第12話 時遅し王都からの救援
モンスターとの戦闘から一週間、町は普段の日常を取り戻していた。幸いにも町に到達する前に全滅させることが出来たので、当然と言えば当然かもしれない。
久しぶりに町にある小さなカフェで紅茶を飲みながら本を読んでいると兵士が走っていった。どうしたのかと思い声をかけた。
「おい!何かあったのか?」
「は、はい⁉」
よほど慌てていたのかビックとしてから振り向いた。
「こ、これはマンシュ様、はい!実はつい先ほど正門に王都からの騎士団が到着されました。すぐに来てください。」
「分かった。すぐに門まで向かう。」
王都から救援の騎士団が到着した。
それを門番の兵士から聞いて急いで町の東側にある門まで走っていった。門に着くと幾多の戦闘をこなしてきたのだろう年季の入った装備を着けた兵士達がいた。
騎士団の規模は2000で全員馬に乗って来ていた。
騎士団の名前はヴォールク騎士団、主に各領地からの救援要請にいち早く駆けつける為に組織された騎士団である。
領地以外にも村や小さな町などの要請にも対処すらため、この国では一番有名な騎士団と言ってもいいだろう。 その騎士団が来てくれたがもうモンスターどもは屍と化しており、今更来ても遅いとしか言いようがなかった。
すると先頭の馬から指揮官らしき男性が降りてきた。
「私はヴォールク騎士団団長のゼーレ・アードアーです。あなた方の救援要請により駆けつけました。」
ヴォールク騎士団の団長ゼーレ・アードアーは金髪で年齢は三十代前半ほとで身長は百七十後半で筋肉で引き締まった体型をしていた。装備は幾多の戦闘を越えてきたと思わせるアーマを全身に着ていて武器は左腕に小型の盾と腰に使いこまれたロングソードを装備していた。
「救援要請を受けていただきありがとうございます。私は領主ロメル・ナガンの息子、マンシュ・ナガンと申します。まことに申し訳ないのですがモンスターの大軍は我領地の総力をもって壊滅させました。」
「壊滅とはどういうことなのだ!」
「はい、先ほど申した通りに我軍の総力をもって、魔の森近くの平原にて戦闘を行いモンスターどもの軍勢を壊滅させたのでございます。」
「その話、詳しく聞きたい。話してもらえるか?」
「立ち話もなんですので我領地の屋敷に向かいましょう。ところであなたの部下達はどういたしますか?」
彼の部下達は2000の人数なのだ。町に入れないことはないがさすがに厳しい。仕方がないので城門の前で待機してもらうことになった。
屋敷にはアードアー団長と副官と思われる四十代の男性とまだ若い二十代ほどの男性の三人と向かっている。
城門から屋敷まではさほど離れていないので、アードアー団長達は馬門番たちに預けて、俺の案内で屋敷まで歩いて行った。
屋敷に着くと執事のクラウが待機していた。
「ようこそおいでくださいました。私執事のクラウと申します。ロメル様は執務室でお待ちです。」
馬を預けて屋敷に入り二階の奥にある父の執務室に向かった。ノックをして入るといつも書類作業をしている机に父が座り、その隣に母がいた。
「父上、ただいま戻りますした。それとヴォールク騎士団団長のアードアー様と部下の二人をお連れしました。」
「ご苦労。ようこそおいでくださいました。この領地の領主をしております。ロメル・ナガンと申します。」
「お初にお目にかかります。ヴォールク騎士団団長のゼーレ・アードアーと申します。早速ですがモンスターの大軍を壊滅させた話についてお伺いしたい。」
「分かりました。立ち話もなんですのでどうぞお座りください。それと紅茶はいかがですか?」
「いえ、結構です。」
執務室の左側にあるソファーにそれぞれ座った。アードアー団長はソファーに座り、副官と騎士は後ろに立った。
こちらも似たようなもので、父と母がソファーに座り、その後ろに俺がついた。
「それでは、ことの発端から話をします。まず森に入り訓練をしていた息子のマンシュが森の違和感に気づき少し奥に入っていくと洞窟の前にゴブリンとオーク、オーガの大軍がいたそうでよく見てみると洞窟の中からキングゴブリンとキングオーク、さらにジャイアントオーガまで姿を表したのです。それを見たマンシュがあわてて入って来たので理由を聞くと2000にものぼるモンスターの大軍を見たと言ったので町を守る為に急いで200人の兵を集め平原に迎撃の準備に向かいました。準備が完了した翌日、ほどなくしてモンスターの大軍が姿表し戦闘になりました。半日ほど戦い最後のジャイアントオーガを含む、多くのモンスターを倒して素材を集めて町に帰りました。」
「なるほど経緯は分かりました。しかし、200の兵で2000ものモンスターを壊滅させれるほどの戦力では、ないはずですが?」
「それについては私から説明します。」
「マンシュ殿は何か知っているのか?」
「知ってるも何も壊滅させることができたのは自分のスキルのおかげなのですから」
そういうとアドーアー団長は以外にも驚かなかった。
「ほう、貴殿のスキルとはどのようなものなのかできれば説明してほしい。」
「分かりました。しかし、説明するよりも実際に見てもらった方が早いので少し場所を変えましょう。自分についてきてください。」
執務室から出て兵の訓練場に向かった。
向かう前にクラウに訓練場にいるハイパーに伝言を頼み屋敷を出て屋敷の裏から森の道に入っていった。
この先に森を利用して造った訓練場があるのだ。そのうちの一つに森を1キロ四方に切り開いた射撃場がある。 そこにアードアー団長等を案内した。
森から出るとハイパーとカルロスが部下を連れて、整列していた。
「ようこそおいでくださいました。ヴォールク騎士団団長、アードアー様、私はヨーヘン・ハイパーと申します。第1分隊の隊長をしています。」
「ハイパー、出迎えご苦労、早速だがアードアー団長に訓練を見せてほしい。」
「了解しました。すぐに取り掛かります。」
ハイパーが指示を出すと12人が一斉に動きだし一列に並んで銃を構えて射撃体制を取った。
「各員、弾込め、安全装置解除、構え、撃て、」
掛け声とともに銃声が響きKar98kから弾丸が発射され100メートル離れた標的に命中した。これを見ていたアードアー団長らは目を見開いて固まっていた。
しばらくすると正気に戻ったようなので今回の件を話した。
「モンスターの大軍を壊滅できた理由はお分かりになったと思います。これは銃と呼ばれる物で私のユニークスキルで出した物です。これは仕組みを全く知らない人間でも簡単に扱うことができます。領地軍はこれを使い訓練していたおかげで勝つことができたのです。」
「なるほど、確かにこれなら納得がいく。ちなみにこれはどれ程の射程をもっているのだ。」
「約700メートルの射程をもっています。」
射程を言うと側にいた騎士が声を上げた。
「それは本当か?弓だけでなく魔法も届かない距離ではないか!」
「失礼ですが貴方は?」
「申し遅れた。私はアードアー団長の直属の部下にあたるガークト・ロビンソンだ。」
「分かりました。ロビンソン様、確かにこれが世に出れば戦場が一辺するでしょう。しかし、私はこれを欲望の為に使うような使い方をしないと決めています。」
「なぜだ!これがあれば、あの帝国にも勝てるのだぞ!」
「確かに勝てるかもしれません。しかし、それでは今まで帝国がやってきたことと変わらない。」
「何を言っている!帝国は小国を侵略し領地を広げているのだぞ!それを取り返してないが悪い。」
「確かに取り返せると思います。ですがそれは元々我々の土地ではないはずだ。」
「そんなもん滅んだ国の土地は、手に入れた国のものだ。それのどこが「ロビンソン!いい加減にしろ!」
今まで黙っていた副官が声を発した。どうやらこの若い騎士は話を理解していなかったらしい。
「マンシュ殿、この新米が失礼を」
「いえ、気にしないでください。」
「ありがとうございます。私はヴォールク騎士団副団長のモント・ハワーと申します。新米にはきつく言っておくので無礼をお許しください。」
そう言って頭を下げてきたので少し驚いた。通常騎士団というものは貴族中心に編成されているものが多いがどうやらこのヴォールク騎士団は違うようだった。
「マンシュ殿、部下が失礼した。我々の到着が遅かったのは理解した。ロメル領地軍の活躍は国王様へお伝えしておく。何かあったらすぐに知らせがくると思う。それでは失礼する。」
そう言い残し、訓練場を出ていった。どうやらそのまま王都に向かうようで遅れて城門に行くともう撤収したあとだった。
この時は王都であんな目に合うとは思いもしなかった。
第二章もこれで、終了です。次回からは王都編に移ります。




