―浮遊島―
「うッ……!!」
目覚めたとき、レイズたちはアルカリオン山頂の祭壇前だった。
謎の光がここまで転送してくれたらしい。
「おい、起きろ……!」
仲間たちを起こし、全員の無事を確認する。
衣服や身体の汚れは目立つが、大きな外傷はない。
「戻って……きたのか……」
衣服の汚れをはたきながら、バージルは息をつく。
みたいね、とマリナは周囲を見渡す。
「長かったような……あっという間だったような……?」
終わってみれば、夢のような空間かつ時間だった。
神龍が存在する聖域に知らずのうちに到達し、神龍レイと対話、力を託されるとは。
力を託されたとはいえ、実際に自分が彼の力を扱えるイメージは一切湧かないが。
「とにかく、帰ろうぜ。風呂に入りてーわ」
「そうだね。流石に疲れたわ」
レイズたちはぞろぞろと古城の外に出る。
次の瞬間、彼らは目を疑った。
「え……!?」
雲一つない青空。
そこに、『島が浮いている』。
距離は離れており、正確な大きさは判断つかないが、大きな島だ。
(あの島……どっかで……)
レイズは目を細める。どこか既視感がある。それがどこかは、思い出せない。
島の底部分には、恐怖心を煽るような武器がくっついている。
砲台、巨大な剣、槍。
「何だ……あれ……?」
島は浮遊しているだけではなく、ゆっくりと移動しているようだ。
「ねぇ、オルアル沖の島に似てない……?」
マリナが口を開く。
「!」
「それだ!」
地図にない島。
大きさ、外観がそれに似ているのだ。
最初に見た時より緑が増えているくらいで、大きな特徴は同じだ。
「なんで……浮いてるの……?」
「……『神龍の力』か」
リゼルが苦い顔をしながら島を睨みつける。
オルアル沖の島なら、レイがいる島だ。レイは神龍の力を宿している。
恐らくだが、彼がその力で島を浮かせ、操作している。
「やべぇな……早く戻らねぇと」
「……あぁ」
先日の一件で、亀裂が入ったまま何もしていない。
少しの気まずさを感じながらも、リゼルは騎士団本部へと走り出す。