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龍魂  作者: 熟田津ケィ
―試験―
535/689

―龍力バリア―

レイズたちは、先導するリゼルの後ろに続き、歩いている。

その間にも、龍力と向き合うことを忘れない。


(……まずは、簡単なところから慣らす)


いきなり戦闘から入るのはハードルが高い。

そのため、簡単な歩きながら龍力を練ることを課題とした。

もちろん、丁寧に構築・生成することを忘れない。


ながら○○はよろしくないが、ここには自分たち以外人間はいない。

他の仲間も近くにいることから、そこまで迷惑とはならないはず。




「おい、あれ……」

「一旦止まれ。回避する」


移動していくうち、魔物を見かけることもあった。

それに共通しているのは、鳥型の魔物であるということ。

あの怪鳥ほど大きくはないが、無意味に戦闘に臨む必要もない。

ファーストコンタクトの怪鳥で痛い目に遭っているリゼルたち。

確認できた時点で止まり、通り過ぎるのを待つ。


「……鳥ばっかだな」

「あぁ……」


歩きながら龍力を練り、かつ周囲の警戒も忘れない。場合によっては、その上での会話。

一度にやることが多すぎる。が、練習にはもってこいだ。


そのせいか、会話が雑にはなっているが。



戦闘を歩くリゼルは、この空間について、一つの考えに到達していた。


(龍界……とは感じが違う。そして、魔物の共通点……)


建物がないのは、人間が存在しない龍界だから。

しかし、巫女もおらず、魔物が存在している。今を生きるドラゴンも見られない。


そこで導き出される答えは、ここは龍界ではない。ということ。

特別な空間であることに変わりはないのだが、間違いなく人間界の一部だ。


そして、出現する魔物が鳥類であること。

鳥類と言っても、飛行能力を有するもの。それだけがこの空間に存在している。否、行き来している。との表現が近い。


最初に遭遇した巨大な鳥は、地面(?)を突き破って出現した。

つまり、白い靄の下に巨大な鳥が飛べるだけの空間があるということ。


そして、この空間の色。

白及び蒼。これは、雲と空を連想させる。

足元の靄も、雲によく似ている。尤も、雲を踏むことはできないが。


(……ここは、空の一部だ)


ただし、自分たちが見上げて確認できる場所ではない。

もっと高い場か、もっと別の『何か』なのかは判断つかないが、空であることは間違いなさそうだ。


地面の区切りから下を確認できれば確信に繋がりそうだが、意外にも隙間が見えない。

お互いが存在を認識できないようになっているのか。ただ、魔物はこちら側に来た。


その辺りの位置関係はまだ考えがまとまらない。




と、リゼルはふいに嫌な気配を感じ、足を止める。

「うお!」

「ッと……」


急に足を止めたため、連鎖的に仲間たちが背中にぶつかってくる。


「……リゼル?」

「どうしたんです?急に……」

「…………」



仲間たちの問いには答えず、彼は黙って目の前に手を伸ばす。


「?」


リゼルの謎の行為に頭に「?」を浮かべる仲間たち。

すると。


リゼルの手が何かに弾かれた。


「!」


彼は手を引っ込める。

弾かれた一瞬だけ『壁』のようなものが見えた。


「何だ!?」

「ち……」


痛みは走ったようだが、大事にはなっていない。


「何だ……?」


レイズたちに緊張は走る。

弾かれたであろう場所には、何もない。


「見えました?」

「うん」

「わたしも、見えた……」


ミーネも、マリナも認識できている。

リゼルを弾いた瞬間、網のようなものが見え、消えた。


それを認識してから、余計に『嫌な感じ』に襲われるレイラたち。


「……集中しすぎだ。もっと外にも意識を」


リゼルはため息をつくも、彼らに対して一定の理解はある。


余程集中していたのだろう。

こんなにも『嫌な感じ』がするのに、気付かずについてくるとは。

それだけ自分が信用されている証でもあるのだが、個人でも気付いてほしいものだ。


「……これが、龍力バリア、か……」


レイやヒューズが使っていただろう『嫌な感じ』の力の正体。

一定以下の龍力を追い払ってしまう、龍力バリア。


リゼルはそれを睨みつける。

この先に、熱線を放った『何か』がいる。

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