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龍魂  作者: 熟田津ケィ
ー無知ー
157/689

―起きなさい―

二対一になり、苦しい戦闘を強いられている。

多少慣れたとは言え、マリナもミーネも、龍魂はまだまだ初心者である。


(諦めたくない……!!けど……!!)


強大な敵に、二人で勝てるはずもない。

トライホーン・ビーストもそれを理解しているのか、いつの間にか攻撃が『一撃必殺』から『なぶり殺し』へと変化している。

格上と戦うスタイルから、弱者を追い詰める戦いへと変化したのだ。

明らかにナメられている。


マリナは汗を拭い、剣を握り直す。


(悔しい……けど!!)


そこに付け入るスキがある。

しかし、更に悔しいことに、スキはあっても、そこを突けるほど、自分は実力が伴っていなかった。


ミーネも、戦いながら同じことを考えていた。


(こいつ……手を抜き始めた……?)


自分が繰り出す龍力で、深手を負うことはない。と、トライホーン・ビーストに判断されたということだ。


道場では、確かに龍力に慣れ、力の底上げに成功した。が、それだけだ。

実践レベル、で使えるほどの龍魂ではなかった。


(けど!諦めたくない!!)


ミーネは剣を掲げ、力を充填する。

そして。


「絶氷刃!!」


氷の刃を飛ばした。剣の軌道が氷の刃となり、飛ばす技。

シンプルな技だが、距離があっても使うことができる。そして、龍力もそれなりに大きい。


(当たって……!)


が、トライホーン・ビーストに当たることなく、爪で弾かれてしまう。

力負けしたため、氷は砕けてしまう。欠片は地面に転がり、青色の粒子となって消えていく。


「く……!」


ショックを受けているミーネを背に、マリナは懸命に剣を振る。

しかし、効いている感覚がない。

ミーネも頭を切り替え、攻撃に参加する。しかし、戦況は変わらない。


じりじりと後退している二人。


「え……?」

「そんな……!」


気付けば、水辺付近まで後退していた。

じりじりと追い詰められていたらしい。それにも気づかないとは。


レイズは、相変わらず木陰でスヤスヤと眠っている。

彼女らはそれを見ると、無性に腹が立ってきた。


(あのバカ……)

(レイズ……まだなの?)


疲れているのは分かる。

とてつもない努力をしているのは、彼を見ていれば分かった。

食事もあまり摂らず、睡眠時間も削って勉強していた。

今朝もエネルギーバーやドリンクを摂取しながら、参考書やノートをめくっていた。


先ほどまでは、それだけ苦労したのだから、寝かせてやろう。という気でいたが、仲間たちが戦っている。

それも、格下相手ではない。格上相手に戦い、全滅の危機なのだ。

それに、レイズが行動可能状態であれば、戦う必要がなかったかもしれない相手だ。


(いい加減に……)


マリナは手に小さめの龍力を込める。

程なくして、バチ、と手に雷が走る。


「マリナ!?」


それを見たミーネは、彼女がやろうとしていることを理解した。

そして、すぐに彼を見る。


(レイズ……戦える……!?)


寝起きで戦えるとも思えない。自分なら、寝起きで龍をコントロールするなど無理な話だ。

が、このまま何も知らずに眠り、起きたときにはすでに全てが終わっていた。そんなのはレイズだってやるせない気持ちになるだろう。


「……起きなさいッ!!」

「ぎゃんッ!!」


レイズの身体に雷を落とした。

彼は、今までにマリナたちが聞いたことのないような叫び声を上げ、飛び起きた。


一週間の特訓の成果。そして、クラストとやらの講師としての実力。

非常に強引だが、ここで見せてもらおう。

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