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龍魂  作者: 熟田津ケィ
―試験―
544/689

―神龍と龍王―

ドクン、と仲間たちの心臓が高鳴り、それぞれの属性の未知なる力が充満する。


(何だ!?これは!?)


仲間と共有している龍力。これは、ただでさえ膨大な情報量なのに、そこに『龍王の力と知識』が流れ込んでくる。

レイズたちはパンクしかけるが、パートナーが調整の手助けをしてくれた。


(死なせない!!)

(レイラを!守る!)

(お前たちの物語……続きを見せてくれ)

(消えるには、早い)

(神に歯向かうなんて……でも、面白い)


人間一人では到底処理できない龍王の情報。

力を認めたパートナー龍が幾らか負担をし、彼らの処理を手助けする。


(すげぇ力と知識だ……!ぶっ飛んでる!)


龍王の力と、その知識。

龍界で対峙したどのドラゴンよりも強い力だ。

もちろん、その強い力を扱うには、それ相応の知識が必要となる。


レイズたちが心掛け始めた丁寧な龍力の構築・生成術もそれの導入の一助となった。

構築・生成の適切な順序。龍術や技の効率の良い構成の方法。ショートカットやスキップ方法。


(これなら手早く力を構築できる!!)


龍王め。こんな仕掛けでサポートしてくるとは。


龍界直後、成長を実感できなかった。だが、龍王はしっかりお土産をくれていた。

そのお土産の中身が分かり、レイズたちは納得した。何の前知識もなくこの情報を得たところで、豚に真珠に終わる。

だから、龍王は力を工夫して渡した。


自分たちが龍王が本当に期待する場所まで到達した時、発動するように。


「行ける!行けるぞ!!」


仲間たちの龍力の境界線が全く分からなくなる。完全に混ざり合った。


「…………!!」


美しい光と共に、キメラドラゴンが巨大化する。

王の力が影響したのか、パーツがぐちゃぐちゃだったキメラドラゴンが姿を変え、一体のドラゴンを形成した。


龍圧と風で足元の白い靄が外に流れる。


「行くぞ!!皆!!」

「あぁ!!」


仲間たちの力と思い。

パートナーと王の力と思い。


全てを乗せ、神龍にぶつける。


「「「「「「貫け!!バハムート!!」」」」」」


ドラグーン系統の術よりも一段階進化した、バハムート。


バハムートが、吠える。


「オォォォォォォォオオオオオオオオオ!!!!!」


レイ似の男に向かって突撃する。

彼は真っ直ぐバハムートを見据え、腰を少し落とす。


そして。


「……神威」


剣に神龍の頭を具現した。


「……滅界!!」

「「「「「「!!」」」」」」


バハムートと、レイ似の男の神龍がぶつかった。

その瞬間、六人の腕に神の力がバハムートと通じてのしかかる。

激しい光と熱反応。龍圧に風。


「~~~~~~~!!」


力はほぼ互角。

六人の力をここまで乗せて、互角。


「もっとだ……!!限界まで……!!」

「おぉぉぉおおおおおッ!!」


力を出し尽くせ。

新しく得た龍王の力・知識をフル活用しろ。


「あぁぁぁあああ!!」


仲間の体が悲鳴を上げている。

腕が、足が軋む。


それでも、諦めない。一人でも力を緩めれば、一瞬で負けるからだ。


「レイに……!!勝つんだ……!!」

(その意気よ!!レイズ!!)

「!!」


ソルの声が脳内に響く。

その瞬間、力が湧き上がった気がした。


「!!」


一瞬、神龍の頭を押せた気がした。


「今だぁぁぁぁぁぁぁああああ!!」


レイズは叫んだ。喉が潰れるほどに。


「!!」


彼の声に後押しされるように、仲間たちの力が増幅していく。

そして、遂に。


「オオオォォォォォォオオオオオオ!!!」


レイズたちのバハムートは、神龍の頭を砕いた。


「!!」


レイ似の男の顔が驚きに歪む。


微かにそれが見えた次の瞬間、大爆発が起こった。

強大な力の均衡が崩れ、バランス崩壊を起こしたためだ。


「ッ!!」


レイズたちは爆風に吞まれ、吹き飛んだ。



しかし、レイズは何かにぶつかり、止まった。

だが、今の彼にそれが何かを確認する余裕はない。

ただ、背中に当たる心地よい力。よく知っている力だ。


レイズは必死に首を動かし、後方を確認しようとする。


そして、薄れゆく意識の中で、彼は見た。

吹き飛ばされていた自分の身体を支えている、ソルの姿を。


「ソ……ル……?」


それが幻覚だったのか、本物だったのかは分からない。

レイズの意識は、闇に堕ちた。

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