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龍魂  作者: 熟田津ケィ
―飛躍―
195/689

―敵の目的―

シャレムが敵の女と相対した同刻。

ハーゼイとウィーンも彼女ほどではないにしろ、敵の気配には気付いていた。

そのため、移動を開始していた。彼女を誘わなかったのは、四聖龍が固まるのはそれはそれで防御が薄くなるからだ。

そのお陰で、メインの監獄で騎士団と敵の女がぶつからずに済んでいる。


「……イングヴァーだけは死守しようかの」

「あぁ。だが、イングヴァー以外にも手練れはいるぞ」

「護送中の様子は見たじゃろう?イングヴァーだけは別格じゃ。他も厄介ではあるが、ワシらがいればどうにでもなる」

「……ふん」


イングヴァーだけは別の建物内に収容している。

そちらへ向かおうと走っていると、ウィーンが急に足を止めた。

混沌とした気配が急に強くなる。


「……おい、じじい」

「失礼な奴じゃな。分かっておる」


道の脇の高台。

ウィーンたちの目線の先には、黒髪で長髪。全身黒コーデの男が立っていた。


「あ~らら。バレちゃったか」


男は焦ることなく、木々の間から二人の前まで下りてきた。


「資料にあった男じゃな。フリア……と言ったか」

「お?俺も有名人か。なら、『俺の過去』も知ってんのか」

「興味がないな」


ウィーンは冷たく言い放つ。

だが、ハーゼイはフリアの発言に少し引っかかっていた。

スゼイとか言う男もそうだが、なぜ敵は自分の名を明かすのか。それも、先程の口ぶりから、偽名ではないと思える。


ふむ、と考えようとした瞬間だ。シャレムの龍力が跳ね上がった。

ハーゼイは、杖を加工し、刃を付けた剣を構える。剣の柄が杖になっている、変わった形の武器である。

この武器のお陰で、接近戦も十分に戦えるようになっている。


「……シャレムの龍が跳ね上がった」


言われなくとも分かる。

龍力の乱れ。龍圧。彼女の光がビリビリと伝わってくる。


「あぁ。あっちも忙しくなりそうだ」

「その様じゃな。お前さんや、あそこにいるの以外にもいるのかの?」

「どうだかな。いると思うぜ」


ハッキリとは言わず、はぐらかすフリア。

薄気味悪い余裕の笑みが浮かべられている。


「……四聖龍は三人。とすると、三人は最低でもいそうじゃな」

「……同感だ」


敵が四聖龍の存在を知っており、かつ、一対一を望んでいる前提ではあるが、最低でもそうなる。


「目的はなんじゃ?」

「イングヴァーが欲しいってさ。貸してくれよ」

「……断る」


「~ってさ」や「貸して」という表現に引っかかる。だが、答えは決まっている。

奴だけは外に出すわけにはいかない。ウィーンはその提案を却下する。


「ふ~ん……?」


それでも、薄気味悪い笑みを変えないフリア。


「どうする気じゃ?イングヴァーの場所は知っているわけでもあるまい?」

「それな。メインの建物の他に、ダミーなのか、小さな牢もいっぱいある。まぁ、アンタらの様子を見るに、イングヴァーはそっちなんだろうけど」


フリアは道の先を見る。

それでも、建屋の数は多い。騎士団が地龍使いと協力して作った仮の牢だ。

『敵の目を誤魔化すのに良い』との判断である。


「……姿を見せなければ、場所を掴めたじゃろうに」


イングヴァーの牢まで彼が隠れていれば、そんな回りくどいことをしなくても済んだ。

姿を現した理由が分からない。


「それなー……イングヴァーも重要なんだけど……」


フリアは刀を抜く。


「俺個人としては、アンタらと戦いたいんだわ」


闇のオーラが彼を包む。

戦いが、始まる。

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