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龍魂  作者: 熟田津ケィ
ー無知ー
138/689

ー久しぶりの再会ー

レイズたちは、シャンバーレの町を散策していた。

自分の龍派がどこにあるか確認しながら、道具屋、武器屋、飲食店など、生活で使うであろう施設を確認していく。

数は道場よりも少ないが、龍派に分かれた図書館も建てられている。

(どの本を読めばいいのか皆目見当もつかないが)文献を利用して知識を増やすこともできそうな感じだった。



レイラ、ミーネは町を見ながら話していた。


「やっぱり、龍派に分かれていますね」

「そうね……一軒くらい、総合の所があってもよさそうなのにね」


先日見れきれなかった所も含めて、しばらく見て回った。

初日の感じから予想はしていたが、道場は龍派によって分かれていた。


道場は、中を覗くこともできるよう建てられており、性別、年齢層、訓練内容が分かるようになっている。

志願者はそれを見て、自分に合っているところを探すのだろう。

レイズたちとっては、総合的に指導してくれる場があれば良かったのだが、そう上手くはいかないようだ。


(総合の所がない……やっぱり、一人で……)


ミーネの心はざわついていた。

人見知りに、その環境は辛い。それに、龍派問わず、周囲は男性が多く、女性は少ない。加えて、年齢層も広く、打ち解ける自信はなかった。

ただ、仲良しごっこをしに来たわけではない。


(……だめ。頑張らないと……けど……)


先日、自分は「やる」と言った。

頭では分かっている。が、どうしても心が付いてこない。

敵は強大だ。強くなりたい。ならなければならない。




人には向き不向きがある。


自分は、前線に立って戦える器ではなかったのではないか。

レイラたちに龍を教えてもらって感謝しているが、ここまで事が大きくなるとは。




「ミーネ?大丈夫ですか?」

「!」


レイラに声をかけられ、ハッとする。

自分では気づかないうちに、かなり険しい顔をしていたようだ。


「ううん、疲れたかも……色んなことあったし……」

「そうですね……今日は道場の中までは入りませんし、早めに帰りましょう」


ミーネは力なく笑顔を見せ、感じている不安を、疲れだと言って誤魔化した。

そう、きっと疲れのせいだ。ミーネは自分の気持ちに蓋をして、見ないようにした。



「さて……」


町を見て回ったレイズたち。

考えている道場がどこにあるかは把握した。周辺施設、宿までのルートも確認済みだ。

今日の目的は達成だ。


「……こんなもんか?」

「そうだな。分かってたことだが、相当多いぞ……」


初日にある程度絞っていたことと、隅々まで見れていなかったことを考えても、後追いで発見できた道場は多い。

ただ、町の端過ぎたり、気迫に満ち溢れすぎたり、座学中心すぎたりしているため、どちらにしても選択肢には入らない感じだ。

いきなり世話になるには、ハードルが高い。

はやり、大通りに面していたり、町の中心にあったりする方が安心する。



何か買って宿に戻ろうかと考えていたその時、どこかで聞いたことあるような声が聞こえてきた。


「レイズ……?」

「え?」


そちらを向くと、そこには自分たちより少し上の年齢であろう男が立っていた。

髪の毛をセンターで分け、メガネをかけている。ワイシャツにベスト。勉学に励む者っぽい格好だ。

脇に分厚い本が数冊抱えられている。

そして、顔・声がレイズによく似ていた。


「……兄貴!?」

「兄だぁ!?」


その男は、レイズの兄。名前はスレイと言うらしい。


「やっぱりか」

「久しぶりだな!まじ、何年ぶりだよ!?」


レイズは懐かしそうに肩を叩いた。

兄は本を抱えており、やられっぱなしだ。

第一印象だが、割と明るいレイズに対し、スレイは落ち着いた印象を受ける。

レイズと一緒にいる仲間と目を合わせようとせず、小さく答える。


「……(最低)五年くらいは経ってるか」


スレイはやや気恥ずかし気に目を反らす。

彼も人見知りっぽい。ミーネは親近感を覚えた。


レイズに兄がいたとは。それも、シャンバーレで再開するとは。

バージルたちは会話には参加できなかったが、ただただ驚いていた。

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