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龍魂  作者: 熟田津ケィ
ーマリナ=ライフォードー
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白銀の入り口フリーズルート

翌朝、レイズたちは騎士団本部で防寒具を用意してもらい、飛行艇に乗り込んだ。


「どのくらい寒いんだろうな」

「さぁな、上着を見るに、相当寒そうだ」


積み荷を整理しながら、レイズとバージルは話している。

物資は騎士団基地でも揃うが、今回は『調査』だ。


現王レイラがいる都合上、フリーズルートやペルソスの騎士団基地をウロウロして目立つわけにもいかない。何もないタイミングで国のトップが来訪する訳ないからだ。

変に隠れる必要もないが、見つからない方が都合良い。


そのため、基地滞在を最小限に出来るよう、十二分に道具・薬を揃えて出発している。


ダルトに飛んだ時よりも荷物が多く、レイズは苦戦中。それでも、口は動いている。


「……昨日の話、どう思う?」


一瞬だけ動きが止まるバージル。

彼の疑問が漠然過ぎて、どの観点から返答すればいいのかイマイチ分からない。

まぁ、てきとーに返しておくか。


「……四聖龍なんてのがいるのが初耳だったしな……正直分からん。聞く限りは、四聖龍はかなり優遇されてる」

「だよな。レイラはそれも変えたいらしいけど」

「あぁ。あの感じだと、けっこう前からそのシステムだったっぽいな」

「らしいな。好待遇で、普段は自由。騎士団を見下してそうだぜ」

「……でも、いざという時は協力している。甘い蜜を吸うだけ吸って、いざさらばって訳でもないのが『信用』されてるよな」

「みたいだな。ってか……」


レイズが聞きたいのは、そっちの制度的な話ではない。

どうにかして自分の聞きたいことに繋げたいが、荷物整理に脳のリソースが割かれ、頭が回らない。

だから、直球だ。


「……死んだのかな」

「……さぁな。それをこれから調べるんだ。俺たちが」


自分に聞かれても困る、といった感じで、バージルは積み荷の整理を続ける。


「さっさと済ませて休もうぜ」


ここでアレコレ考えていても仕方ない。レイズも荷物整理を再開する。


「だな。二度寝は神だし」


二度寝するには時間が経ち過ぎているが、眠れるならそれで良い。


荷物整理が終わり、目を閉じて過ごしている二人。

三時間は経っただろうか。飛行艇内のアナウンスが鳴った。


「お、もうすぐか」


レイズは起き上がり、窓まで歩く。


外を見ると、まだ海が広がっていた。ただ、空はがらりと変わっている。

天候は雪。出発時は晴れていたが、こっちは雪の様子。

フリーズルートとペルソスがあるであろう大陸は、まるまる雪が積もり、真っ白だった。

まさに、銀世界の入り口である。


「さっぶ……!!」


機内は空調が効いているが、窓の近くは冷える。

騎士団の制服と同じように、裾が長い防寒着を羽織る二人。


「あいつらも出てきてるかもな」

「行ってみるか」


休憩スペースへ向かうと、案の定、、レイラとリゼルが座っていた。

二人とも、自分たちと同じ防寒着に身を包んでいる。

防寒着には、制服の装飾がないらしい。まぁ、今回の任務は目立たない方針故、都合がいい。


レイズとバージルが席に着くと、レイラは口を開いた。


「騎士団基地には付けず、フリーズルートに隣接する港のそばに着けるそうです」

「……そこまで(すること)か?」

「念のために、らしいです」


直で騎士団基地へ飛んでしまえば早い。しかし、非常に目立つ。

しかも、女王の訪問である。基地長だけでなく、その基地の大半の人間が動きそうだ。見つかるリスクは出来る限り下げたい。


「リゼルが先行します。門番には、ダミーですが情報は行っていますので、分かると思います」

「え?何でダミー?」

「四聖龍の存在を知るのは上の人間だけだと言っただろ。一般団員に正直に話してどうする」

「あぁ、なるほど……」


団内なのに、正式な情報が共有されないのか。とレイズは不思議に思う。

だが、四聖龍の件はデリケートであるし、むやみやたらに広げていい情報ではない。

時と場合によっては、伏せることも重要となるのだ。


そうこう話しているうちに、飛行艇が着陸準備に入った。

隣接する港だが、『白銀の入り口フリーズルート』到着だ。


「よし、行くか」


飛行艇のドアが空き、冷気が流れ込む。

そのタイミングで、リゼルはレイラに視線を送る。彼女は静かに頷き、フードを被った。


そんなことに気づくわけもなく、レイズとバージルはその寒さに驚愕している。


「ッ……!!」

「さっぶ!!」


吐く息が白い。耳が痛い。

飛行艇内との寒暖差もあるだろうが、これはヤバすぎる。


(クソさみぃじゃねぇか!?)


これが、北の町か。

上着を着て、寒さは緩和されているはずだが、それでも寒い。


レイズたちは、震えながら飛行艇から降りる。

ぎゅ、と雪を踏みしめる感覚。時々、ぞわっとする。あまり好きではない感覚だ。


港を通り、基地へと向かうレイズたち。

一気に人が増えたが、防寒着のお陰で騎士団上層部だとばれていない。

おまけに、レイラの顔はフードの下。何もしなければ、まずバレないだろう。


「船多いな!」

「あぁ。漁は当然として……観光船もあるな」


見たところ、フリーズルートは漁も盛んで、観光は船でも来れるらしい。

港のすぐ隣には海産物を取り扱う店が並んでいた。その店からはいい香りがしてくる。食欲をそそる匂いだ。

観光客は多く、活気にあふれていた。


「時間があれば、寄りたいな」

「そうだな。本場のは旨そうだ」


並ぶ店を眺めながら、レイズとバージルは唾を飲み込む。


レイラはそんな二人を気にしながら、歩くペースを落としてくれいている。

リゼルは少し苛ついているようだが、レイラに「団長も来ていませんし」と、なだめられている。


港を通り過ぎ、フリーズルート内に入る。

人が一気に減った。港の店は観光向けだが、町に大きな観光施設はないように見える。


落ち着いた町だな、という印象だ。規模としてはダルトより少し小さいくらい。

通路は雪かきがされ、歩きやすくなっている。


「白銀の入り口、と名のあるように、ペルソスに行く手前の町です。ここで寒さに慣れてからペルソスに行く人もいます」

「……いい雰囲気の町だな」

「港で海の幸を楽しんだ後に、ペルソスでも観光するとかもありますね」

「なんだ、詳しいな。来たことあるのか?」

「……平和な時に、何回か」


少し悲しそうな顔を見せるレイラ。


「へぇ……ずっと雪が降ってるな……」

「…………」


しまった。地雷だったか、とレイズは慌てて話題を変える。

リゼルが怖い顔でこっちを見ているが。


(っぶね~~……しっかし、すげぇ雪だな……)


グリージでも雪は積もるため、雪自体は珍しいものではない。が、ここは積雪量が桁違いだ。


町の雰囲気を鑑賞しながら、レイズたちは騎士団基地を目指す。

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