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龍魂  作者: 熟田津ケィ
―飛躍―
198/689

―フリア戦―

場所は変わり、ハーゼイ、ウィーンサイド。


黒髪ロングの男と対峙している二人。

話の流れから、彼はイングヴァーを連れ去ることよりも、自分たちと戦うことを優先した模様。

したがって、戦う気満々だ。

彼からは、まだそこまで強大な龍力は感じられない。力は未知数。

こちらは二人。勝ってみせる。


二人は同時に武器を構える。

ウィーンは二本の短剣。紅の装飾が美しく光っている。

ハーゼイは杖と剣の融合。


「ウィーン!!」

「あぁ!」


ウィーンは炎龍の力を纏い、フリアに向かって飛び出した。

その後方で、ハーゼイは龍術の詠唱を始める。土龍の紋章が描かれ、土の力が充実していく。


彼らが纏う力で、じじいが土、突っ込んでくるのが炎というのが分かった。

黒髪をなびかせ、右手で刀を回すフリア。


「へへ、遊ぼうぜっ!!」


龍力を高め、ウィーンと真正面からぶつかる。

先程の静かな龍力からは、想像できない程に恐ろしい力だ。

冷たく、鋭く、そして強い。


(月光と聞いておったが……凄まじいの)


資料のデータから、敵が月光龍だということは知っていた。

だが、実際の力量までは載っておらず、未知な部分があった。

こうして自分の目で見ると、直に分かる。騎士団では、手に負えない。


「はぁッ!!」


ウィーンは回転しながら、踊るように斬りつけていく。

龍が空を翔けながら、爪や牙で切り裂いていくかのような連撃だ。

彼の強みは、圧倒的手数。威力のなさを手数で補うのではなく、当然、一発一発の威力も高い。


しかし、フリアは彼の連撃を器用に弾いていく。


(初見で全て見切るか。なるほどのぉ……)


自分でも、ウィーンの連撃を見切る自信はあるが、受けきれるかは別問題。

戦闘センスも抜群。敵なのが、本当に惜しい。


そうしている間に、ハーゼイの龍力が溜まる。

即座に、フリアの足元に土龍の紋章を描く。スキなど与えてなるものか。


「グランドフォース!!」


フリアは足元の紋章を見回し、呟く。


「……でけぇな」

「逃がすか!」


逃げ道を作らない。ウィーンは頭上から襲い掛かる。

だが、フリアはウィーンを見ていない。次の瞬間、彼は地面に刀を突き刺した。


「は!?」


向かってくる龍術に対し、防御せず相殺させに来るとは。力を見誤れば、自殺行為に等しい。

それでも、自分のすることは変わらない。少々心を乱されたものの、ウィーンは龍力をぶち込む。


「煉獄龍斬!!」


フリアの首をかき切る直前。


「……月光龍陣!」


ハーゼイの紋章とほぼ同じ大きさの紋章が描かれた。

それは、彼を守るかのようなエフェクトを見せる。しかし、龍力による牙は向けられている。

防御技かと思ったが、しっかりと攻撃技だった。


土、炎、そして月。

龍力がぶつかり、爆発を起こした。


「!!」


ハーゼイとウィーンは味方だと認識しているため、龍術や技に干渉しない。

そのため、二人分の龍力がフリアに襲い掛かる。それでも、彼の『陣』が負けずに爆発が起こったということは、限りなく力が拮抗していたことになる。

だから、そこで龍力維持ができなくなり、同時に爆発したのだ。

四聖龍クラスの龍力者であれば、爆発ダメージも知れている。


爆発から距離があったハーゼイは、爆風から顔を庇いながらフリア達がいた方を見ていた。


(何という……!!)


無謀だ。普通なら、どちらかを捨て、ダメージ覚悟で受ける。

刃か龍術か。どちらかは受けてしまうが、その方が現実的だ。力のバランスが崩れば、無意味にダメージを受けることになるし、エネルギーの無駄遣いに終わることにもなる。


土気色の煙が立ち昇る。ウィーンが、その合間から出てきた。


「クソ……」


あの様子だと、フリアも健在。

龍力爆発直後で力が読みにくいが、煙の中から龍力を感じる。

心なしか、先程よりも力が充実している。


二対一で、この戦い。

実力差は、圧倒的だった。


戦闘は始まったばかりとはいえ、龍力爆破のイメージは強く残る。

二人の龍力を足しても、フリアの龍力で止められ、破壊される。精神的ダメージは計り知れない。


(悪夢じゃな。じゃが……)

(じーさん。諦めんのか?)


だが、二人の目は死んでいない。

互いが互いを見て、口角を上げる。どうやら、まだお互い諦めていないらしい。


これほどの使い手が、なぜ四聖龍の座に就いていないのか。今まで、どこで身を潜めていたのか。

自分たちは、こいつ『等』に勝てるのか。


考え出すとキリがないが、そんなのは後だ。

こいつを半殺しにして、問いただせばいい。


二人は龍力を込め直し、戦いに臨むのだった。

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