―激高の太陽―
熱線を放った大元であろうバリア内。
その中にいたのは、レイそっくりの人物だった。
「……!!」
驚くレイラたち。
考える間もなく、レイズがアレインの姿を認識すると同時に飛び出していた。
「あぁぁぁぁあああああ!!」
太陽が強く、激しく輝きだし、太陽龍のオーラへと置換する。
「……!!」
レイ似の男は少し驚いた顔を見せるが、レイズの攻撃を冷静に見極める。
そして、脇に置いてあったであろう古びた剣で彼の剣を弾いた。
「!!」
太陽龍と無属性の龍力がぶつかり、ビリビリと空間を揺らす。
「おい!どうすんだ!?」
レイズは真っ先に戦いに行ってしまった。
しかし、レイ似の男は攻撃を防いでいるだけで、攻めようとはしてこない。
「……あれはレイではない……が……」
姿はレイによく似ているが、動きや武器の種類は全くの別物だ。つまり、別人。
レイズは興奮していてそれに気付いていないようだが、リゼルはすぐに分かった。
ただ、無関係とは思えない。
なぜレイそっくりの男がここにいるのか?
なぜ熱線を放ち、自分たちを助けたのかは分からない。
「陽炎ッ!!」
「……!」
「レイズ!あれって……!」
今まで見てきたレイズの陽炎。一番威力が出ている気がする。
龍力の構築・生成が応用されていている証拠だ。
「様子を見る。あのバカが落ち着くまで、だ」
「それで、いいんでしょうか……?」
レイズだけが戦っているこの状況。
レイラ的には心配だ。
「あっちに殺意がない以上……あいつが落ち着くのを待っても良いかもな」
「あぁ。だが、戦える準備がしておけ。いつバリアが張られるかも分からない」
「えぇ」
「分かったわ」
レイ似の男に殺意がない。戦いを見ていても、レイズを潰そうと動いているようには見えない。
したがって、レイズのバカが落ち着くまで、リゼルたちは少し後ろで様子を見ることにした。
幸い、レイズも一対一を望んでいるのか、バージルたちを煽るようなことはしなかった。単に彼以外見えていない可能性の方が高いが。
リゼルたちは、フル・ドラゴン・ソウルクラスの龍力を解放した。
「この力……そうか……!」
その瞬間だ。
レイ似の男の雰囲気が変わったのは。
「……!!」
ゾク、と背筋に寒気が走る。
レイ似の男の目つきが変わり、龍力のプレッシャーが段違いに上昇する。
先程までは殺気は感じられなかったが、今はビンビンに敵意を感じる。
レイズは間近でその変化に触れた。
「ッ!!」
慌てて地面を蹴り、下がった。
(何だ……!!この圧……!!)
龍力レベルはかなり高く維持しているが、それでもビリビリ感じる。
「…………」
身体全体の震え。龍力の波長を整えるのが一気に困難となる。
パートナーが戦うことを拒否しているようにも感じる。
レイ似の男はそこで初めて構える。
「……お前たちだったのか。来い」