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妖精さんが世界をハッピーエンドに導くようです  作者: 生ゼンマイ
第三章 レッドドラゴン討伐
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第28話 丘の上の龍

「お~か~お~か~♪ お~か~でピクニック~♪」


 アリーナの一人コンサートを聞きながら、途中いくつかの村を通り、丘まで後もう少しというところまで来ていた。村の人の話ではそろそろ見えるらしいんだけど。途中冒険者達が野営したであろう場所も見つけたしね。


「おーアイドリー、おかおか!」

「ん? おお、あったね。そして居たね、デカいのが1匹」


 ライザルの丘。平地から急に盛り上がったそこを林道の中から見つける。通称コブ丘なんて呼ばれているらしい。そしてこの丘を越えた向こう側に街があるのだとか。その街の冒険者達と挟撃でもすればまだ勝てる確率が上がってたんだろうけど、詮無きことだ。


 さて、丘の上には一匹の赤い龍が寝ている。体長は約30m強。額に大きな宝石のような物が埋まっている。なんかこう、生物として完成された感じがして綺麗だね。

 しかしその周りの風景が穏やかじゃない。丘は所々焼けていたり深い溝やクレーターが出来ていて、血もそこら中に見える辺り、壮絶な戦いがあったのだろう。そこまでしてあの丘に住んでいたいのかな?


「アリーナ、多分今まで一番揺れて危ないと思うけどどうする? 一緒に行く?」

「行く!!」

「豪気だなぁ……」


 それじゃあステータスを見てみようか。


レーベル(1653)♀ Lv.1024

固有種族:レッドドラゴン(古龍)


HP 3万8543/3万8543

MP 1万9666/1万9666

AK   5万0427

DF   8万2934

MAK  12万7640

MDF  13万0004

INT   2000

SPD   25万5444


【固有スキル】龍鱗 炎獄


スキル:龍魔法(S)火属性魔法(S+)体格差補正(A+)


称号:古龍の子孫


つよっ!! Aランクどころじゃないよ。Sランクが数パーティ相手しても瞬殺されるよ絶対。これは討伐隊の方が相当手加減されたな。本気で攻撃されてたら一瞬で灰も残らなさそうなエグイステータスだし。固有スキルもだけど、普通のスキルも強そうだ。


 にしても雌なのかあのドラゴン。というかなんで性別が表示されているんだろうか…


・龍鱗

『あらゆる攻撃に耐性を持つ。特に魔法に対して耐性が高い』


・炎獄

『レッドドラゴン特有のスキル。火系の技、魔法に大幅な補正がかかる』


・龍魔法

『ブレス攻撃、飛行能力等を行使する為の魔法。ランクが高い程精度や威力が上がる』


・体格差補正

『自身よりも小さければ小さい程攻撃、防御時に補正が付く』



「勝てる……かな?」

 ステータス的には、勝てなくもない。スキルを見ても必ず負ける戦いでもない。ただ人間の戦い方では絶対に勝てないのは確かだ。


……しゃあない、今回は妖精状態でいこう。私はその場で人化を解く。


「ごめんアリーナ。今回は妖精として戦うから連れて行けないや」

「そうしないと勝てない?」

「うん」

「ならしゃあなし、頑張って!!」


 よし、天使からの声援も貰えたし行こうか。話が通じるか分からないが、最初は会話から入ってみようと思う。フヨフヨと飛んで行き、ドラゴンの文字通り目の前まで来た。近くで見ると本当に綺麗だな。鱗なんて鏡みたいになってるし、私の顔が歪んで見えるよ。


「こんにちわー」

「……」

「聞こえてない? 寝てる?」

「……」


 返事が返ってこない。害無しと判断されてほっとかれているのかな? んーとりあえず起こすか。お腹辺りに移動してっと。大きく腰を落として正拳突きの要領で……


「せーのっ!!」

ドッゴガァァーーーーーンッッ!!!!

『げはぁあああッッ?!?!?!』


 腹に向かって妖精魔法を駆使した攻撃全振りのパンチである。見事にレッドドラゴンは丘から吹っ飛び地面に叩きつけられた。


「……力入れ過ぎたかな?」


 しばらくすると、ノシノシと怒り顔で戻って来た。私を見つけて今すぐにでも殺したそうな雰囲気を醸し出してくる。


『貴様……妖精がなんという打撃を繰り出すか。危うく意識を失うところじゃったぞ?』


 おお、直接頭の中に語り掛けてきた。良かった、話は通じるみたいだね。じゃあ交渉開始といこう。


「無視するから悪いんじゃん。それより、どうしてここを陣取ってるの?」

『なんだと? 馬鹿を言うな。ここは元々の我の場所じゃ。それを勝手に人間共が開拓し、通り道として占領したのではないか。我は此処を取り戻したに過ぎぬ』


 私の場所って……この何も無い丘が?


「じゃあ何で今になって戻ってきたの? まずそれ何年前の話よ」

『ほんの200年程前じゃ。我は各地に同じような場所を持っている。此処はその一つじゃな』


 200年。私の前世の人生10回分以上かぁ……それじゃあ人間側が占領されたと言ってもしょうがないよね。人生の尺度が違い過ぎるもん。


「けどほら、人間だって悪気があった訳じゃないしさ。貴方だって沢山こういう場所があるんでしょ? 一つくらい譲ってくれたっていいじゃん」

『何故我が人間に譲らねばならぬのじゃ!! この前も我を倒そうとした討伐隊が来たが、有無も言わさず仕掛けて来たのだぞ!? ……だが、我は慈悲深いので手加減はしてやった。私の恐ろしさを他の人間供に伝えただろうから、もう此処には来る者はおるまい』


 力で我を通したってことか。どうやら力が全てって感じの社会みたいだし、正攻法じゃ交渉は無理みたいだね。


「じゃあどうしたらどいてくれる? 私依頼受けちゃったから貴方を倒さないといけないんだよね」

『なんじゃと? 『人化』でもして人間世界に紛れ込んでおるのか? 妖精が?』

「そんなところ。故郷が今大変で、人間の王に合わなきゃなんだよ。だから冒険者になってランク上げて王に会い易くしてるって訳さ」

『理解は出来るが……しかし我は譲らぬぞ。それはそちらの都合じゃからな。我をどうにかしたくば、我を倒す他あるまい。それが我の生き方じゃ』


 曲げられないか。向こうはもう問答無用っぽいし、お互い引けないし、はぁ……やるしか無いのか。


 ならばと、私はもう一方の交渉をしてみることにした。


「じゃあ賭けをしない?」

『賭けじゃと?』

「そう、ただ戦い合うのもつまらないでしょ?私が負けたら世界樹の蜜をあげるよ」

『なんじゃと!?』


 おーっと一本釣りだね。テスタニカさんの言ってたこと本当だったんだ。涎ドバドバ流しながら尻尾振り始めちゃったよ……

 私は本当のことだと証明する為に。持って来た瓶を空けて見せる。レーベルは顔を近づけてスンスン臭いを嗅いできた。犬だなぁ……


『おお、この色と臭いはまさしく世界樹の蜜! よし受けるぞ!! して、貴様は何を望む?』

「私が勝ったら、貴方従魔になってくれない?」

『……ほう』


 途端に空気が暑くなった気がする。口の中から赤い光が見え隠れし、二つの大きな眼が私の小さな身体をロックオンした。爪が地面を掴み、牙も剥き出しになる。戦闘態勢になったね。やっぱり従魔にされるのって普通に嫌か。けど挑発には乗ってくれないと困るからしゃあなし。


『我を従魔にしたいという輩はこれまで何人も居た。だが誰もが我の求めた強さに達する者ではなく、全員炭と化した。我を従魔に出来るのは我よりも強い者だけだ。それでも挑むか?』

「どっちにしろ倒さなきゃだから、さっさとやらない?」

『くっくくく、クハックハハ。良いぞその傲慢な物言い。妖精にしては殺し甲斐がある。何秒持つか楽しみじゃぞ!!』


 翼を広げ、ドラゴン特有の威厳ある咆哮が空気を振動させる。迫力満点だ。人間なら咆哮の圧力だけで戦意喪失しそうだね。さっき殴られたからか最初から全力で来るっぽいし、私も全開で行く必要がある。


 私とレーベルのステータス差は、数値だけ見れば私の方が遥かに高い。けど体格差と固有スキルで大幅な補正が出来ているみたいだ。ムカつく程に頑丈な種族だね。色々試してみたいとは思うけど、どれだけの攻撃方法が有効か分からない。



『我が名はレーベル!!始祖古龍の子にして四大龍の一柱なりッ!!!さぁ、名乗れ妖精!!』

「え? うん。アイドリーっていうよ。これからよろしくね?」

『台無しなんじゃが!?』


 名乗り口上なんて咄嗟に出ないよ普通……

現在のアイドリーのステータス


アイドリー(3) Lv.495

固有種族:次元妖精(覚醒)


HP 6720/6720

MP 95万3564/95万3564

AK   3532

DF   3009

MAK  2125万8855

MDF  2068万2300

INT  7100

SPD  6万0004


【固有スキル】妖精魔法 妖精の眼 空間魔法 顕現依存  


スキル:歌(A)剣術(B+)人化(S)四属性魔法(SS)手加減(A+)隠蔽(S)

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