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龍魂  作者: 熟田津ケィ
-全ての始まり-
44/689

ただいま

レイラたち一行に闇から救い出された女性-マリナ=ライフォード-は、数週間ぶりの自宅へ帰るため、ダルト街を歩いていた。

天気は、珍しく晴れ。日が差すと気温が上がり、ダルトに似合わず暑くなる。


すれ違うダルトの住人。騎士団から解決したと報告があったためか、多く声をかけられた。

そのどれもが、彼女の無事を喜ぶものだった。その挨拶に答えながら、マリナは歩く。


ごく稀に、「貸しだぞ」と言ってくる住民もいる。マリナにはその意味がよく分からなかったが、自分の知らないところで何かしてくれていたのだろう。

とは言え、知らない内に出来てしまった「貸し」は怖い。半笑いで答えることしかできないでいた。


さて、『あの日』にダルト内でも龍の暴走が起こっていたと聞いていた。

当然、非龍力者の暴走がここでもあったはず。だが、帰宅途中、家が破壊されたままだとか、修復中だとかの話は、一切見なかったし、聞きもしなかった。

『あの日』から時間は経過している。全て復旧した故のそれなのか、皆が話題に触れないだけなのか。


ダルト外での暴走は、多分自分だけだ。

ダルトの住人は「遺跡で何かが起こっている」と知っていたはずだ。それなのに、帰宅途中、責められることはなかった。


水くみ当番をほったらかしていたことは、どうなったのか。

その辺りを確認する前に、基地を出てしまった。


基地での話では、家族が捜索願を出していたことを聞いていた。

ただし、自分が見つかったときには、龍が暴走状態であった。当然、騎士団としても対応しようとした。だが、解決に至らなかった。

これは、意識混濁の中で何となく把握している。騎士団の制服は知っているし、間違いないと思う。容赦なく雷を落としたことを、悪く思う。


そして、先日完全に暴走状態が解け、今日帰宅することも知らされているらしい。

家族以外には、情報が行ってなかったようだが。


かなり家を空けてしまった。工芸品職人の父は何と言うだろうか。

母も心配しているだろう。早く帰らないと。


はやる気持ちを抑え、一歩一歩進むマリナ。

戦闘直後で激しく動かないようフィナースに釘を刺されている。

暴走状態で、エネルギーもガッツリ使ってしまっている。騎士団からの被弾は少ないが、体力・龍力の消耗は激しい。


(お父さん……お母さん……)


会いたいような、会いたくないような、複雑な気持ちで歩いていると、自宅が見えてきた。

そして、家の前では両親が立っていて、辺りを落ち着きなく見回している。


「!!」


自分を待っているであろうその表情に、不安は吹き飛んだ。


「お父さん!!お母さん!!」

「「マリナ!!」」


自分を見つけた両親は、同時に叫ぶ。

目には涙を浮かべていた。


―――――少しの駆け足なら大丈夫だろうか?

彼女は心に従い、速度を上げ、二人にダイブ。


自然と溢れてくる感情。抑えることができなかった。


「ごめんなさい……!!」

「かまうもんか!!良かった!!無事で!!」

「怪我はない?気分は大丈夫?」


喜び合う家族の声に寄せられ、歩いていた人や、隣近所のマリナをよく知る人も拍手をくれた。


「良かったね!!見つかって!!」

「魔物に襲われたんだって?」

「騎士団が見つけてくれたって!!」


マリナは涙を流しながらも、状況を整理する。


(え……?)


自分は魔物に襲われ、行方不明になっている、ということになっているらしい。

しかし、両親は知っているはずだ。そこはしっかり話さなければならない。


「おかえり、ゆっくり休もう」

「入りなさい。ご飯作るわね!!」

「うん!ただいま!!」


自宅に入る前、マリナたちは一礼し、手を振った。

まるで英雄の帰還だ。


マリナたちが家に入った後も、しばらく拍手は鳴り止まなかった。

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