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龍魂  作者: 熟田津ケィ
―試験―
536/689

―重なる龍―

一定以下の龍力を弾き出す龍力バリア。

レイなどの高位龍力者が戦う前に威嚇として使うこともある。


以前は知識がなく、それが龍力バリアだとは考えなかったが、後々から考えると、あれがそうだったのか、と思う部分が多い。


要は、このバリアに勝てるレベルの龍力レベルでなければ、この先に行くことすらできないのだ。

非公式だが『入る資格』と言ってもいいだろう。


「半端な力では負ける。さっきまで練習したことを疎かにしないまま、高レベルの龍力を維持しろ」

「……言うのは簡単だがな?」

「……分かっている……ができなければ、ここで終わりだ」


とは言っても、とリゼルは続ける。


「帰る道も分からない。先に進むこともできなければ、どうなるか……言わないと分からないか?」

「ち……わあったよ……」


リゼルの正論に殴られ、不貞腐れながらもバージルは引き下がる。


彼の言うことに間違いはないし、事実だ。

だが、正論で殴るのは時と場合によっては反発を生む。


自分はリゼルとそこそこ過ごしているし、信用もしている。だから分かっているのだが、あまりそれで殴るのは危険だ。

実際、それでリゼルと騎士団には大きな溝ができている。


(ま、心の整理ってそんな簡単じゃねぇ、か……)


リゼルにその件をとやかく言うのも野暮だ。

ヒートアップする前に引き下がり、気持ちを切り替える。


「さて……」

「いいか?」

「オーケー!」

「はい!!」


バリアの前に一列に並び、一斉に龍力を高めるレイズたち。


いつもより、一層丁寧に、ゆっくりと焦らずに力を構築していく。


「…………」


血液が巡るように、龍力が四肢に巡っていくのが分かる。

普段は薄い膜のような、それが激しくなり、オーラとなるが、今回は違う。


膜の層が厚い。

龍力のオーラの密度が高いのがすぐに分かる。

龍力の構築段階で意識するだけでこんなにも差ができるのか。


しつこいようだが、これは戦闘外だからできることだ。


一瞬一瞬気が抜けないようなレベルのそれではない。

時間もあるし、心の余裕も戦闘時よりかはある。


これを完全に習慣化し、息をするようにこのレベルまで高めていく必要がある。

もちろん、技や術を使う際の龍力操作も含めて、だ。


「……最高の力よりも、質を意識しろ。大きくなくていい。積み重ねろ」

「はい!」


自身の周囲を展開する龍力オーラ。

その厚みが増し、龍力が湧き上がってくる。


「エネルギーにも注意しろ。出し続けば、倒れる」

「……分かってる……けど……」

「ッ……」


正直、そこまでの余裕がない。

精密作業に加え、残りの体力龍力との兼ね合いなど、別次元の話に感じる。


(祭壇のあれは、一点集中でした……身体全体に龍力を巡らせるのがこんなにも難しいなんて……!!)


彼らが苦戦している理由の一つ。


レイラが考えた、それだ。


祭壇で彼らが解放した龍力は、力も密度も素晴らしく、盃に光を灯すほどだった。

ただ、あの力はある部分に力を集中させるというもの。

身体全体を駆け巡る龍力をコントロールし、自分が欲しい場所に集める。その時に、丁寧に構築・生成するというもの。

ある意味では、龍力者が戦いにおいて自然に行っている龍力移動に似ており、難易度は比較的簡単だ。


だが、今彼らが挑戦しているのは、駆け巡る龍力全体の密度を増し、身体を覆うというもの。

一点に集中してよかったものが、全身に変わった。

龍力を構築・生成する難易度もそれに応じて跳ね上がる。


(ムズい……けど!!)


退路はない。

レイズたちはそれぞれの方法で高密度な龍力を構築していく。


その中で数名、オーラが龍の姿になっていく。

龍界で見たであろう姿。人間ベースでオーラが展開されているため、大きさは、可愛らしいが。


(龍がダブって見える……これ、か……)


龍力者がたまに見せる、龍がダブる現象。

レイズたちは、自然と理解した。ピンポイントだが、自分たちも良質の龍力を構築・生成するスキルは持っていたのだ、と。


仲間の龍力が空間に満ちる。

オーラを発していると分かる。龍力バリアを避けるように、力が放出していくことに。


(まだだ……)


龍力の構築が雑にならないよう、力を更に引き上げる。

ドラゴン・ソウルから、フル・ドラゴン・ソウルへと。


「…………」


一人がフル・ドラゴン・ソウルに段階を引き上げたのを認識し、一人、また一人とフル・ドラゴン・ソウルへ移行する。


言われずとも、分かっている。

この龍力バリアは、フル・ドラゴン・ソウルクラスでも突破できるか怪しい。

フル・ドラゴン・ソウルを、もっと精度を上げて。次のステージが見えそうなレベルで極めろ。


太陽。

風。

光。

月光。

雷。

氷。


各々のパートナーの力を引き出す龍力者。

自分だけでなく、仲間の心強い龍力も心に強く感じる。

それに影響され、仲間たちは互いの龍力を引き上げた。


(まだ、いける)

(もっと、高みへ!!)


完全なる龍魂への、一歩を。

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