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妖精さんが世界をハッピーエンドに導くようです  作者: 生ゼンマイ
第六章 作ろう獣人の国
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第72話 1日目 2度目は痛かった

「別に取って食べやしないんだから怯えないでよ、失礼な子だな」

「す、すいません…というか私の方が年上……」

「おん?」

「な、なんでもないですッ!!」


 私と向かい合って座る桜田美香という勇者の女性。顔を見せて貰ったけど、これはクラスでアイドルになれるって感じの女の子でした。私へのフラグが立ったよ。やったね美香ちゃん。


 こっちの目的は既に言った後なので、これからこの子の話の内容によって今後の私の行動の指針が決まる。といっても基本はノリで決めるんだけどね。


「で、私が聞きたいことは幾つかあるんだけど……大丈夫だったりする?」

「えと、私にもあやふやな部分があるので、お答え出来る部分に限りがあると思いますが、それでも良ければ……」

「普通の言葉遣いでいいよ。私偉くないから敬語止めてくれると嬉しいな。後、美香って呼ぶね?」

「わ、わかった。コミュ力高いなぁ妖精さんって」

「普通だよ。さて、まずは――」



 ということで聞いていくことは色々と。まず人数、これは全員で34人。1クラス分丸々転移してきたらしい。ってことはガルアニアで潰した勇者2人と、桜田さんを抜いて後31人か。


「あ、後、私の他に5人逃げてるの」

「ってことは26人か。因みに序列ってあるらしいけど、美香はどのくらい?」

「……最下位です」


 なんとなくそうだろうなぁとは思ったよ。聞いてごめんね?


 次は現在どこに誰が何人居るか。これに対しては、ガルアニアと同じように各国に2人ずつで計16人が派遣されているらしい。目的は同じとか。じゃあ本国であるハーリアには現在10人の勇者が居る訳ね。難易度が減って助かるよ。


「ただ、ハーリアにはリーダーの朝比奈君がずっと居るから危険だよ?序列1位だし、魔王だって彼含めて5人で倒したんだから。止めを刺したのも朝比奈君だし。」

「その場面見てたの?」

「え?ううん、私は後衛も後衛で、戦いに参加させて貰わなかったから……けど、皆口々に魔王を倒したって喜んでたし、本人もそう断言してたから本当だと思う」


 ふーん……まぁそれは保留にしておこう。実際に倒した人物か、それを見ていた人間からの話じゃないと確証は得られないしね。


「魔王を倒したのを見た人がどこに居るか分かる?」

「皆序列が高いからハーリアに居るよ」

 

 超怪しいね。ちょっと警戒しておこう。はいはい次々。えーっと、それぞれの聖剣特性が知りたかったけど、明確な答えには繋がらなかった。


「それは私にも分からない。というか、私は教えられてないの。朝比奈君はお互い教え合わない方が良いって事にしてて……唯一分かるのは、シエロちゃんに『呪い』を付与してきた剛谷かな……」


 明らかに裏切りが出た時対処し易いようにしてんじゃん……というか剛谷?レーベルラッドを欲しがったのはリーダーじゃないんだね。



「朝比奈君はレーベルラッドに興味は無かったの。それで私と剛谷がレーベルラッドに派遣されてたんだよね。当時のレーベルラッドは勇者に好意的だったから、私達もやり易かったんだ。彼等は平和を一番に望んでいたから、それを守ってくれる私達に全力でサポートしてくれてた……その好意が辛かったけど……」



 保守的にではあるけど安定を求める精神は分からなくもない。宗教は救われない者に対してあるべきだし、本当に神が居るんだから皆その使者が来れば歓迎だってする。


「それで、その剛谷は?」

「うん……剛谷は、初めてシエロちゃんの顔を見た時にその……一目惚れしちゃったらしくて」

「……それで国乗っ取り?」

「私も止めたんだよ!?けど…彼は絶対に結婚するって聞かなくて。それであることないこと言ってシエロを追い込んで「俺が助けるように仕向ける」とか言って。それで反乱分子を自分で作って……やり過ぎたの」


 結果、反乱分子モドキが本当に反乱を成功させてしまい、そのまま剛谷は乗っ取りを成功させてしまった。国を制圧した後はシエロに迫ったが、シエロは拒否。それに激怒した剛谷は聖剣特性を使ってシエロに呪いを掛けたと。


「そして彼は私に言ったの。お前が彼女と一緒に逃げろって。魔物に囲まれてピンチになったら助けるようにするからって……正直吐き気がした。聖鎧は取られたけど、私は全力でシエロちゃんを連れて逃げた。今は向こうが見失ってると思うから、私達は魔物に追われたままの強行軍だった…」

「なるほどね……予言云々の話は?」

「あれは、私にも分からない。ただ、ハーリアに居た頃、朝比奈君がそのことについては話してた。あまりにも可笑しい。絶対にそうだって感じで」


 ……最初からだけど、キナ臭いなぁ勇者組。まぁ信憑性が無いということが分かっただけでも良しとしようか。私のやることは今のところ変わらなさそうだし。



「話は分かったよ。勇者についてはもう良い。次は貴方自身について聞きたいな」

「わ、私のこと?」


 むしろこっちの方が私にとっては大事なんだよね。


「貴方は剛谷君の命令でシエロと一緒に逃げて来たって言うけど、後から嫌になったってことはシエロの境遇には本当に同情してるってこと?」

「それはそうだよ…自分の信じていたことが全て否定されるようなこと言われたら、私だったら耐えられない。あのクラスの中でさえ酷いのに……それを信じていたシエロの気持ちを、自分の女にしたいからって全部奪ったんだよッ!!?……だから私ももう戻る気は無いから。出来れば一緒に行きたいんだけど……」


 そこで言葉を切って俯いてしまう。


「私は……異端者になっちゃったからさ。私に賛同しちゃうと、皆その称号を得ちゃうの……だから」



・異端者

 『大多数の者から離反した者に与えられる称号。その者を肯定すると同じ称号を持つ』



 なにこれ。バッドステータス……なの?何考えてこんなの付けたんだ神よ。


「これ消せるかな?」

「え、出来るの?」

「スキルの呪いは消せたしね。やってみよう」

「う、うん!!」


 じゃあちょっと妖精に戻って、と。おい驚くんじゃないよ美香ちゃん。昼間見てたろうに。


 はい本気の妖精魔法開始~。イメージは称号の消去。君は間違ってないよ……異端者はあいつらだよ…って感じで………よし、はつd



「ふぎゅぅッッ!!??」



 あ、頭……割れるッ!!??


「ちょっ、大丈夫!?ねぇ!!」

「ふ……っぐ…」


 それに応える余裕は無い。原因は分からないけど無茶苦茶抵抗されている感じがする。頭痛はギリギリ耐えられる。ぬぉぉ~妖精のノリ舐めんな!!一度始めたら最後までやり遂げるのが私じゃぁあああああッッ!!!


 数分の葛藤を終え、私はなんとかやり遂げた。途中頭から聞こえてはいけないような音が何度かしたけど、まぁ平気でしょう、うん。


 あー痛かった。けど勝ったね。ちょっとまだ頭痛いけど。初めての体験だったぜ……



「……出来た、よ」

「え、え、大丈夫なの、ねぇ!?」


 私を抱きかかえて泣く美香。ハンカチで私の鼻や眼を拭っていく。あれ、血出てたの?なら心配させちゃったかな。心配させては女が廃るな。よし、起きよう。


「もう大丈夫だよ。ほら、ステータス見てみて。そしてそこのテントの中に入ってる人と夜通し話して絆を育むのだ勇者よ。ではさらばだッ!!」

「えぇっ!?」




 私はそのまま飛び去り、アリーナ達が入っているテントに飛び込む。二人はチェスをしているようだったが、もうチェック掛けられてレーベル涙目やん。


「アリーナ~頭撫でてー超痛いの~」

「ほわ~アイドリー痛いの?むむー飛んでけ痛いの~」

「……え、本当に治った?」

「……ん?主よ。もしかして限界超えて妖精魔法使ったのか?」


 チェスに集中していたレーベルがこちらに気付いてそんなことを言ってきた。え、何で分かるの?まぁ確かに使ったけどさ。


「いや、そこまで酷使して大丈夫なのか?何か『同調』が変な感じするのじゃが」

「え?いやいや。ほら、ステータスには何も問題は……あれ?」



アイドリー(3) Lv.859

固有種族:次元妖精(覚醒+)


HP 1万1011/1万1011

MP 250万6082/250万6082

AK   8054

DF   7022

MAK  8457万5884

MDF  7404万0540

INT  7100

SPD  28万0025


【固有スキル】妖精魔法 妖精の眼 空間魔法 顕現依存 概念耐性


スキル:歌(A+)剣術(A+)人化(S+)四属性魔法(SS+)手加減(A+)隠蔽(S+)従魔契約(―)

    

称号:ドラゴンキラー 古龍の主 反逆者



「……なんか増えてる」


 覚醒に+入ってるし、固有スキルに『概念耐性』入ってるし、称号に『反逆者』とか入っているし。えぇ……


・概念耐性

『精神、ステータスに関する状態異常及びバッドエンチャントに耐性を得る』


・反逆者

『定められたルールを破った者に対して与えられる称号』




『概念耐性』は良いけど、『反逆者』って……まぁ良いや。何か不都合がある訳でも無いし。勇者を敵に回している時点でこの程度知ったことではないのだよ。


「大丈夫か主よ?」

「無問題よ。さ、明日も早いからささっと寝よう~」

「おー♪」

「そういえばレーベルとのチェスはどうだったの?」

「聞くな主よ……」

「10連勝ッ!!」

「言うなアリーナよ~~~」

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