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龍魂  作者: 熟田津ケィ
-全ての始まり-
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歴史

何百年も前の話。


人間と龍は、お互い干渉することなく、共存していた。


同じ空間に存在はしているし、お互いが視認でき、接触すらできようとするレベルで一時的に接近することはあっても、関わることはなく、平和であった。

しかし、人間が増え続け、土地が足りなくなってくる。最初は龍の住む地域に進出することなく人間界のみで工夫していたが、それも限界。


次第に、龍の住処に進出し始めたのだ。少しずつ、少しずつ。

土地が増えれば、食料も増える。利益に目が眩んでいたのだ。


それでも、龍は譲歩し、人間とうまく共存していたが、限界が来た。


「土地が欲しい」

「龍が邪魔だ」


人間たちは、武器を手に取った。龍を倒し、住処を拡大するため、龍の住処に進出した。

これには龍も怒り、戦いへと発展した。


人類と龍との戦争である。


ただ、流石に生身で勝てると思うほど、バカではなかった。

故に、魔物の素材を使い、武器や防具を作った。それを使い、攻め入ったのだ。


人間は強大な力に厳しい戦いを強いられたが、ここで一つの案が浮かぶ。


「龍の力を使えないだろうか」


魔物の武器の改造技術を応用し、倒した龍の素材で武器を作ったり、罠を作ったりしたが、あまり効果的ではなかった。

それでも、疑似的な龍の力を使うことはできていたため、魔物由来の武具を使って戦うよりは、楽になっていた。


紆余曲折あり、その中で一番効果があったのは、「死後の龍の魂を人に入れること」だった。


倒した龍の魂を送ることなく、現世に留め、人に入れる。

これには、経験を積んだ霊能者の力が必要だった。


これには長い年月を要したが、人類は領土のため、戦った。

その中で、龍魂-ドラゴン・ソウル-と言う技術は確立する。


技術は確立し、龍力者は誕生したが、その力のコントロールに苦労していた。

相性が悪いと、そもそも使うことができない。


仮に相性が合っても、龍の力を引き出せそうとすれば、怨みとばかりに龍が精神を攻撃し始める。

その先は、廃人になるか、精神を乗っ取られた龍になるか、だ。


「今のが、さっき言ってたヤツか」

「あぁ。意識の綱引き状態になる。歴史的にも、黎明期にも、それでやられた龍力者は多いらしい」


龍魂の技術が確立する前。当然だが、最初から全員が100%コントロールできたわけではないのだ。

ただ、難しい言葉を使われても分からないぞ。


レイズは顔を変えないよう意識しつつ、先ほどの言葉を繰り返した。


(黎明期……?)


黎明期は、「暗い」「青黒い」などの意味を持つ「黎」、「明るい」という意味の「明」、そして「時期」を表す「期」という3つの漢字から成り立っている。

暗いところから明るいところへ向かう時期。つまり、新しいことが始まる時期を表す単語として使われている。

ただ、日常生活で耳馴染みはない言葉。レイズにはその意味が分からなかったが、話に影響はなさそうだ。スルー安定だな。


そんなレイズの心中など察せる訳もなく、バージルは話を続ける。


「……で、色々あって、現代の形に落ち着くわけだな」


現代では、家族の龍を後継者として引き継ぐ方法と、試験で認められ、若くして龍魂を得る方法がある。

国は、それで龍力者を管理していたそうだ。

稀に、生まれながらに龍を宿しているパターンもあるらしいが、実際に報道された過去は、無い。


「で、話戻すけど……」


人間と龍の戦いの中で、人類と龍は大きく数を減らした。

気付けば、自分たちは何のために戦っているのか、それすらも分からないくらい長期間の戦いになっていた。


人類から仕掛けた戦いだったが、終戦を申し出たのも、人類からであった。


その行為は更に龍を怒らせたが、戦いが終わるなら、と龍は平和を選んだ。

龍は地上(現代で言う人間界)を去り、それ以来、人間が到達できないであろう地で、ひっそりと暮らしているとのこと。


よって、龍は今もどこかで生きている。

実際、口頭レベルでの目撃情報はある。ただ、歴史の反省を踏まえ、干渉するのは)(罰則はないが)NGとなっている。

万が一、会おうと思う人間がいたとしても、目撃情報が町に降りてくる頃には、龍はその場所にはいない。出会えること自体、貴重である。


こうして、戦いは終わったが、龍魂の技術と、それの便利さ・危険さが残った。

それが、龍魂-ドラゴン・ソウル-の歴史である。

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