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龍魂  作者: 熟田津ケィ
ー無知ー
152/689

―特訓の進捗状況―

クラストと会った日の夜、レイズはリゼルたちを集め、昼間のことを話そうとしていた。

その際、魔物退治をサボっていたことは何とか誤魔化し、少額ながら稼いだお金をリゼルに渡す。


「すまん。調子が悪くてな」

「ふん……まぁ良い」


渡してすぐ、クラストとの話題に入った。そうすれば、お金の話から話題をすり替える事ができる。


「今日の昼のことなんだけどさ……」


クラストという人物に会ったこと、彼はスレイを知っていたことを話す。

スレイは荷物をまとめており、勉強していたノートも『燃やす』といった形で処分していたこと。


「……なら、もう本ッ当にここにはいないってことになるわね……」


深刻そうなマリナの声。

アパートを引き払ってシャンバーレ内で拠点を変えただけ、とも考えていた時期もあったが、結果が出てしまった。

レイズは、その結果を受け入れている様子だった。


「あぁ、そうなる」

「いいんですか?もう……」


遠慮がちなレイラ。

心残りはあるが、彼がいないのだから、どうすることもできない。


「あぁ。ここにいないし、その話も二週間以上前だし。気にはなるけど、大事なのはこの先だ」

「……?」


スレイの安否、行方も心配だ。

だが、そこに拘っていても今は仕方ない。

レイズが伝えたいのは、その先の『フル・ドラゴン・ソウル』の話。


「皆は……最近どうだ?」

「は?」


バージルが腑抜けた声を出す。


「あぁ……すまねぇ」


レイズは頭をかいた。

確かに、これでは伝わらない。


「その、龍魂のこと、どうだ?」

「成果の話か?」

「まぁ、それでいい」


レイズのよく分からない質問に、仲間は考える。

何の意図があるのだろうか。


「私は、順調だと思いますけど……一つ一つレベルは上がっている気はしますが……」

「……僕もそう思う。少なくとも、確実に力はついてきている」


実際、レイラとリゼルの二人は実力を上げている。

上げているが、『龍魂の範疇』で上げているに過ぎない。階段を数段上がっただけ。

『枠』を超えた進化をしているわけではない。龍魂そのものの殻は破れていないのだ。


「俺は……どうだろうな?まぁ、ちょっとできることが増えた程度か」

「わたしは……バージルと同じかな……あの時の力を意図的に出すのは無理みたい」


レベルがやや上がっていると感じているバージルとマリナ。

スタート地点が低かったマリナも、かなり追いついてきた。


宿屋で成果を共有している際、龍力レベルも見ている。

ド素人のレイズの目から見ても、二人のレベルも確かに上がっている。が、それもレイラとリゼルと同様に、龍魂の範囲内なのだ。

それに、レイラとリゼルに比べれば、上り幅は小さい。


「あたしは、全然……力になれそうにないわ……まぁ、少しは力は出せる気はするけど、全然ね」


ミーネは苦労しているようだった。


もともと人見知りで、引っ込み思案だ。

コウほど厄介な講師はいないらしいが、それでも面倒な講師はいる。

龍魂のことで分からないことがあっても、積極的に聞きに行けない。

勇気を振り絞って聞きに行けたとしても、口下手で、何を聞きたいのかも言葉にできないレベルだ。

ただ、努力は人一倍している。

全員が寝静まった深夜でも、彼女の龍力を感じる時があるのだ。


「……俺もだ。上がったような、そうじゃないようなって感じだ」

「それで?お前は何が言いたいんだ?」

「『フル・ドラゴン・ソウル』って聞いたことあるか?」

「は?」


きょとんとする仲間たち。それだけで、聞いたことないな。と判断できた。

レイズは仲間と一人一人視線を交えた後、一呼吸おいて言う。


「……クラストは、それを知っていた。教えてくれるとも言ってくれた」

「え……?」


具体的な可能性の提示。

これを聞いたリゼルたちは、何を思うのか。

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