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龍魂  作者: 熟田津ケィ
ー圧倒的な差ー
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ー魔物の変化ー

レイズたちは、進めるだけ進み、一晩キャンプを行った。

翌日、相変わらず変わらない景色の平原を進んでいる。

天気は今日も晴れ。旅の環境に恵まれている。


彼らは、序盤とは明らかに違う『ある変化』を感じていた。

それは、魔物の強さだ。


初日と二日目で、出会う魔物に今のところ大きな変化はない。よって、生息している魔物は同じである。

しかし、攻撃力や体力、もしかすると防御力もだが、それらが格段に上がっている。


「はぁ……はぁ……なんか、倒れなくね?」

「思った。昨日とは違うみたいだな」


昨日と同程の攻撃で弱っていた魔物が、今日はあまり効かなかったり、そもそも剣が弾かれてしまったりするのだ。


「ッ!かたい!!」

「龍力を!もっと!」

「うん!」


非常に疲れはするが、勝てなくはない。

ただ、当然だが一回一回の身体面、精神面への負担が大きくなっている。

そのため、進行速度は一気に下がってしまった。


休憩中、レイズたちは魔物の変化を口にしていた。


「……明らかに強くなってるな」

「そうですね……一戦一戦疲労感が全然違います」

「これが続くとなると……憂鬱だわ……」


ミーネは頭を抱える。

彼女は龍力こそ扱えるが、コントロールする上で考えると、まだまだ初心者だ。

必死についてきている状況である。


(全種類、か……)


携帯食料をかじりながら、リゼルは一人考えている。

動物系統の魔物、昆虫系統の魔物、植物系統の魔物、エトセトラ。どれもレベルが上がっている。

レイズやミーネも戦闘に参加しているが、正直辛そうだ。

龍力のコントロールの部分は、初期からは見違えるほど進化している。しかし、長期間かつ断続的に変化するには、圧倒的に経験が足りていない。


(多すぎも問題、だな……)


ただ、それは自分たちも例外ではない。

レイラと自分は騎士団での任務で魔物と連続で戦う経験はしている。ただ、限度と言うものがある。

それに、当時とは状況が異なる。

熟練者チームで組んだ当時と、初心者ミックスと現在。自ずと負担はレイラと自分が多くなる。

その分、力の使い方は上手くなったような気はしている。

ただ、使い方が上手くなっただけで、力の限界値は上がっていないように感じる。体感できないレベルでの上昇はあるのかもしれないが。


(……平原もまだ続いている。しかし、ここで消費を抑えるのは……)


敵が強くなると、自然と休憩も増える。このままのペースだと、回復アイテムが底をつきそうだ。

だからといって、体力フルでない状況での戦闘は避けたい。



「…………」


一人で考え込んでいるリゼルに気付くバージル。

見回りと称して抜け出し、仲間たちから少し離れたところでレイズとバージルは話し合う。


「逃げれるときは逃げた方が良いんじゃないか?」

「俺はそうしたいけど……リゼルは戦う気じゃないか?」

「どうだろうな……当初とは状況が違う。一人で考え込んでるみたいだし、こっちから案を投げればワンチャンあると思うぜ」

「マジか?なら……それに……」


レイズはマリナを見る。

彼女は飲み物が入ったコップを包むように持っている。視線は定まっておらず、どこを見ているのか分からない。


「あぁ、マリナがマジでヤバそうだ」


彼女は、まだ十分に走れない。

戦闘には参加せず、歩いて着いて来てくれているが、慣れない旅で、体力も精神も削られている。

初日に比べ、口数もぐんと減った。レイラが積極的に話しかけてはいたものの、それすら負担になってしまうと考えたのか、今は一人で過ごしている。

ミーネも気にはしているが、話題が見つからないため、近くにはいるが、あまり話せていない。


彼女のメンタルがシャンバーレまでもってくれるか心配だ。



「……本気でマズそうだな」


レイズとバージルは互いに頷き合う。

そして。


「リゼル。ちょっといいか」

「……何だ」


そのことを、こっそりとリゼルたちにも伝え、了承を得た。


「分かった。極力戦闘は回避する。ただ、ゼロになると思うなよ」

「分かってる」

「そこは心得てるよ」


シャンバーレらしき町はまだ見えない。

レイズたちは、魔物との遭遇や残りアイテムなどの不安と戦いながら進むのだった。

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