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妖精さんが世界をハッピーエンドに導くようです  作者: 生ゼンマイ
第四章 王都ガルアニアの武闘会
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第42話 バトルロワイヤル②

 ステージに上がると、会場の熱気が選手達の肌を包み込む……っていう言葉が浮かびそうなぐらいボルテージMAXだねぇ。周りは会場に向けて手を上げて声援を受けたりしている。私もレーベル達探そ。


『主よ~こっちじゃこっち~後ろじゃぞ~』

『ん? ……お~いたいた』

『アイドリ~ふぁいお~』

『一応言っておくが本気を出すでないぞ。闘技場が吹っ飛ぶからのう』

『しないしない……よし、やる気スイッチ入った』


 二人は観客席の一番高い位置からこちらを見ていた。アリーナも人化した状態でブンブン手を振っている。私もそれに応えていると司会の声が入った。


『さぁさぁ今日の大詰め、バトルロワイヤル第8グループの登場です!!これまでのグループでは注目していた選手がおりましたが、このグループではそういった人物はおりません! しかぁぁしッ!! 毎年最後のグループには魔物が潜んでいるもの!! 皆様、どうか金の卵をお探しくださぁぁあああああいッッ!!』


 司会の子はよくあれで喉が持つね。ファンの人達も居るみたいで、司会の子に熱い歓声を浴びせている。名前はセニャル、か。一応覚えておこう。


『それではお待たせしました選手の皆さん!! 死力を尽くして決勝トーナメントのチケットを勝ち取って下さいっ! 第8グループ、試合開始ぃぃぃいい!!』



 ジョワワァ~ンという銅鑼の音が鳴り響くと、真っ先に私に狙いを定めてきた冒険者が居た。うん分かってた。


「とっとと退場しなぁああ!!」

「やだね」


 貴方はそうするよねバルディ。

 いつか振るわれたバトルアックスが今度は私の脳天に落ちようとするが、あの時は本当にただ見ていただけ。まぁ今回も相手にはしないんだけれどね。


「眼光を焼け」

「――っ!?め、眼がぁああああ!!!」


 バルディの目の前に高密度の光を放ち眼を潰した。そのまま足を剣で払い、転がす。ほーら肉弾戦車になるがいいよ。何人かの選手が巨大な肉体を持つバルディの餌食となっていく。ご愁傷様です。

 私はすぐに後ろに下がり、その後はステージの端でチマチマ魔法を使って砲撃していた。何人かの選手がこちらに突っ込んで落とそうとしてくる。魔法主体は数で押せって感じ?


「鬱陶しいことしやがって!!」

「さっさと落ちやがれ!!」

「「くら――――」


ツルンッ


「「あああぁあぁ~~~~っ!?!?」」

「ボッシュートでーす♪ わっはっは」


 トラップが良い味出してくれた。足場に敷いた水を凍らせて滑り落ちバイバイだよ。


 それから十分後、選手が3分の1にまで減った辺りで戦場が動き出した。ステージのど真ん中で、激しい戦いが起こったのだ。


『おぉぉおお!!? なんでしょうかあの二人は!? 凄まじい剣と魔法の応酬だぁああ!!! 黒いフードの選手は899番ブレイク選手、そして相対している銀髪の老練魔法使いは887番アイレド選手!! これは今回のダークホースになるのでしょうかぁあああ!!??」


 ……おお、確かに凄いね。黒フードの人が銀髪の人の魔法を全て受け流したり弾いたりしているし、斬撃を実体化させて銀髪の人に放っている。銀髪の人も魔法で斬撃を全て受け流して傷付きもしない。

 お互いが固定砲台だけど、余波で周りの選手が散っていくぐらい協力な物だ。それじゃあちょっとステータスを拝見してみようか。


アレイド・バリシュタッド(62) Lv.285

種族:人間


HP 8543/8543

MP 7929/7929

AK   3477

DF   4322

MAK  7544

MDF  4011

INT   1800

SPD   2328


【固有スキル】自動供給


スキル:杖術(S)四属性魔法(SS)並列思考(B+)魔力感知(A-)召喚(C+)鑑定(―)


称号:賢者


・自動供給

『周囲の魔素を取り込み魔力に変換出来る。魔素濃い場所であるほど効率が上がる』


 お、おぅ……賢者様とな。名のある人っぽいのに無名なんだね。持っているスキルも強力だし、ステータスも人間の限界なんじゃない?ってぐらい強い。固有スキルも魔力使いたい放題な奴だし。


「守れ、弾けろ、凍れ、燃やせ、裂けろ、盛り上がれ、突き刺せ」

「……」


 さっきから一言だけで魔法が発動してるんだよね。しかも一撃一撃の威力が半端なく高いし、発動スピードもほとんど溜め無しだ。それを一切後退したり避ける素振りもなく迎撃し続ける黒フードも凄いけど。

 というかあのおじいちゃん鑑定持ってるんだよね。こう異世界によくあるスキル。あれで見られたら私の正体バレる可能性あるから、全力で隠蔽スキル発動させておこう……


 さてさて、もう一人の方は、と………おや?



高坂 彩音(21) Lv.351

種族:人間(覚醒)


HP 13万9599/13万9599

MP 28万2752/28万2752

AK   2万2516

DF   1万5888

MAK  0

MDF  3万6009

INT   3200

SPD   4万0002


【固有スキル】自動回復 聖剣 自動翻訳 マジックボックス 聖鎧


スキル:剣術(SS+)二刀流(S)隠蔽(S+)手加減(B)鑑定(―)


称号:勇者 転移者 女神に祝福された者



勇者じゃん………勇者じゃんッッ!!???


 ちょっと待って、え、何で居るの? いや、この世界には居るんだろうけど何で偽装して参加してんの? しかもステータスが軽くレーベルと良い勝負が出来そうなぐらい高いや。固有スキルも聖剣か。良いなぁ聖剣。きっと私の全力でも壊れないぐらい頑丈なんだろうなぁ。


 にしても、まさか勇者に遭遇するとは思わなかったよ。今はおじいちゃんと楽しそうに遊んでるし、私は目を付けられないようにコソコソしていよう。残りの選手もほとんど二人の戦闘に巻き込まれてステージ場外だし、その内終わるでしょ。


「クソがきぃいい!!!」

「ん? まだ残ってたのね」


 と思ってたら後ろからバルディが来た。体中に傷があるから今まで他の人と戦っていたみたいだ。頭からも多少出血しているし、鼻息も荒く脳内麻薬ドバッティな感じで危険な顔をしている。


「あの二人には勝てそうにないからこっち来たの?」

「逃げ回ってるテメェよりマシだぁああ!!!」

「ずっと見てたの? え、怖い……」

「へらず口叩くなあああぁ!!」


 あーもう、いい加減付き纏われるのも面倒だし、ここで脱落してもらおうか。横薙ぎで振るわれたバトルアックスをジャンプで躱し、顔面に膝蹴りを入れた。


「ぐぎゃっ!?」

「ごぬんわさいっと」


 折れた鼻から鼻血を撒き散らすが、一滴も浴びたくないので、そのまま飛び上がって後頭部を足蹴にしステージの外に落とす。ふぅスッキリした。


『決まったぁあああああああ!!!! 本選出場は899番謎の黒フードのブレイク選手、そして887番銀髪の魔法使いアレイド選手、最後に端っこに残っていた白いフードの850番、アイドリー選手に決定です!!』


 私だけ説明が雑だなぁ。思い通りなんだけどさ……観客の歓声はほとんどが銀髪おじいちゃんと黒フード勇者に集中していた。ちょっぴり虚しくなったので同調で仲間と話そう。


『アイドリーおつかれ~♪』

『主よ。ほとんど目立たずよくぞ切り抜けたの』

『あの二人がほとんどの注目を集めてくれたからね。本選からは力も出せるし、それに面白い相手も見つけたよ。特にレーベルは歓喜すると思う』

『ほう? ……それは楽しみじゃな』



「おい、若いの」

「ん……?」

 ステージを降りようとしたところで銀髪おじいちゃんに話掛けられる。くたびれたローブを羽織っており、髭も伸ばしっ放しだが、どこか高貴な立ち振る舞いをしている。というかよく見ればさっき勇者とやり合っていた人だった。


 と、とりあえず敬語の方が良いのかな。実はちょっと使うの嫌なんだけど……


「どうされました?」

「いや、これは誰にでも聞いていることなのじゃがな。お前さん、妖精を見たことはあるか?」

「えっ…………いえ、無いですよ? なんですかそれ?」

「ふむ、そうか。ならいい、聞かなかった事にしといてくれ儂は妖精というのを探して旅をしとるただの魔法使いでな。変わり者なのじゃよ……では本選で会おうぞ」


 そう言っておじいちゃんは通り過ぎて行った……吃驚したなぁ。私の正体がバレたのかと思ったよ。けど妖精を探して旅、か。そんな奇特な人も居るんだなぁ。あんな強いおじいちゃんでも妖精を見つけるのは難しいんだね。


「さーて、私も帰ろう。アリーナにお金渡さないとだしね」




 アリーナ達に合流し宿屋に帰ってくると、満面の笑みでアグエラさんが迎えてくれた。


「お前等やったな!! 本選出場が出来るなんて凄いじゃないか!!!」

「お、おう、ありがとうねアグエラ?」

「いやぁー私の宿屋の客から本選出場者が出るなんて、なんて素晴らしいことだろうか!!」


 て、テンション…テンション高いよ。そしてその自慢の筋肉の腕で私の肩を揺らすの止めてぇ~……

「そっちのレーベルも!! 結構やるじゃないか!!!」

「そうであろう!」


 レーベルも褒められてフンスと胸を張る。その横でアリーナもフンスと胸を張る。レーベルっ子だなぁ。


 その後アグエラさんは本選出場記念だと言ってありったけの料理とご飯をご馳走してくれるという太っ腹ぶりを見せてくれた。

 ついでに客全員にも酒を一杯タダにし、その日の夜はドンチャン騒ぎで朝まで付き合う羽目となる。レーベルのテンションが一番高かったのは言うまでも無い。なんだ、ちゃんと人間と仲良く出来るじゃんあの子。いや、あれは騒ぐのが好きなだけかな?


「そうじゃ主よ、本選はどのくらいアリーナに賭けて貰う予定なのじゃ?」

「え、全額だけど?」

「豪気過ぎじゃろ!!??」

将棋のお時間


「アリーナのあの布陣が抜けん!!」

「右四間飛車とか鬼畜過ぎない!?」

「とつげき~♪」


 何度やっても食い破られて蹂躙されました。

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