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龍魂  作者: 熟田津ケィ
―試験―
540/689

―正体―

この空間一帯が強烈な龍圧に覆われる。


「くっ!」


レイ似の男が敵意剥き出しになってしまった今、戦いは避けられない。


しかし、戦闘が始まって数分経つが、龍力の調整が今までで最難関であった。


それは、戦闘スピードが大きい。

一瞬一瞬気が抜けない戦いが最早スタンダードだが、そのレベルを超えている。


(こいつホントに人間か!?)


レイに匹敵するほどの強大な龍力と、今までで体験したことのない速さの戦い。

同じ人間とは思えないスピードに、レイズたちは翻弄される。


戦闘経験が豊富なレイラとリゼルでさえ、その目まぐるしさに付いてこれていない。


(ちぃ……!!土台が崩れちまいそうだ……!!)


かと言って、雑な龍力調整ではまともに剣を受けることもできない。

大前提として、丁寧に龍力の構築・生成がある。

その上でのスピード勝負。


そして、最大の要因。


(光龍!?こんなものではないはずです!!)


パートナーと自分との距離が遠い。

龍力の構築・生成を丁寧にしたことによる変化とかではなく、別の問題だ。


自分がどれだけ力を引き出そうと綿密な調整を試みようとも、パートナーが反応しない。


全く合わないのではなく、シンクロ率が上がらないのだ。

それでも強引にフル・ドラゴン・ソウルクラスの龍力は維持できているが、いつ崩れてもおかしくないレベルで安定しない。したがって、『声』も聞こえない。


(どうなってる……!?)


レイズたちは数の利を活かすため、フィールドを縦横無尽に駆け回り、仲間の位置関係を確認しながら攻めていく。

しかし、レイ似の男の力には到底届かない。


「そんなものか!?」

「ぐっ!!」


途轍もなく重い剣。

スゼイの大剣よりも威力を感じる。

剣でガードできても、大ダメージは避けられない。


(なんて重さなの……!?)


氷を盾として大幅にダメージを減らそうとしたミーネだが、薄氷のように破られてしまう。

そして、盾で威力を削ったにも関わらず、この威力。


「つ……強い……!!」


こんなにもダメージを受けてしまうのは、多分、龍とのシンクロ率が異様に低いため。

もちろん、レイ似の男の攻撃力が凄まじいのを大前提とした上での話。



戦いはほんの数分。


「はぁ……はぁ……」


それなのに、レイズたちは既に満身創痍だ。

レイラの治癒術を受ければ問題ない程度だが、数分でこれだけのダメージを受けてしまったのは想定外。


(ち……くそ……しんど……)


過度な緊張が抜け、力も抜ける。

すると、レイズの脳内に声が響いた。



(ッ!?)

(……やっと繋がった!!)


ズキン、と頭痛が走る。

頭を押さえ、よろめく。


「レイズ!?」

「ッ!問題ねぇ!」


白い靄を揺らめかせ、大地を踏みしめ直す。


(ソル……?)

(えぇ……何度も交信を試みたのだけれど)

(俺を『認めた』ってことか?)

(……そうね。現王が認めているのに、過去龍が様子見ってのも変よ?)

(だったら……もっと早くに)


レイ似の男を睨みつけながら、レイズは呼吸を整える。

ソルの声が聞こえるようになってからは、龍力調整がしやすくなった気もする。


(それは、あなたサイドの問題よ)

(は……?)

(龍の声はわたしが認め、声掛けしたからと言って聞こえるものではないわ)

(どういう意味だよ……)

(聞き取れるだけの龍力者でないとダメってこと。言い換えるなら、わたしの声に気付かないってこと)


ソルの声を聞きとれるだけの実力がなかった。

シンプルに言えば、そうなる。


「…………」


これが本当のことなのかレイズは疑りながらも、心当たりを探る。

と言っても、最近の意識し始めたことは少ない。

先刻自分たちが挑戦した『丁寧な龍力の構築・生成』。これを今まで蔑ろにしていたことが原因だと考える。


(で、あいつは何者だよ。相棒)

(……よく聞きなさい)


レイ似の男がリゼルと剣を交えている。


(『神龍』よ)

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