上の消耗を覚悟する必要がある。


(このクラスの敵を連戦?楽しいですね)


レイラは、皮肉を込めたため息をつき、フランバーレを睨む。

二本の剣が厄介すぎる。あれをどうにかしないと。


(長期戦は不利。ですが、決め切れていないのも事実……)


フランバーレクラスの龍力者が、戦闘中にうっかり武器を手放すことは考えにくい。

なら、選択肢は絞られる。そして、自分にできる技量も知れている。


(……目的を見誤らないで)

(分かっています。ですが、このままではジリ貧で負けます)

(…………)


光龍は黙る。それを反論がないと受け取るレイラ。

腰を少し落とし、大地を強く蹴る。


ドン、という音を響かせ、彼女は跳躍した。

龍力を最大限高め、フランバーレに食らいつく。


「!」


フランバーレは衝撃に備え、ガードの態勢に入る。


(狙い通り!)


フランバーレは、防御に左の剣を使う。

そして、そちらは龍力配分がそれほど大きくない。攻撃側の剣にもある程度の力を留めておきたいためだ。


本体は狙わない。狙うは、一点。


「斬龍閃!!」

「!」


レイラは彼女の剣に向かって渾身の力で技を叩き込んだ。


「~~~~~~!!」


刃がせめぎ合い、音を立てる。

そして。


「!」


フランバーレの剣にヒビが入る。その瞬間、彼女の顔が驚きに歪む。


レイラの龍力により、ヒビは刃に連鎖的に広がっていく。

彼女の剣が破壊されるのに、時間はかからなかった。


「だぁっ!!」

「!」


レイラが剣を振りぬくと同時に、フランバーレの剣は砕けた。

柄と少しの刀身だけを残し、散っていく刃。

これで、防御に使っていた剣は使い物にならない。


「はぁ……はぁ……これで、対等ですね?」

「…………」


汗だくで疲労困憊だが、レイラは精一杯の笑みを浮かべ、フランバーレに吠えるのだった。

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