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龍魂  作者: 熟田津ケィ
―成果―
502/689

―エラー龍力者の姉弟―

水龍の女性と地龍の少年。

レイズたちが駆け付けてからは、バカみたいに暴れていない。彼らの到着を待っていたかのようだ。


「皆さん!無事ですか!?」

「レイラ!」


遅れてレイラも駆けつける。

レイズたちに怪我はない。それを確認すると、レイラは一安心したように胸をなでおろす。


しかし。

突然、地龍の少年が大地の牙を剥いた。剣に地龍の頭がダブって見える。


「みぃつけたッ!!」

「!!」

「ちぃッ!!」


リゼルは全力の爆発力で地の牙を止める。


「!!」


凄い力だ。リゼルよりも小さいのに、力負けする。

それは、龍力をリゼルよりも引き出せている証拠でもある。


「……へぇ!!」


少年は嬉しそうに笑う。

リゼルは渾身の力で少年を押し返す。


「どけッ!!」

「~♪!!」



口笛を軽く吹き、少年は下がる。だが、力に押されたというよりは、自分で意識的に退いた感じだ。


女性の方はこの間動いていないが、分かる。

この人も、強い。


「……何者です?」

「……エラー、って言うんですってね」

「!」


レイズ、マリナ、ミーネは顔を見合わせる。

あの二人も『あの日』に被害者か。


「わたしと弟は……全てを失った……!!」


女性を取り巻く力が禍々しく変化する。

フォリアのような清らかなバブルではなく、毒々しい色のバブルが展開している。


「けど、『あの人』はわたしたちを拾ってくれた……龍力のコントロールは教えてくれなかったけど、見て盗んだ」

「『あの人』……?」


鈍いわね、と女性は呆れたように笑う。


「あなたたちが必死で倒そうとしている人よ」

「レイ……!!」


レイズが真っ先に反応する。


「あいつの仲間か!?」


初めて見る、新しい敵。予想していたことだが、レイサイドに新たな戦力が加わっている。


「どうしてここに……?」


当然の疑問と言えばそうだ。

ここは、『あの島』に行けるかどうかの試験的な場。

外部からの乱入ならば百歩譲って理解できるが、この二人はテント内で暴れ始めている。

更に言えば、タイミングもおかしい。戦闘後で最も力を消費しているタイミングではなく、力が戻り始めたこの時間で、だ。


「騎士団のアホに捕まったからよ」

「アホって……」


捕まったお前が言うか?とバージルは目を細める。


「わたしたちは普通にあの島に帰ろうとした。けど、見つかったの」


騎士団が『あの島』を監視し始めたのはつい先日だ。

それより前までは、特に監視していなかった。その監視網に引っ掛かったのか。


「でも、運が良かった。あなたたちは、部外者でも強い人間が欲しかった。団員のアホがベラベラ喋ってくれたわ」

「…………」

「見つかったときはその場から逃げようとも思ったけれど……わたしは考えた」


水色の冷たい瞳で睨まれるレイラ。


「『あなたに会えるかも』って」

「……!!」


リゼルは舌を打つ。

予想していたことが本当になってしまった。だが、あの島からも普通に出入りしているのであれば、時間の問題だった、と言われて終わりだ。


「それで、わたしたちはその試験に潜り込んだ」

「……なら、なぜ待った?それに、何で他の挑戦者に攻撃した?」

「ふん、気分よ。そこに論理的思考なんかないわ。ま、普通に試験を受けるより騒ぎを起こせば、騎士団の最高戦力とやらが来るとは思ったけど」


全ての行動に論理的思考が働くわけではない。

感情で動いたり、無意識だったり、様々だ。ただ、その気分一つで傷つけられた側はそれで納得しない。

剣を交え、言葉も交わした。少なからず繋がりがあった連中だ。


レイズは怒りを抑えながらも、尋ねる。


「で、レイラに何する気だ?『あの日』にレイラは関係ないだろ」

「ん……でも、探してるのはあなただけじゃないから」

「!?」


流れを切り、そこで初めて剣を抜いた女性。

聞きたいことは山ほどあるが、話は終わりのようだ。


「来るぞッ!!」


レイズは叫び、剣を構える。

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