―貴女はどう?―
「……レイラ。わたしと戦うのは、貴女だけ」
そう言い放つと、フランバーレはゆっくりと二本の剣を抜いた。
キィン、と金属が擦れる音が高原に響く。刃が太陽光を反射し、神々しく光る。
そして、右手で持った剣の先をレイラに向ける。
「私……?」
「えぇ……他は介入しないで」
何を勝手な。許されるわけがない。
リゼルは声を上げる。
「ふざけるな。何を「黙って」
彼の声を遮り、フランバーレは言い放つ。
「……今のわたしは『レイ』とは無関係……その上で、戦ってほしい」
「なぜ……私と?」
彼女の覚悟は本物だ。なぜそこまで追い込まれているのか。レイラにはそれが分からないでいる。
気が張り、頬を汗が垂れる。
「わたしの、『使命』だと思うから」
「使命……?」
「わたしが求めている光龍使い……『あの二人』も違った……」
気になるワードがあり、レイズたちは顔を見合わせる。
『あの二人』とは、間違いなくシャレムとアリシアだ。彼女たちは光龍派であるし、老龍山に向けて進んでいるところだ。
「二人は行かせた……殺してないわ」
「……それでもまだ光龍使いを求めているということは……」
フランバーレは目を閉じる。
「えぇ、違ったわ」
彼女は龍力を高めながら、ゆっくりと目を開ける。
「貴女は、どうかしら?」
「!!」
凄まじい龍圧。
フル・ドラゴン・ソウルクラスでは対抗できない。
ここまで場が高まってしまえば、戦いは避けられない。
「……分かりました。あなたが求めている光龍使いがどのようなものか分からないですけど……」
レイラは剣を抜く。
早まる鼓動を感じながら、龍を呼び覚ます。
「勝たせてもらいます!!」
彼女は一人、走り出す。
「リゼル!?いいのか!?」
話に入るタイミングを完全に失ったレイズたち。
一人戦いに走る彼女を止めることができなかった。
「ちィ……任せるしかない。あいつは光龍以外と戦う気がないらしい。僕たちにできることは、は見守ることだけだ」
リゼルは拳を強く握りしめる。
無理矢理戦いに介入してもいいが、それだと後々面倒なことになりそうだし、レイラが納得しない。
ただ、いい機会かもしれない。
現在の敵の実力。その『おおよそ』を知れる。
「……よく見ておけ。あいつの力を」
「おう」
「そう、だね……」
フランバーレが敵のグループ内でどの順位に位置しているかは分からない。
が、彼女の戦闘力が分かれば、老龍山で待っているであろうフリアやスゼイなどの戦闘力も予測できる。
リゼルたちが見守る中、レイラとフランバーレの戦いが始まった。