表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍魂  作者: 熟田津ケィ
-全ての始まり-
PR
20/689

入団試験開始

騎士団入団試験。バージルサイド。


レイズと強制的に分断され、バージルは一人、騎士団本部の試験会場に通された。

意外だったのは、女性志願者がそれなりにいたことだ。


ミナーリンでの騎士団基地には、女性隊員は一人見かけなかったし、会場に来るまでの道中も男性ばかりだった印象である。

見かけなかった=いなかった。ではないのだが、少々驚いた。


(ま、半々じゃねぇけどな)


比率は7:3くらいか。

全体的に若い志願者が多い。年が行っている志願者もいるが、かなり少なめ。


(そういや、年齢の上限とかはないのか?)


長期キャリア形成のためとかで、30代くらいに上限を設けそうだが、明らかに40~な見た目の者もいる。

龍力者になった時点で、外見年齢は当てにならなくなる。よって、逆に言えば、龍力者で歳を取っているように見える場合、実際の年齢はもっと上になる。


考えるのは、男女比や年齢のことだけではない。


(つか、俺には多く見えるけどな)


志願者は少ない。と聞いていたが、絶対値はそれなりにいる気がする。

エラー龍力者を騎士団で支援するような話をアーロンがしていた気がするが、ここにはいないらしい。つまり、ここにいる全員が、正規ルートで龍力者になった者となる。

国への不信感は凄まじい時期だろうと思う。それでも、自分の力を国のために使いたい人間は一定数居る様子。

実際、支持率は盛り返しつつある。スピード感をもって減税されたのが大きいか。また、二重課税になっている品目にもメスが入っているらしい。実行はされていないが、国民生活に直結する減税に積極的なのは嬉しい事実だ。


(国民のために仕事してくれたら、支持率は勝手に上がる……至極簡単な話だな。経済オンチには分からないらしいが)


さて、一応の試験を受ける身としては、緊張もする。

状況的に、龍力が扱えないエラー龍力者は騎士団の方から誘いがかかる。だが、当然自分たちのような者は、自ら志願し、試験を受ける。

言い換えれば、エラー龍力者が全員合格で、正規の龍力者はふるいにかけられると同義。


(変な話だ。まぁ、仕方ないか)


状況が状況だ。国としては、管理できるエラー龍力者は多い方が良い。

そして、コントロールできている龍力者は実力が伴っていなくてはならない。


試験開始時刻が迫るにつれ、何やら前に張り紙が掲示された。

そこには、試験の組み分けが書かれていた。


バージルは首を伸ばし、その張り紙を凝視する。


(えぇと……試験は列ごとか)


ここから、さらにいくつかの会場に振り分けられ、試験が行われるらしい。

そのメンバーは、ここで並んでいる列で決まっているようだ。

バージル班の受験者は、5人。

男子(と言っても年齢層は様々だが)4人、女子(バージルと同じくらい)1人だ。怪しまれないよう、座り直す動作に紛れてその女性を確認する。おや、それなりに可愛いのでは……

何て、呑気なことを考えられていられるのは、推薦状のお陰である。


(……緊張してるな。みんな)


当然、バージルの班だけでなく、受験者全員の表情は固い。当然だが、緊張と不安でいっぱいいっぱいのようだ。

ある意味でチートアイテム持ちのバージルは、非常に大きい精神的余裕が生まれている。


と、奥の扉が開き、地位の高そうな男が出てきた。

アーロンと同い年くらいだろうか。


黒髪で、ひげが整えられている。

彼は、受験者を一通り眺めると、中央のスピーチ台についた。


「えー、諸君。この度は、騎士団入団試験に応募してくれて、大変ありがたい」


しかし、と続ける。


「この国の状況は良いとは言えない。団員は一人でも欲しい。が、実力の乏しい者に合格を出すことはできない。そこは分かってほしい」


受験者の緊張が高まる、バージルもつられて緊張する。

彼の表情は、推薦状を見ている雰囲気ではなかった。

実力主義。当然だ。


「試験は、模擬戦闘とだ。一人一人行う。各班に分かれて、少し待機していてくれ」

「「了解です!!」」


体育会系だろう。数名が大きな声で返事をした。

一つ頷き、男は部屋を出ていった。


挨拶が終わった後、バージルたち受験者はすぐに場所を移動した。

騎士団の小部屋に案内され、椅子に座る。周囲を確認してもおかしくないシチュエーション。

例の女性の姿を見るのは今しかねぇ。


バージルは女性を見る「ついでに」部屋をぐるりと見渡した。

銀髪で、首くらいの短髪。可愛い系ではなく、悪戯が好きそうなクール系……じゃなくて、待機部屋は、殺風景で何の面白みもない。

小会議室くらいに扱われる部屋だろう。


「……ふぅ」


バージルは用意されていた水を飲み、気持ちを落ち着かせる。

緊張はしていなかったが、いつの間にか気分が張り詰めていた。周囲の緊張がうつったようだ。


(試験対策は……まぁそれなり。後は、喋れるか、だな……)


試験内容は、模擬戦闘と面接。いたってシンプル。


模擬戦闘とは、具体的にどのようなものだろうか。

「模擬」と付いているからには、魔物相手ではなさそうだ。

十中八九、実力ある団員が相手をしてくれるのだろうが、それで何を見るのか。

シンプルな強さか。龍魂の技術か。武器の扱いか。頭の回転か。当然、戦闘においての全体的な総合力は見られるだろうが……

加点方式か、減点方式か……


多分、そこで雑魚すぎる者は落とされる。

強さを認められた者だけが面接に進めるのだ。


面接で言うことは決まっている。

真実を知るため。そして、エラー龍力者を一人、育てた経験だ。

ただ、この張り詰めた空気の中で、綽々と喋れるだろうか。


そうこう考えているうちに、一人目の受験者が呼ばれた。

成人して数年経っているくらいの青年だ。

何気なくそちらを見ると、目が合ってしまう。


「お先に」

「……あぁ」


バージルは仕方なく反応する。彼は一度頷き、部屋を後にした。


いよいよだ。


(俺は、真実が知りたい。国の発表でも、噂でもない。俺の目で、確認するんだ)


膝の上に置いた拳を、強く強く握りしめるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ