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龍魂  作者: 熟田津ケィ
―成果―
503/689

―確かめたい―

レイズたちと敵とが激突する瞬間。

龍力を纏い、間に割って入った人間たちがいた。


「!」


レイズサイドや敵サイドも反射的にバックステップで離れる。

激突したであろう場を見ると、三人の龍力者が立っていた。


「イゾウ……!」

「イルザーラ……!?」


驚くリゼルとマリナ。あと一人は見覚えはあるが、名前が出てこない。


「あと……」

「サフィーナだ。ミーネの相手だった」


リゼルの相手をしたイゾウ、マリナの相手をしたイルザーラ、そしてミーネの相手をしたサフィーナ。

その三人が間に割って入った。

敵の二人からすれば、「邪魔するな」といった感じだろう。だが、様子を見ているだけで、攻撃を仕掛けてくる気配はない。


「何を……!?」

「……確かめたい」


イゾウは静かに、だが、力強く訴えた。


「自分は負けました。それは認めます」

「負けが直接関与しないって聞いてさ。見物してたんだよ」

「……風がここで吹いている」


イルザーラはそこで三人とたまたま会い、話し合ったという。ただ、サフィーナは風がどうこう言うだけで話し合いにはならなかったそうだが。


「それで、あんたたちとあっちの関係に気付いたんだよ」

「あれは敵戦力そのもの……でしょう?」

「……正確にはレイの下層の敵だ。本命はもっと強い」


リゼルは間違いがないように伝える。


「なるほど、です」

「ふぅん……」


挑戦者たちにしてみれば、実力をアピールできるチャンスである。

試験では負け記録でも、ここで力を示すことができる。


ただ、今目の前にいる敵は、レイやヒューズたちの実力までは及ばないはずだ。

したがって、ここで勝利できることと、レイやヒューズと対等に戦えることがイコールにはならない。


「……前哨戦、という感じですかね」

「どーでもいいよ。どっちにしても敵なんだろ?」

「……それは間違いない。だが、どうする気だ?」


リゼルの問いに答える前に、イゾウは刀を構える。


「あなたの龍力は強い。それに、負けは負け。それは理解しています。が……」

「『力』があるってことを見せてやるさ!!」

「ここは退けない。風が……泣いている……」


三人の龍力が高まる。

そこで、敵の女性が舌を打つ。


「ち……余計な真似を……」

「姉さん……」

「構わない。やるわよ。クオル」


ここで初めて、弟の名がクオルだと知るレイズたち。


「クオル君、ね。あんたは?」


イルザーラが斧を肩に構えながら問う。


「……シェキナー」

「シェキナーちゃん、ね。あたしは炎だけど、水すらも焼くわよ?」

「……うるさいわ。雑魚ほど吠える」

「!」


本当に鬱陶しそうに顔をしかめるシェキナー。

その態度に、ピキ、とイルザーラのこめかみに血管が浮かぶ。

それと同時に彼女の炎の勢いが増す。


「風が……歪む……」


イルザーラの龍力の変化を風で感じるサフィーナ。

それに合わせ、彼女も龍力を高める。




彼女たちの後ろで、レイズは叫ぶ。


「リゼル、やらせていいのか!?」

「ッ……!」


リゼルは言葉を詰まらせるだけで、何も言えない。


彼らを退かせるべきか、戦わせるべきかが分からない。

彼らのやる気を考えれば、戦わせるべきだとも思う。しかし、敵はレイの一派。

シェキナーとクオルがどの程度戦えるのか分からない。下手すれば、死人が出る可能性もある。


「……退く気がないみたいです。様子を見ても……?」

「ち……」


三人はやる気だ。

ここまで場が高まってしまえば、やらせるしかなくなる。

それに、退くよう訴えても聞く空気ではない。


「やらせるしかない、か……」

「ワンチャン倒せるかもな」

「……どうだかな」


バージルの淡すぎる期待をリゼルは切り捨てる。だがまぁ、ここはやらせてみるしかない。リゼルは剣を抜いたまま、数歩下がる。


「…………」


レイズたちもそれに習い、下がる。ここは、彼らに任せよう。

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