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第24話 貰った屋敷

その日の内にスローンまで、行くのに必要な道具を揃えに王都の商業区画を訪れていた。

 旅の途中には、町や村などに着く前に日が暮れてしまう場合があるため、テント、調理道具、寝袋、保存食、外套などの旅には必要な物を揃えにカラティア王女と来ていた。


「わ~、色々なお店があるんですね!」


 カラティア王女にとっては珍しいようで、子供のようにはしゃいでいる。


「クリティスミア公国には、このような場所がなかったのですか?」

「いえ、なかったわけではありません。少々父と姉が過保護でお城からの外出を許してくれなったので、自室のベランダから眺めるぐらいでした。」

「そうですか、ところでカラティア王女、」

「なんですか?」

「無理にその言葉づかいや礼儀作法をする必要はありませんよ。」


 そのことを言われ、カラティア王女は一瞬目を見開いた。


「何のことですか? これが普段の私ですよ。」

「失礼ですが貴女が陛下を暗殺しようとした時の動き、あれは普段から戦闘術を訓練している人の動きです。しかも、並みの動きではありません。」

「それだからと言って、言葉使いや礼儀作法が苦手とは限りませんよ。」


 そう言いながら微笑んできた。


「経験からわかるのですが、普段から使い慣れている人ほど人眼を気にしながら気を付けます。そのかわり、人眼がない所では、素に戻っていることが多いのです。貴女もそうではありませんか?」


 そう言うと彼女は観念したように頷くと言葉使いが変わった。


「いつかは、ばれると思っていたけど、こんなに早くばれるとは思わなかったわ。」

「それが貴女の本来の性格ですか?」

「そう、これが私の本来の口調、どうビックリした?」


 そう言うと笑顔で近づいてきた。


「はい、少し驚きました。」

「それとマンシュ、あんたもその口調、どうにかしなさい。」

「それは、普通に喋れと言うことですか?」

「そう、そういう事、いつまでも王女を付けたままじゃばれてしまうじゃない!」

「分かりました。普段の喋り方に戻します。」

「分かればいいのよ。それと私のことは、カラティアではなく、ティアと呼んでね。」

「はいはい、それじゃとと必要な物を買いにいくぞ。ティア」

「は~い」


 それぞれ礼儀などを無視した普段通りの喋り方に戻して、必要な物を購入するために移動し始めた。

 商業区には様々な商会が店を出しており、商会によって扱っている物が異なっている。

 武器や防具だったり、回復薬や強化薬、服やアクセサリーなど、冒険者だけでなく一般市民にも幅広く利用されている地区でもある。その一角にテントなどの野宿に必要な道具を揃えている店を王城に向かう際に見つけていたので、そこに向かうことにした。

 行きは、周りの店舗も見ていたこともあって、名前までは確認できなかったが近くまで来て、名前を見ることができた。


「行の時に目に入って、気になっていた店がここだ。」

「ここお?確かに道具店ぺジオ、見た感じ確かにテントとか見えるけどなんで、ここを選んだの?」

「いや、何となく見た時に気になったからと言うのが本音だな。」

「ふーん、そんな理由なんだ。」

「ま、兎に角入ってみよう。」

 

 そう言いながら店に入った。

 中は清掃が隅々まで、行きどどいており、以外と綺麗だった。

 

 「いらしゃい、何をお探しで?」


 カウンターにいたのは、50代ほどのおっさんだった。


「野営に必要な道具を買いに来たのですが?どの商品がおすすめですか?」

「それならこれがおすすめだ。シーウルフの革とオーガの骨を使ったテントだ。水を弾くし、何よりオーガの骨で丈夫いテントだ。代金は8000スブルだ。それとセットで野外調理品一式で10000スブルだ。」

「分かりました。」


 ちなみにシーウルフとは、海辺に生息し、一生のほとんどを海で過ごすオオカミで、オオカミの姿をしているが足には水掻きがあり、皮膚も固い毛に覆われいる。体も陸のオオカミよりスマートで、水の抵抗を少なくする体格になっている。陸に上がるのは、眠るときと繁殖の時期のみで、近海で魚や甲殻類などを食べている。性格はおとなしく、漁師の中には、飼い慣らし、漁を手伝わせている。


 その素材なら少し高くても納得した。言われた通り10000スブル、金貨一枚を払った。


 買ったものをアイテムポーチに収納し、保存食を買い、陛下から貰った屋敷に向かって歩いていく。

 事前に場所は聞いていたがその位置が貴族や大商会などの家が立ち並ぶ地区だった。

 屋敷があったのは、湖のほとりだった。

 サイズ的にはそこまで大きくはないが綺麗な屋敷だった。


「思った以上にいい屋敷を貰ったな。」

「ホントにそうね。それより早く中に入りましょう。」

 

 ティアにうながされるように屋敷に入った。


「マンシュ様、お待ちしておりました。」


 中に入ると暗殺者の一人だったジャックとフローラがいた。


「何で二人がここにいるんだ⁉」

「アーリサ王女からマンシュ様がこの屋敷を使うと言われたで、綺麗にしよと思い、先に来て、掃除をしていました。」

「私も一人より二人のほうが早いと言われ、来ました。」

「あー、何となく事情はわかった。」

 

 アーリサならそれくらいの事をしてもおかしくない。その内、ここに毎日のように来るつもりなのだろう。

 なぜ、そのような事を思ったかと言うと城からの距離が明らかに近いと思ったからだ。

 道なく、湖の中心に位置する王城から小舟を使えば、すぐにこれる用に裏には桟橋まであったので、手軽に来るつもりなのだろう。

 陛下もそのつもりで、この屋敷をくれたのだろう。

 嬉しくは、あるが周囲には、バレないようにしようと心に誓った。

 バレたら絶体めんどくさいことになると思ったからだ。


「みんな、そろそろ夕食の時間だ。飯にしよう。」

「食材なら私どもが買ってきました。すぐに準備いたします。

「いい、今日は俺が作る。三人は食堂で待っていてくれ。」

「そう言うのなら、言われた通りにします。」


 そう言うと食堂に向かって行った。

 俺もキッチンに向かった。

 キッチンには、野菜と肉などが袋に入った状態で置かれていた。

 とりあえず、あるもので作るか。

 肉はオークの肉で、この世界では一般的に流通している。豚肉の代わりのようなものだ。

 そして最近スキルを確認していると夜営用のテントや医療用の道具や薬、野外炊飯用の調味料と器具、施設が増えていた。

 なので、その調味料を使えば、もとの世界の料理を作れると気づいたので、試してみたくなった。

 タイミングのいいことに屋敷を貰ったので、作ろうと思っていた。

 まず、袋にあった生姜に似た物があったので、しょうが焼きを作ろうと思う。

 米はないが無くても美味しいので、問題はないと思う。

 しょうが汁、酒、醤油で下味を漬ける。

 その間にキャベツポイ野菜を千切りにする。

 そうしたら、フライパンに油をしき、漬けておいたオーク肉を炒める。香ばしく焼けたら取りだし、醤油、みりん、酒、砂糖、すりおろしたしょうがで作ったタレを煮込む。

 タレを熱しながら混ぜ、沸騰したら香ばしく焼いたオーク肉をタレに絡めれば、オーク肉のしょうが焼きの完成だ。

 さっそく出来たオーク肉のしょうが焼きを食堂に全員分運んでいく。するとティアが待ちきれない様子で、待っていた。


「マンシュ、早くしてよ。香ばしい匂いがここまで、漂ってきて待ちきれないから。」

「慌てなくても料理は逃げないぞ。」


 そう言いながらテーブルに並べた。だがジャックとフローラがそばに立ったままだった。


「二人とも席に着いて、一緒に食べるぞ。」

「いえ、元奴隷の私どもが一緒のテーブルで、食べるなど恐れ多いです。」

「何言ってんだ。俺は奴隷だろうが種族が違うだとかで、差別はしない。

 それに食事は大勢で食べた方がおいしいかなら。」


 そう言うと二人とも席に着いてくれた。

 全員席に着くとみんな一斉に食べ始めた。よほど食べたかったらしい。

 そんな中、俺は生前からの習慣である、いただきます、を言ってから食べ始めた。


「マンシュ、そのいただきますってどうゆう意味?」

「うん?あー、これは命を頂くからその命に感謝しますと言う意味で、食事をする前に手を合わせていただきます、と言って食べるんだ。」

「ふーん、そうなんだ。変わった風習だけど確かにそうだね。」


 みんな俺と同じように手を合わせて、いただきます、と言って食べ始めた。

 しょうが焼きを一口食べると俺以外の全員が一気に食べ始めた。よほど美味しかったのか、三人とも「う~ん~」と言いながら一心不乱に食べている。上手く作れてよかったと思う。

 あっという間に食べ終わり、俺が教えたご馳走さまをして、食事を終えた。

 食器を片付けようとしたらさすがにジャックとフローラが洗い物位はやらせて欲しいと言って来たので、やらせた。

 お腹も一杯になったので、明日に備え、お風呂に入り早めに就寝することにしたので、順番に入り、適当に部屋を決め、眠りに着いた。

 


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