―女剣士との再会―
四聖龍が進路の魔物をほとんど倒してしまっているため、平和な道のりだ。
しかし、自分たちの『今』の実力とこの区域の魔物の実力との差が気になって仕方なかった。
そのため、レイズたちは少しだけ道を逸れ、魔物との戦闘を数回行った。
獣系、岩石系、植物系、昆虫系など、一通り当たったと思う。
「……行けそうだな」
「あぁ。けど、楽勝ってわけにはいかない」
結論から言えば、勝負にはなった。
フル・ドラゴン・ソウルを上手く使えば、中程度の力量で勝てるレベルだった。
「もうそろそろ戻りましょ」
「そうですね。ちょっとスッキリしました」
苦戦はしない。しかし、連戦となると、体力的にも厳しくなる。
レイズたちは進路を戻し、四聖龍の後に続くことにした。
休憩を随時入れながら進んでいくレイズたち。
ギラス高原を半分くらい進んだだろうか。老龍山がだいぶ近くに見えるようになる。
「……なげぇよ。マジで」
「だな。足が痛くなってきた」
バージルは足をマッサージしている。
長い旅路で、歩くこと自体は慣れているが、ここ最近の疲労が溜まっている。
「休みます?」
「いや、そこまでじゃないさ」
足は痛む。が、進行や戦闘に直ちに影響はない。
「行こう。追いつかないと」
バージルたちは、足を進める。
「!……今、気づきました?」
ギラス高原に入ってから数時間が経過した頃だ。
レイラが何かの気配に気づく。
「いや……?」
「別に……」
何も気づかなかったレイズとバージル。
マリナとミーネも同様に気づいていないようだが、リゼルは気づいた。
「人の気配……光龍か……?」
「はい。シャレムさんかアリシアさんでしょうか……」
「一人だが……分かれたのか……?」
感じる気配は一人だ。
彼女たちのどちらかであれば、四聖龍の中でも更に分かれて進んでいることになるが。
ルートを変えようか迷っていると、目の前に人影が見えた。
「……かち合う。気をつけろ」
判断が遅かった。お互い、回避できない距離だ。
その人影は、ゆっくりとこちらに近づいてくる。
「誰……?」
マリナは目を細める。
遠目で分かりにくいが、シャレムでもアリシアでもなさそうだ。
「あ、あいつは……!」
見覚えがある、金髪の女性。
袴をはいており、肩が出ているセクシー系な着物。ハーフアップというのか、髪を留めている。
レイラは身構える。
「気を付けて。シャレムさんと戦った敵の一人です」
「マジかよ!」
「ッ!」
早すぎる。
正直、老龍山に入るまで強敵は出てこないと高を括っていた。
「やるぞ!」
リゼルのその声に、仲間全員が臨戦態勢に入る。
しかし、その女から発せられたのは、戦う相手の指名だった。
「……レイラ。わたしと戦うのは、貴女だけ」