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龍魂  作者: 熟田津ケィ
ーマリナ=ライフォードー
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次の任務

騎士団の秘密戦力『四聖龍』が存在していることは分かった。

前情報が必要とのことで、その説明をされたが、どう話が繋がっていくのだろうか。


「で、その四聖龍がどうしたんだ?」

「はい。詳しいいきさつは(本人たちから聞いた方がいいため)まだ言えませんが、その四聖龍の一人と、連絡がつかないそうです」

「なに!?」

「「!!」」


いつもローテンションなリゼルが、珍しく大きな反応を示した。

シンプルに驚くレイズとバージル。それだけで、事の重大さが理解できた。


彼は少し黙った後、続ける。


「連絡が取れないというのは?」

「……今は、言えません」

「……そうか」


これが、王のみ知るべき情報。

具体的にどうなっているのかは、彼女の右腕にすら知らせる訳にはいかないらしい。

少なくとも、今は。


厳しい顔をしているリゼルをチラ見し、レイズは考える。


(騎士団の秘密戦力……連絡が取れない?)


話を聞く限り、四聖龍の実力は最強クラス。

その一人が音信不通になっているということは、騎士団にとっても良くない現実。

単純に忙しく、応答できなかった可能性もあるが、可能性は低いだろう。

だから、最悪のケースも考えられてしまう。


騎士団長が頭を悩ませる問題だ。

国のトップとしても、気が気ではないだろう。


「そこで、私たちに指令です」

「指令?」

「その連絡がつかない四聖龍の調査です」


その指令を伝えた後、レイラは目を閉じ、呼吸を整える。


「それも、このメンバーで」

「え……?」

「なんだと?」

「引き続きこの特別部隊で、四聖龍の調査に出ます」


レイズたちは絶句する。

四聖龍の話や、リゼルの反応で、大事であることは分かる。それを、なぜ自分たちのような新人に任せるのか。


「もっと上でやればいいだろ?それに、連絡手段も不明ってことは、住所諸々分からないんだろ?」


任務内容が四聖龍ならば、基地長クラスが対応すべきだ。

新人が担っていい仕事ではないと思うが。


「……これはあくまで『調査』です。対象エリアに近い基地に訪問し、表にできない情報を仕入れるものとお考え下さい。深入りはしませんし、団長も遅れて応援に来ます」

「遅れんのかよ……」

「基地で話を聞くときに間に合えばいいですからね」


ちら、とレイラはレイズを見る。

調査も行うが、それはあくまで表向きだ。この調査で団長は『彼』を見にくる。

また、別の仕事も任されることになるだろう。なぜ、四聖龍の一人と連絡が取れないのか、そのきっかけとなる依頼が。


「そうなのか……」


レイズは見られたことに気付いていない。

「ふ~ん」と、騎士団の組織図を眺めている。


(調査……ねぇ……)


その横で、バージルは腕を組む。

腑に落ちないが、仕方ない。

『言えない話』の中に、新人である自分たちが行くべき理由があったのだろうか。


「四聖龍の情報はデリケートです。少人数かつ、信頼できる人間にだけ知らされます」

「……俺たちは新人だろ」

「……少なくとも、私は信頼していますよ」


四聖龍についてだが、とリゼルが珍しく自分から口を開く。


「彼らの存在は、騎士団上層部くらいからしか知らされない。組織図が分かれているのも、そのためだ。理由は、団全体が四聖龍頼みにならないためだ」

「うん。分かるぞ」

「だが、四聖龍の存在を知る上層部は、奴らの強大な力を頼りにしている節がある。だから、奴らに甘い。制度的に穴があると感じるかもしれない。だが、受け入れろ」

「……!!」


有無を言わさず「受け入れろ」と言われ、レイズたちはただ頷くしかない。


「騎士団は四聖龍の言いなりではない……が、四聖龍のワガママにNoと言えない部分もある」

「私は、できればそこも直したいんです。王として、騎士団として実績を積んでからですが……」

「分かったって……事情があるだろ?もう突っ込まねえよ」


騎士団の事情と四聖龍の事情。

協力関係を維持するためには、折り合いも必要だ。


「で、調査って具体的に何をするんだ?」

「はい。北に二つの町があります。まずは、そこの基地で話を聞きながら、状況を確認します」

「北……」


ダルトもレイグランズよりは北に位置していた。

また北か、とレイズは心の中で呟く。


「行く場所は、ペルソスとフリーズルートです。ペルソスは北の町で一番大きいです。フリーズルートは、少し田舎町ですね」

「フリーズルート……」


レイズは身を震わせる。名前からして寒そうだ。


「四聖龍の話が出たくらいだ。何か大きな問題が起こった直後か……そこも調査対象なのか」

「話が早くて助かります。その辺りも話を聞きましょう」


小さな問題では、騎士団内で解決できる。

が、このタイミングでの四聖龍だ。二つの町が手を出せないレベルでのいざこざがあったのだろうとリゼルは推測する。


それは、当たりだった。

四聖龍の調査と、起こった・起こっているであろうトラブルの調査。

この二つが、今回の仕事となる。


「明日出発します。今日は休んでください」


レイズたちはそこで解散し、寮に戻っていく。


入って数日で、レイズとバージルは騎士団の深い事情にまで関わることになった。

これは、出世スピードも期待できるのでは?と考える一方で、この国が抱えている想像以上の問題の大きさを想像し、心を雲らせるのだった。

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