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龍魂  作者: 熟田津ケィ
―試験―
537/689

―バリアの内側―

レイズたちは、龍力バリアの内側へと進行した。

『通過』する瞬間のみ、網のようなバリアが見えたが、それきりだ。


しかし、環境はガラリと変わった。

バリアの中は、得体の知れない凄まじい力が荒れ狂っていた。龍力者が纏う龍力のようなものではなく、肉眼ではその『荒れ』を確認できないものであった。

少しでも気を緩めれば、潰されてしまいそうなプレッシャー。環境の重力関係に変化はないはずのだが、一歩一歩が重い。骨が軋み、筋が悲鳴を上げる。


(キツイ……けど、見栄えは変わんねぇな)


レイズたちを取り巻く環境は一変したが、唯一変化がなかったのが景観だ。


相変わらずの白と蒼の世界。


進みながらも、リゼルは考え事をしていた。


(あのバリアに環境破壊能力はない……)


破壊能力があり、バリアが円状だとするなら、円状に大地なり木々なりが破壊される。

しかし、雲(?)の大地は破壊されないままだ。

すなわち、一定距離の雑魚を排除する能力はあるが、無暗に環境を破壊する力まではないらしい。

とは言え、龍力者の匙加減とも考えられるのだが。


「…………」


仲間たちの口数が一気に減る。

皆自分の力を維持するのに集中しているようだ。


ただの歩行でこれだ。この状態では、戦闘できそうにない。

早急に慣れる必要がある。


「……おい。一旦止まれ」

「んだよ。行かねぇのか?」

「……ここに身体を慣らす」

「慣れるか?これ……」


バージルはリゼルの提案に不満そうだ。


「できるできないじゃない。『やる』んだ」

「…………」


パワハラァ、と言葉を飲み込む。


「この状態で戦いに発展してみろ。一瞬で負けるのは目に見えている」

「それは……まぁ」

「さっきまでとは状況が違う。最低でもこの状態を維持できないと、そもそも生きていけない」


バリア外とバリア内の環境の変化。

それに生体を適応させなければ、生き抜くことはできない。

そのためには、一度立ち止まり、この状態に慣れる必要がある、とリゼルは言いたいのだ。


「……わたしは、それの方が助かるかも」

「あたしも、かな……」

「二人とも……」


レイラは少し反省する。

新たな地で、気が急いていた。先への好奇心が、仲間への配慮を忘れさせた。


「分かった。そうしよう」

「『慣れる』だけでいい。力を派手に使う必要はない。これを『普通』にしろ」

「あぁ。少し時間は要りそうだけど、止まれるなら……やりやすそうだ」


レイズたちは一度立ち止まり、それぞれがそれぞれの方法でこの環境に龍を慣らすのだった。

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